装備その1
市場の中に入ると、確かに様々な国から来たと思われる品々が並んでいた。異国情緒あふれる香辛料や珍しい食材が所狭しと陳列されている。
「砂糖はどこにあるかな?」俺はあたりを見回す。
「あっちの角っぽいよ!」ティナが鋭い嗅覚で方向を示す。
あそこで砂糖が売られているようだ、護衛の姿も見える。
砂糖の値段表が目に飛び込んできた。
『上級白砂糖:1kg 金貨1枚』
『黒砂糖:1kg 大銀貨5枚』
「……金貨1枚?」
俺は思わず呟いた。
王都でもやはり砂糖は高価だと思ったがここまでとは。
ティナと小鈴も目を丸くして値札を見つめている。
「わかってはいましたがやはり高いですね……」小鈴が静かに言う。
地方の町ではなかなか手にするのにも苦労するし、流通量がそもそも少ない、王都ならばとは思ってはいたが売ってはいるがやはり高い、ただ流通はしている。
地方の町の専門店で買うよりも安い値段となっているため地方町よりは安く買えるということだ。
「お嬢さんたち、王都は初めてかい?」
店主らしき中年の男性が声をかけてきた。
「はい、最近来たばかりです」
俺が答えると、店主は頷きながら説明してくれた。
「砂糖は王侯貴族や富裕層の贅沢品や薬だからね。庶民の生活にはなかなか届かない代物さ」
「なるほど……」俺は腕を組んで考える。
今回の依頼報酬で金貨数枚を手にしていたとはいえ、それでも砂糖を大量購入するのは躊躇われる金額だ。
でもあんぱんやその他の料理やお菓子を作る上でどうしても砂糖はほしい、セレスへのお土産にもなるし、たまにエーテルから・・・あんぱんやお酒やお供の催促の・・・お告げが・・・くる。ためらいもなく金貨10枚と大銀貨10枚を払って砂糖と塩を購入した。結構痛い出費だ。
「小鈴・・・お願い」
「ハイお任せください」
彼女はにっこりと微笑むと、俺が持っていた袋を受け取ってアイテムボックスに収納してくれる。
「よしっ!」
これで次回あんぱんを作ってあげられるぞ!
「他にも調味料や香辛料を見ていきましょう」
俺たちはさらに市場の奥へと進んでいった。
スパイスやハーブの香りが漂う一角では、異国の商人たちが商品を並べていた。
珍しい調味料やハーブが並んでいる棚の前で、俺は小鈴に尋ねた。
「これって何に使うかわかるか?」
「ハイ、これは・・・」
小鈴は博識なところもあり、いくつかの調味料について詳しく説明してくれた。ティナは好奇心旺盛に色々なものに鼻を近づけて匂いを嗅いでいる。
「わぁ〜!この匂い好き!」
ティナが一番気に入ったのは唐辛子によく似た赤いスパイスだった。
「これは唐辛子っていうんですよ」
店主が教えてくれる、そのまんまだ!?
