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小鈴の強さ

しばらくして、俺たちも落ち着いたところでギルドの食堂で昼食をとることにした。


「とりあえず小鈴の単独依頼の話は終わりだな」と俺は話を切り出した。


「そうですね、今回、助かりました」と受付嬢が礼を言う。


「うん、小鈴すごかったね」とティナが感心する。


「ありがとうございます!」小鈴が照れながら笑う。三本の尻尾が喜びに踊る。


「それにしても、あんな大量にポーションの原料を作れるなんて思わなかったよ」と俺は感心する。


「ハイ、私、妖狐族の製法を知っていますから」と小鈴が誇らしげに言う。


「へぇー、それは凄いね」とティナが称賛する。


「それにしても、受付嬢の話だと聖教国は壊滅状態なんだな」と俺は思い返す。


「そうですね、あの国は自国の有益に固執するあまり、外部の意見に耳を貸さなかったみたいです。それが仇となったのでしょう」と受付嬢が憂いを帯びた表情で語る。


「まあ、今は過去を振り返るより、未来に目を向けるべきだな」俺は話を切り替える。


「そうですね。今回の依頼で周辺国への支援になりますし、あとは現地の人に頑張ってもらいましょう」と小鈴が締める。


昼食を食べ終え、俺たちはいろいろと話合う。


「この町ってポーションの生産の拠点の一つなんだってな、今まで気づかなかったよ」と俺は聞いたことを話した。


「そうなんだよね、薬草が採取できる地域が限られるから」とティナが続ける。


「私の村でもにもポーションの生産をしていましたね、そのおかげで余裕がありましたから」と小鈴はそう言った。


「ポーションの原料って、ここ以外だと他にはどこで作られているんだ?」俺は気になったことを尋ねる。


「そうですね、他にもいくつかの町で生産されていますが、ほとんど自然豊かな草原や森がある地域でですね、薬草が手に入るのが条件になるので」と受付嬢が説明する。


「それに、ポーションにしてしまうとは日持ちがしませんから、使用期限があるんですよ」と小鈴が補足する。


「そうなんだ。だから原料で送るのか」俺は興味を持つ。


ポーションにしてしまうと、瓶の費用や梱包にもお金がかかるし、輸送途中で割れてしまうリスクもあるらしい。


「ただ、魔力水そのものが作成の手間がネックなんですよね・・・」受付嬢がため息をつく。


硬い魔石を細かく砕いて、水に長時間かけて溶かし込むか、水に魔力を長時間込めないと作れないそうだ。


「この町では魔石を砕いて作っているんですよね?」とティナが聞く。


「そうですね、魔法は誰でも使えるわけではないので、魔石を砕く方法が一般的になっています」と受付嬢が答える。


魔力で魔力水を作るのもかなりしんどい、長時間魔力を制御しなければならないからだ。


「神殿や錬金術師はその辺で苦労されているようですね」小鈴が付け加える。


「まあ、私達は3人とも回復魔法使えるし、あまり使う機会がないと思うけど」ティナが言い、俺も同意する。


そして俺たちは午後は訓練へと訓練所に向かった



「それじゃあ今日も訓練頑張ろうな!」俺は意気込む。


「うん、強くなっていきたいしね」とティナも頷く。


「ハイ、私も全力でサポートします!」小鈴が尻尾を振る。


小鈴による訓練は、相変わらず厳しいものだった。しかし、回復魔法を使ったトレーニングは効果絶大で、俺たちの基礎体力は大きく向上していた。


「ハイ、次は体術の訓練をしましょう!」小鈴が提案する。


「分かった。よろしく頼む」俺は了承する。


小鈴とは体格差がかなりあるので、ティナと組手をする。といってもまだティナのほうが背が高い。


「ユート、なかなかやるね!」ティナが感心する。


「まあ、お互い訓練してるし」と俺は返す。


ティナのスピードは猫族ならではのものだった。素早い動きで俺を翻弄してくる。俺も負けじと立ち回るが、なかなか捉えることができない。



ティナの腕を掴もうとするが、するりと腕を抜き猫ぱんちを放ってくる。避けるのが精一杯で、逆にカウンターで背中に軽く当てられてしまう。


悔しさを噛み殺す俺の顔を見て、ティナは楽しそうに「ユート、まだまだだね〜♪」と笑う。猫耳がぴょこぴょこ揺れているのが腹立たしい。


「ハイ、ユートさん!体の軸がブレてますよ!」小鈴が三本の尻尾をピンと伸ばして指摘する。「ティナのスピードに対抗するなら重心移動を意識して!」


俺は再び構える。だが何度挑んでもティナの動きを捉えられない。フェイントに引っかかり、気づけば足払いを食らっている始末だ。


「やっぱ体動かすの苦手だ……」思わず本音が漏れる。日本にいた頃は運動神経が悪いわけではなかったが、この世界の基準では凡庸以下だ。ティナのような野生の俊敏さには全く太刀打ちできない。


