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ギルマス2

「光翼の聖域? 暁の水晶? と言われて依頼書を見てみたらただの薬草ですね・・・・」


小鈴が耳を疑うように言った。


「そうなんだよな・・・」


俺は頭を掻きながら答えた。「あの口ぶりだと相当重要なものを探しに行くのかと思ったんだけど、結局ただの薬草採取らしい」


ティナは「ふーん」と言いながら依頼書を覗き込んできた。「でもさ、こんな普通の依頼にギルドマスター直々に来るっていうのも不自然じゃない? 何か裏があるんじゃないかな?」


俺は考え込んだ。「確かに…… ただの薬草採取にしては大袈裟すぎる気がする。もしかしたら何か特別な意味があるのかもしれない……」


その時小鈴がハッとして言った。「そう言えば『冥府の扉』とか言ってましたよね……」


「え?」と俺は聞き返した。


「もしかすると冥府に関わるものかもしれない…… 例えば特殊な魔力を含む植物だったりする可能性もあるわ……」


「なるほど……」俺は納得した。「だとすれば慎重に行動しないといけないな」


ティナは目を輝かせて言った。「よーし!じゃあ早速行こう! 探索開始だー!」


そして俺たちは光翼の聖域(普通の森)へと向かうことになった。


そこはいつもの森であった。依頼書に書いてある薬草を探す。いつものことである。リリアの言ったことを思い出し「暁の水晶」(普通の魔石)と書かれていたからそれもついでにこなす事にする、オークでもいないだろうか?。


今回の依頼は今までの依頼より報酬が良いのですぐ終わるように思えた。「リリアさんが普通の依頼を私たちに与えるとは思いませんでした」小鈴は不思議そうにつぶやいた。


「そういえばそうだな……」俺は考える。「それに彼女がわざわざ来て私たちに直接伝えに来るなんて……普通じゃない」


「あ!思い出した!」とティナが急に大声を出した。「確かギルドマスターの権限でしか受けられない依頼があるって聞いたことがある!」


「え?それってどういうこと?」


「つまり……これは特別な任務なのかも!」


ギルドマスター(?)のリリアから「光翼の聖域にて古の封印を解け」という大仰な依頼を受けた俺たち。しかしそれは単なる薬草採取だと判明し──


「えっと……これが"暁の水晶"だって?」


ティナが不思議そうに討伐したオークから取り出した魔石を眺める。手のひらサイズの透明な結晶は淡く光っていたが、特別な力など全く感じられない。


「普通の魔石ですね」


小鈴が三本の尻尾をゆらゆら揺らしながら眉をひそめた。「微量の魔力しか帯びていませんし……」


「だよなあ」


俺は依頼書を見返す。《光翼の聖域》と《暁の水晶》という仰々しい単語が踊っているが、要約すれば『普通の森で薬草と魔石を集めろ』というもの。報酬が破格だっただけに拍子抜けだった。


