森からの帰還
俺たちは森の奥へと進み続けていた。小鈴が先導してくれているので道に迷うことはなさそうだ。
交代で野営をし、数日かけて森の奥に到着した。
「もう少し進めば森の奥に着きますよ」と小鈴は言った。小鈴の3つの尾がゆらりと揺れている。ティナは大きな耳をピクピクさせて辺りを警戒している。
「そうか、気をつけよう」俺はティナを見ながら答えた。
俺たちはさらに歩みを進めた。途中で何度か魔物に遭遇しかけたが、ティナの察知で出来るだけ迂回して森の奥へと進んだ。
「そろそろ休憩しませんか?少し疲れました」と小鈴が提案した。
「そうだな、休もうか」俺はティナに目配せした。ティナも疲れているようだった。俺たちは木陰で休息することにした。
「この辺りなら安全だと思います」と小鈴は言った。そして小鈴が荷物から揚げパンを取り出した。
「う~!揚げパンおいしいよねえ~!」ティナは夢中で揚げパンを食べている。耳がぴくぴく動くのがかわいい。
「ハイ、揚げパン手軽に食べられるのはいいですよね!」小鈴も3尾のしっぽを優雅に揺らしながらうれしそうに食べている。
俺も揚げパンにかぶりついた。香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。衣サクサクしていてとてもおいしい。
「ユートの料理は最高です」小鈴はしっぽをゆらゆらと揺らしながら言った。その仕草はとても可愛らしい。
「うん!ユートの料理は最強だよね!」ティナも嬉しそうに答えた。ティナの耳が大きく揺れる姿がかわいらしい。俺は照れくさくなってしまった。
「ありがとう」と俺は言った。
休憩後、俺たちは再び歩き始めた。しばらく歩くと開けた場所に出た。そこには美しい泉があった。
「ここに薬草が生えているはずです」と小鈴は言った。
「よし、探そうか」俺は答えた。
ティナが耳をピクピクさせながら辺りを見渡している。
「この辺りに薬草が生えてます!」小鈴は3尾のしっぽをふわりと揺らしながら薬草を手で摘み、丁寧に根元から採取している。
「私も探すよ」ティナも薬草を探し始めた。その大きな耳が忙しなく動き、周囲を警戒しているのがわかる。
そういえばどういう薬草なんだろうか、疑問に思い小鈴に尋ねる
「神殿での依頼の薬草って何に使うんだ?」と尋ね、小鈴が教えてくれた。
「月光草といい、奥深くの森でしか採取できない薬草なんですよ、主に魔力障害とかに使われる薬草ですね。」としっぽを揺らしながら答えてくれた
。
「この薬草は魔力を調整する作用があって、魔力を操る方が良く使用します、希少なので滅多に採れないのです」ということらしい。
・・・なんで魔力の障害が発生するんだろうと考えてしまったが、何かの病気で起きるのかもしれない。
数時間がかりでようやく目的の薬草を見つけた。青々とした葉っぱを手に取りながら、小鈴が説明してくれた。
「これが月光草です。夜になると月の光を浴びてほんのり光るんですよ。主に魔力調整のために使われます」
小鈴の説明に、俺は感心して頷いた。
「すごいな。でもなんでこんな深い森にしかないんだろう?」
「一般的な薬草とは違って、月光草は魔力の濃い場所でしか育たないからなんです」小鈴はさらに詳しく教えてくれた。
ティナも薬草に興味津々だ。
「魔力調整ってどんな効果があるの?」
「例えば、過剰な魔力による混乱や不安を鎮めたり、逆に不足している場合は補ったりすることができます」
「それってすごいね!」ティナが感嘆の声を上げる。
「でも、使い過ぎると逆効果になることもあるので注意が必要なんです」と小鈴は付け加えた。
俺は薬草を見ながら考えた。この世界にはまだまだ知らないことが多い。魔力の調整ができるということは、もしかしたら魔力切れの予防とかにも使えるかもしれないな。そのためにも、もっとこの世界について学ばなければならないと思った。
「さあ、帰ろうか」と俺は言った。
「はい、帰りましょう」小鈴が3尾の尻尾をゆらゆらさせながら答える。
「うん!」ティナも元気よく返事した。
帰り道、俺たちは他愛もない会話をしながら森を抜けた。薬草の採取という目的は達成できたけれど、もっとこの世界のことを知りたいと思うようになった一日だった。
町に帰ってきた俺たちは、ギルドに報告した。ギルド職員は薬草を鑑定し、問題ないことを確認すると、報酬を支払ってくれた。
「お疲れ様です、ありがとうございます」小鈴が報酬を受け取り、俺たちに渡した。
「いやいや、小鈴のお陰だよ。薬草の知識があるからね」
「そんなことないです、ユートもティナも凄いですよ!」小鈴は3尾の尻尾を揺らしながら謙虚に言った。
その後、ギルドの解体場に森で討伐したゴブリンを取り出しだした。
「ほう、こりゃまたいいゴブリンだな。1匹銀貨1枚でどうだ?」と解体場のおっさんが言った。
「それで頼む」
「よしきた!」とおっさんは請負った。
「ありがとう」
「そういえばゴブリンってどうするんです?解体場に持ち込んでいますが」と俺は尋ねる。
ギルドのおっさんはゴブリンから魔石を取り出し、肉をぶつ切りに切っていく・・・
「・・・魔石は普通に使えるが、肉は低質の食肉として、あとは料理のダシ取りに使う感じだ。」とおっさんは答える
「解体場にゴブリンを持ち込むのはほぼ一部の冒険者くらいだ、ランクが上がるとその場に捨ててくるのがほとんどだ」とおっさんは続ける。
まあ、ゴブリン肉は臭みがきついからね。
「まあ、持って来てもらえるならありがたい」とおっさんは締めくくった。
解体場のおっさんに礼を言って、ギルドを後にした。
宿にもどり小鈴とティナと食事を取る、宿の料理は安定の固いパン、干し肉を使ったスープ、新鮮ではないサラダの定番メニューだ。
・・・あっ!忘れてた、セレスへのあんパンのお供えの催促が来るころだ!
ティナが俺に寄り添い、小鈴が3本の尻尾をゆらゆらと揺らしている。
俺たちが談笑していると、ふと背後に気配を感じた。振り返るとセレスが来ていた。
アイテムボックスからクリームパンとあんぱんを取り出しセレスに手渡す。セレスの透き通った手がパンを掴み、ほんのりと虹色に光る。ひとくち齧ると、「ふわっと柔らかくて、甘みが口に広がって……」と小声で呟き、すぐにハッと我に返った。
「あ、いえ!これは……供え物ですから!」と慌てて咳払い。けれど顔は赤らんだまま。
その反応に俺はくすりと笑ってしまう。「ありがとうね、セレス」と俺は笑いながら言った。
「いえいえ、ユート様こそいつもおいしいお供え物をありがとうございます」セレスはぺこりと頭を下げた。
セレスが去った後、俺たちは話を再開した
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