「まあまあ!訓練すれば変わるかもしれませんし!」小鈴が慌ててフォローしてくれる。三本の尻尾が慰めるようにフサフサ揺れている。


「いろんな適正を見極めるためにいろいろ習ってみるか・・・」

俺は苦笑しながら頷く。実際、自分の将来が漠然としていることに不安を感じていた。


「そうだね、今のうちに自分の向き不向きを把握しておいた方がいいもんね」とティナも同意する。彼女はすでに前衛向きであることがハッキリしていた。


「ハイ、私もお手伝いしますから!」小鈴が三本の尻尾をピンと立てて意気込む。


その後も様々な訓練を試したが、やはり体術系は不得手だと再認識させられるばかりだった。攻撃に転じようとするとティナに簡単にカウンターを取られるし、防御に徹しようとすれば小鈴の魔法に翻弄されてしまう。


「……次は槍術を習ってみるか……」と肩を落とす俺。


「そうですね、いろいろ習ってみるといいかもしれません……でも体術も基礎体力が上がれば、いざと言う時に役立ちますよ」と小鈴が優しく諭してくれる。


「そうだよ!それに魔法メインだったら余計に体は鍛えておかないと!」ティナも前向きなアドバイスをくれる。

結局、その日は基本的なステップワーク中心に繰り返すことになった。自分の弱点を認めるのは悔しいが、今は目の前の課題に向き合うしかない。


「よし、次の機会にはギルドで槍術を教わってみよう」俺は決意を新たにする。ティナや小鈴のおかげで前向きな気持ちになれた。



夕焼け空が茜色に染まり始めると、俺たちは訓練を終えて宿へと戻ってきた。


「ふぅ〜今日は結構疲れたなぁ」俺は階段を上りながら伸びをする。


「ユート、今日は結構頑張ったじゃん!」ティナが猫耳をピコピコさせて褒めてくれる。


「そうですね、特にステップワークは随分洗練されてきましたよ!」小鈴も三本の尻尾をフワッと揺らして頷く。


部屋に入り装備を脱ぐと、小鈴がすぐさま回復魔法をかけてくれた。


体が芯から暖まるような感覚にホッと息を吐く。訓練は厳しいが、確実に前に進んでいる実感があった。


明日は基礎体力の訓練か・・・そう考えながらベッドに横になると、小鈴とティナも一緒に寝床に潜り込んだ。一日の疲れが徐々に取れていくのを感じながら、俺は眠りについた。


朝、目覚めてから昨日の反省や今日は何を重点的にやるかをみんなと話し合い宿を出た。


そしていつものように荷物を背負い、山道まで走る、そして山道に着いたら走って山道を登り、下山するこれを1日でこなせるようになった、以前とはペースが段違いだ。


以前なら2日は掛かった時間が1日でこなせるようになったのは小鈴のおかげだろう、ただ従属魔法で強制的にやっているので精神的にはかなり辛いが、ただ慣れはしてきた


「今日もよく頑張りましたね、回復魔法を掛けますので楽にしていてくださいね」と小鈴が3本の尻尾をなびかせながら言った。


そして宿に戻り、飯を食べた後にいつも通りの訓練所にて訓練をしている。小鈴の訓練は非常にハードで、そのおかげか体が随分と楽になっている


回復魔法のおかげかと思われるかもしれないが、従属魔法で強制的に回復させるため体が壊れることはない、多少痛みや倦怠感はあるが・・・

あとは小鈴が俺たちの負担にならないようなメニューを考えてくれるのもある、以前よりも強くなっているのは感じる


小鈴も訓練自体はこなしているが俺やティナに比べたら明らかに物足りなそうにしていた。こなしている訓練は俺たちの倍程度だが、かなり余裕がある様だ、流石妖狐族の巫女だ。


「妖狐族の巫女ってみんな強いのか?」俺は小鈴に聞いてみた。


「ハイ、巫女になる前にかなり修行を積みますし、巫女になってからも厳しい修行は続くので・・・それに私はまだまだ若輩者ですよ」小鈴は三本の尻尾をふりふりと揺らしながら言った。


「それに、私よりお姉様のほうが強いですし、母も私なんかよりずっと強いです」と小鈴が答えた。


「妖狐族の巫女ってそんなに厳しいんだ」とティナが驚いている。

「なので冒険者となって世界を見て回るのは夢でもあったんです」小鈴が目を輝かせながら言った。


「なるほどな、それで村を出たわけか」俺は納得した。


「ハイ、私は外の世界を見てみたいと思っていましたので、村での巫女の仕事はお姉様とお母様にお任せです」と小鈴が尻尾を揺らしながら言った。


小鈴が冒険者となった理由が分かった気がした。そして彼女の実力にも納得がいった。


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