やはりただの中二病かと結論づけた。


森を出て町へと向かい、冒険者ギルドで依頼を報告する。


「薬草と魔石持ってきました!」


ティナがカウンターにどんと置くと、受付嬢が目を丸くした。


「えっ?もう終了したんですか?」


「簡単すぎました」


小鈴が薬草の束をまとめながら言う。「森の浅いところで全て揃いましたし」


「おかしいな……」


受付嬢が依頼書と睨めっこする。「本来ならBランク向けの特殊依頼という話だったんですが……」


「またリリアさんの暴走かしら……」

彼女は眉間を揉みながら呟いた。「まぁとにかく達成おめでとうございます!報酬はこちらです」


袋に入った銀貨を渡されると、ティナが大喜びで跳ね回った。


「やったー!今日は豪華ディナーだね!」


ギルドを出る時、後ろから声がかかった。


「待て」


振り返るとリリアが仁王立ちで待ち構えていた。黒いローブに身を包み、例の中二病モード全開である。


中二病のポーズを取りながら セリフ 「汝ら三勇士よ……真の試練はこれからだ」


「いやいや終わったでしょ!」


ティナがツッコむ。


「否!」


リリアが杖(弓の柄)を高々と掲げる。背後の壁に奇妙な影が歪む演出付きだ。


「今回の薬草は『封印結界の核』!魔石は『闇の奔流を防ぐ盾』!これら全てが揃ってこそ……」


「ただの薬草と魔石ですよね?」


小鈴が冷静に指摘する。


「黙れ愚民共!」


リリアのローブが突然翻り、背後の壁に巨大な魔法陣が浮かび上がった。


「これは古の預言に記された『星霜の儀式』!明日の夜に《冥府の門》が僅かに開かれる!その時こそ……」


「明日ってもう夜中じゃん!」


ティナが叫ぶ。


「そうだ!今宵の満月が天頂に昇る時……」


リリアが左手を虚空に伸ばす。すると何も無い空間から光の粒子が集まり始めた(実際は噴霧器)。


「《虚無の闇》が顕現し、この都市を飲み込む!それを阻止するために必要不可欠なのが……」


「薬草と魔石です」


小鈴が淡々と補足する。


「左様!その凡庸なる素材こそが最後の希望なのだ!」


リリアが激しく頷く。彼女の背後で魔法陣が不規則に点滅し始めた(ギミック故障)。


「ちょ、なんか焦げ臭いんだけど!」


俺が鼻をつまみながら指摘すると、リリアはようやく我に返った。


「はっ……!また装置が故障したか……」


慌てて魔法陣を解除(照明を落とす)すると、ギルド内はしんと静まり返った。


「えーと……つまり何が言いたいの?」


ティナが呆れ顔で問いかける。


リリアは咳払いをしてから、声のトーンを落ち着かせた。


「要するに……あの薬草と魔石でポーション作成をしてほしいという依頼だな」


「最初からそう言えば良いじゃないですか……」


小鈴が静かに反論する。


そして小鈴はその場でポーションの原料を作成していく、魔法陣が複数展開され、薬草が中を浮かび、乾燥、破砕、魔力との混合、加工され小さな樽に詰められていく


「魔力水の作成と加工は現地でお願いしますね」と小鈴はしっぽを揺らしながら言った。


「相変わらず、小鈴の魔法陣凄いね!」


ティナが目を輝かせた。


「ありがとうございます。」小鈴は少し照れたように耳をぴくぴくさせた。


尻尾が嬉しそうに左右に揺れている。


「これで依頼は終わりましたか?」


小鈴の静かな問いかけに、ギルドマスターは一瞬目を見開いた。その表情が不気味なほどに歪む。


「まだだ……まだ足りぬ……」


リリア(中二病モード)の声が異様に低く響く。黒いローブの裾から不気味な光が漏れ始めた。


「え?どういうこと?」


ギルドの職員が薬草の束を運んでくる。小鈴の作ったのポーション原料を見つめた瞬間。


「これだけじゃ足りないんですか!?」


驚愕の声がギルド内に響き渡った。


「そういうことだ」


リリアが不敵に笑う。その瞳孔が縦長に伸びているように見えるのは錯覚か?


