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護衛依頼その2

夜明け前、俺たちは起きて身支度を始めた。小鈴もティナもまだ眠そうにしている。


「見張りおつかれさまです」俺は鋼鉄の盾と流星の矢に挨拶した。


「ああ、特に何事もなかったよ」眠そうな目を擦りながら答えた。


俺は周囲を見渡した。他の商人たちは既に起きて朝食の準備を始めている。荷馬車の周りでは従業員たちが忙しそうに働いていた。


「みんな、おはよう」俺はティナと小鈴に声をかけた。


「おはよ~」ティナが伸びをする。彼女の猫耳が朝日を浴びて金色に輝いている。


「おはようございます・・・」小鈴が目を擦りながら答えた。三本の尾がまだ眠そうに揺れている。


俺たちは簡単な朝食を摂った後、出発準備を始めた。馬車隊全体が動き出すのはもう少し後のようだ。


別の商隊達も合流しこれから進むそうだ、護衛の数も増えるので問題はないだろう、難点は商隊が長くなることだろうか?


「さて、今日も一日がんばるぞ」俺は自分に言い聞かせるように言った。


「うん!がんばるよ!」ティナが元気よく答える。


「ハイ、油断しないように注意します」小鈴も真剣な表情で頷く。


俺たちはライルさんのいる先頭の馬車に向かった。


「おはようございます」俺はライルさんに挨拶した。


アーレスさんもいるようだ。


「おはよう、ユート」ライルさんが答える。「今日は少し長い行程になるぞ。途中で合流する予定の商隊もあるからな」


「わかりました」俺は頷いた。


「今日は特に気をつけよう、なんたって最初の商隊との合流点を通過するからな」ライルさんが付け加える。「混雑するだろうし、それだけ危険も増える」


「はい、気をつけます」俺は真剣に答えた。


「うむ、頼むぞ」ライルさんは頷きながら言った。「アーレス、お前も若い連中に助言してやってくれ」


アーレスさんは無言で頷いただけだった。相変わらず寡黙な人だ。


その後、商人たちは食事の準備を始めた。大きな鍋でスープを煮込み、硬いパンを配っている。俺たちもそれに加わることになった。


「美味しいですか?あんぱん」俺はライルさんに聞いた。実は暇そうだったのでアイテムボックスから取り出してあげたのだ。


「いやーうまいよ!こんなパンが世の中にあるなんて・・・王都でも売ってくれないかな~」


「そういえば、ライルさんって王都出身なんですか?」俺は興味本位で尋ねた。


「いや、俺は田舎生まれだよ」ライルさんは苦笑いを浮かべる。「でも、護衛依頼で何度か王都に行ったことがある、あとは剣術大会だな」



「ライル、アーレス、そろそろ出発の準備を」商人の一人が声をかけてきた。


「わかった」ライルさんは立ち上がった。「ユート、ティナ、小鈴、行くぞ」


俺たちは馬車に戻り、出発の準備を整えた。荷物の固定を確認し、各自装備の点検を行う。


まあ、俺と小鈴は防具の点検くらいだが。


「みんな、準備はいいか?」ライルさんが確認する。


「OKです」「大丈夫だよ!」「問題ありません」と皆が答える。


商人の馬車隊が出発し、我々はその後を追う形で移動を始めた。今日も長い一日になりそうだ。


商隊との合流地点に到着した。予想通り、多くの商人たちが集まっており、活気がある。ここは周辺への見渡しがよく、魔物や盗賊が居るのを察知しやすいからよく使われるらしい。護衛の冒険者たちも様々で、大勢の人々で賑わっていた。


「これから林に入るルートを取るからな」ライルさんが注意を促す。「特に気をつけろ。ここから先は見通しが悪くなる」


「わかりました」俺は頷いた。「特に何に気をつけたらいいですか?」


「魔物だ」ライルさんは厳しい表情で答えた。 「森の中ではゴブリンやオークに出くわすことが多い。それと狼の群れには注意が必要だ」


「群れですか……」俺は不安そうに呟いた。群れとの戦闘経験はほとんどない。


「ユートくん」ライルさんが声を潜めた。 「もし敵の数が多い場合は無理せず合図を出せ。全体で対応する」


「はい」


「ライルさん、私たちには回復魔法もあるので多少の怪我であれば問題なく治せますよ」


「そうか、それはありがたいな」


アーレスさんは何も言わず、ただ自分の槍を握り直していた。


林に入ってから30分ほど経過した。木々の隙間から差し込む光が不規則に馬車道を照らしている。周囲からは鳥のさえずりや枝葉の揺れる音が聞こえてくるだけで、今のところ平和そのものだ。


「何か来ます!」突然、ティナが警告を発した。彼女の猫耳がピンと立っている。


「方向は?」ライルさんが即座に反応する。


「前方、距離は約200メートル」ティナが答える。「数は多いです、10匹以上は確実にいる」


「おそらく狼系の群れだな・・」ライルさんが呟く。


「止まってください」俺は商人たちに合図を送った。馬車が次々と停止していく。


「全員、準備!」ライルさんが声を張り上げる。


「ティナ、索敵を継続して」俺は指示を出した。


「任せて!」ティナが頷く。


「小鈴、万が一の時は魔法攻撃を頼む」俺は小鈴にも指示する。


「ハイ、了解です」小鈴が三本の尾を揺らしながら答える。


間もなく、林の奥から灰色の塊が次々と姿を現した。思ったよりも大きい個体が多い。牙を剥き出しにして唸り声を上げている。間違いなく狼系の魔物だ。


中には一回り大きな個体も含まれている。


「フォレストウルフだな」ライルさんが低く呟く。「厄介な相手だ。特に群れになると・・だが、俺とアーレスなら2人で大丈夫だと」ライルさんは続ける


「ユートたちは馬車の後方を頼む、鋼鉄の盾と流星の矢は馬車の左右の警戒を」



ライルさんが指示を出す。


「了解です!」俺は返事をした。


狼たちはこちらの様子を伺いながら徐々に包囲網を狭めてくる。一体が吠えると、他の個体もそれに応じるように咆哮を上げた。


「来るぞ!」ライルさんが叫ぶ。


最初の一匹が飛びかかってきた瞬間、ライルさんの剣が閃いた。鮮やかな一閃で狼を両断する。血飛沫が飛び散り、森の中に赤い花が咲いた。


「すごい……」俺は思わず呟いた。


しかし、戦いはまだ始まったばかりだ。他の狼たちが一斉に襲いかかってくる。鋼鉄の盾と流星の矢も必死に狼をけん制している。


「ティナ、小鈴、防御に徹するんだ!」俺は叫んだ。「深追いはしないで!」


「わかった!」ティナが即座に応じる。


「ハイ!」小鈴も頷く。


戦闘は激しさを増していく。狼たちの統制の取れた動きに、冒険者たちは苦戦しているようだ。特に小さい個体が素早く動き回り、予想外の方向から攻撃してくる。

ライルさんとアーレスさんは圧倒的な戦闘力で次々と狼を倒していく・・・

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