「熱くて辛いけど旨味もあるんです」
俺は少し購入してみることにした。
その他にも岩塩やニンニク、ショウガなど基本的な調味料も買い足していく。
そしてなによりも油だ、油を購入。食用の油はなかなか少ない、現地消費がほとんどだから、オークの脂身とか普通に食べちゃうし。
ティナは新しいものに目がないようで、あちこちで「これ買って!」と声をかけてくる。
「そうだな〜、必要なものだけにしよう」
俺は制限をつけつつも、いくつかは彼女の希望も叶えてあげることにした。
市場での買い物を終えた頃には昼前になっていた。
「いっぱい買ったね〜!」
ティナが満足げに言う。
「ハイ、これで当分は大丈夫ですね」
小鈴もにっこりと微笑む。
「そろそろ昼食にしようか」
市場の片隅にあった屋台で、俺たちは串焼きや野菜の煮込みなどを購入した。
「わぁ〜!おいしそう!」
ティナが目を輝かせる。
市場のベンチに座って、俺たちは王都の喧騒を眺めながら昼食を楽しんだ。
食事中に、俺はふと思い出して言った。
「そういえば、これからどうする?」
「う〜ん・・・」
ティナは首を傾げながら考え込む。
「武器屋で剣やナイフを見るってのはどう?」
俺が提案すると、ティナが目を輝かせて賛成した。
「そうだね!私の剣も研ぎ直したほうがいいかもしれないし」
小鈴はローブなどの魔術師用品を見たいと言い出した。
俺自身は防具に興味があった。王都ならば地方の町よりも質の高い装備が手に入るかもしれない。
「じゃあそれぞれ武器屋を見て回ろうか」
俺たちは市場を後にし、王都の武器屋に向かった。
王都の中央通りから一本裏に入ったエリアは、様々な武具店が軒を連ねる武具街となっていた。
「わぁ〜!すごいね!」
ティナが感嘆の声を上げる。
大小さまざまな武器や防具が飾られ、職人たちが刀剣を研ぐ音が響いている。
「まずは防具を見ていこう」
俺は一番大きな武具店に入っていった。店内には鎧や盾、各種防具が所狭しと並んでいる。
「これが噂の鉄製のプレートアーマーか・・・」
俺は重厚な鎧を手に取りながら呟いた。
「ねえねえユート!これどう?」
ティナが呼ぶ声に振り返ると、彼女は軽装の革鎧を持っていた。
「軽くて動きやすいよ!」
試着してみるとサイズもちょうど良く、彼女の素早い動きを邪魔しないデザインだ。
「いいんじゃないかな?値段は・・・」
店主に尋ねると、銀貨10枚とのこと。
「・・・いいんじゃないか?ティナにの革鎧ほうが合うだろうし」
悩んでいると、
小鈴が別の鎧を持ってきた。
「こちらはどうでしょう?動きやすく軽いですが防御力もそれなりにあります」
「へぇ〜!本当に動きやすい!」
試着したティナが嬉しそうにジャンプしてみせる。
「こっちにしようかな!」
結局ティナは小鈴が持ってきた鎧を選んだ。
「次は武器を見てみよう」
俺たちは店の武器コーナーへ移動した。
そこには様々な剣や槍、斧などが並んでいる。
「うわぁ・・・」
俺は圧倒されながらも一振りの長剣に目を奪われた。
青い光を放つ刀身を持つ美しい剣だ。
「これは・・・?」
店主に尋ねると、鋼鉄で作られた剣だと言う。
「お若いのに目が高いですね」
店主は自慢げに説明する。
「すご〜い!」
ティナも目を輝かせて見つめている。
小鈴は興味深そうに触れてみたりしている。
「この剣はいくらだ?」
俺が聞くと、店主は笑顔で答えた。
「金貨10枚です」
「・・・やっぱり高いなぁ」
俺は苦笑いを浮かべた。
「でも欲しい・・・」
ティナがポツリと呟く。
小鈴も困ったような表情を浮かべている。
「まあ無理せずいつか買おうか」
俺は諦めることにした。
俺は店内を見回しながら自分に合った防具を探し始めた。
ティナは素早い動きが得意なので軽めの剣を選ぶのがいいだろう。
そして小鈴は解体用のナイフで決まりだ。
「ティナは軽い剣がいいだろうな」
俺はいくつかの軽めの剣を持ってきてティナに見せた。
「わぁ〜!どれもかっこいい!」
ティナは目を輝かせて手に取っていく。
最終的に彼女が選んだのは軽くて持ちやすいショートソードだった。
「これなら使いやすいよ!」
ティナが嬉しそうに言う。
「ああそうだな、攻守のバランスもいい」
俺も納得のチョイスだった。
銀貨8枚で購入
ご購読ありがとうございます