「古代魔術には5つの元素が必要なのよ」


ポーズを決めながら告げる。


「地・水・火・風・そして……暗黒の5番目の力!」


「何それ?」

ティナが首を傾げる。


「分かりやすく言えば」


小鈴が冷静に分析する。


「他のポーションの原料も追加でお願いってことですね」


「さすが妖狐族」


リリアの目が妖しく光る。


「まさにその通り。この満月の夜にだけ発生する幻光樹の露と……」


「つまり追加依頼ってことですか?」


小鈴が遮るように問い返した。尻尾の先がわずかに膨らんでいる。


「違うな」


リリアが不敵に笑う。


「これは運命の選択だ」


「要するに別料金だよね」

ティナがつぶやく。


「黙れ愚民!」

リリアのローブから稲妻が走る演出(魔法陣表示ミス)。


「明日の深夜零時までに」


リリアの声が冷たく響く。


「光翼の聖域の中心で五種類の元素を集結させ……」


「つまり五種類のポーション原料を作ってくれってことだよね」

ティナが要約する。


「左様!」


リリアが杖(弓の柄)を高く掲げた。背後の壁に歪んだ魔法陣が浮かび上がる(投影機誤作動)。


「この世界をいや我を救うために」


「救わないといけないの?」

ティナが純粋な疑問を投げかける。


「当然だ!」


リリアの声が一段と大きくなる。


「この町を覆う闇の瘴気……それを浄化しなければ……」と、ポーズを決めながら言う


「ようは、町でのポーションの原料の作成が滞っているので、追加の作成依頼をお願いしたいと・・・」と受付嬢は言うと


「ポーションの要求が強いんですよね、今各地で魔物の被害が増えていまして・・・薬草の調達の問題もありますが、ポーションの原料の作り手の問題もありまして・・」と受付嬢は続ける




「それなら小鈴なら大量に作成できそうですね♪」ティナがニヤリと笑う。「いつもあんなにすごい魔法陣使ってるもん!」


「過大評価しないでください」小鈴は静かに尻尾を揺らした。三本の狐耳が少しだけ垂れる。「素材が揃えば可能ですが……」


「ふふん」


リリア(中二病モード)が得意げに杖(弓の柄)を回転させる。


「我が配下の調査隊が既に幻光樹の露を確保しているぞ」


彼女の背後で投影映像が切り替わり、森の中を飛ぶ鳥型の魔獣の群れが映し出された(ドローン操作)。


「他にも必要?」


ティナが小鈴の方を見る。


「いえ、薬草さえあれば特に問題はないかと、とりあえず量が必要ですね。薬草はありますか?」と小鈴は答えた。


「薬草ならある程度はありますよ」と受付嬢は言うと


ギルドの倉庫に案内されていく


「すごい量ですね!」ティナが目を丸くする。山積みになった薬草が壁一面に並んでいる。


「これを全部ポーションの原料にするの?」


「えぇ、そうですね」


小鈴が静かに答えた。三本の狐耳がピンと立つ。 そして魔法陣が複数展開されていく

「これで、1時間程度で薬草の加工はできるかと思います」小鈴はしっぽを揺らしながら答えた。


「す、すごい……」

受付嬢が目を見張る。空中に浮かぶ無数の魔法陣から溢れる魔力が金色の光を放っている。


「僕たちも手伝うよ!」


俺は腰からナイフを取り出した。


「ティナさんも手伝ってくれますか?」小鈴が控えめに申し出る。

「もちろん!」ティナは張り切って袖をまくった。「薬草の分別くらいなら任せて!」


「ユート様は安全確保をお願いします」

「了解」俺は周囲を警戒するように見回した。ギルド倉庫とはいえ何が起きるか分からない。


小鈴の魔法陣がゆっくりと回転し始める。薬草が自動的に選別され、切断され、乾燥されていく。


「こんな魔法……見たことないわ」

受付嬢が息を飲む。


「妖狐族の秘伝の術です」

小鈴は集中しながらも説明した。三本の尻尾が忙しなく動いている。


「すっごーい!私も覚えたいな!」ティナが目を輝かせる。

「妖狐族じゃないとなかなか難しいですよ」小鈴が優しく微笑む。


一時間後―

「完成しました」


小鈴が汗を拭う。薬草の山は全て無くなり、代わりに50を超える小樽が整然と並んでいた。中には鮮やかな緑色の粉末が満ちている。


「これで当面は大丈夫だと思います、助かりました。あとは町の錬金術師たちに頑張ってもらいます」

受付嬢は安堵の表情を浮かべた。

「何かあったらいつでも呼んでください!」

ティナが元気に応える。


「みんなお疲れさま」

俺が労うと、小鈴は小さく頷いた。

「これで町の人たちも安心ですね」三本の狐耳が嬉しそうに揺れている。


外はすでに夕暮れ時。明日の薬草採取のために早めの休息を取ることになったのだった。


明日も薬草採取なのかなぁ

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