小鈴のブートキャンプ
訓練が一段落し、休憩することにした。俺たちは木陰に腰を下ろし、水分補給をしながら雑談に花を咲かせた。
「そういえば、昨日の高LVのウサギの件だけどさ」俺は切り出した。
「うん?それがどうかしたの?」ティナが反応した。
「あの時、小鈴がいなかったら危なかったと思うんだよね」俺は率直な感想を述べた。
「そうですね。私も苦労しました、私は森でなんどか遭遇したことがありましたがその時はお姉様が居ましたので・・・複数いたらほぼ詰みですね」と小鈴
・・・複数個体かあまり考えたくはないが森や土地に入ると複数の高LVの魔物に遭遇しやすくなるそうだ。
Eランク昇級はもうすぐと考えていたが、高LVのゴブリンが複数いたら無理だな実際。高LVオーク相手とか無理だろう。
強くになるためにはLV上げるのが早いと思ったが小鈴に聞いた話、HPやMPが増えるだけで技術やスキルは変わらないそうだ
訓練一筋しかあるまい。小鈴から教えてもらえたりできないだろうか、彼女の魔法構築は凄いし体術もかなりのものだ、昨日のあれを見ると凄さがわかる
小鈴にティナと一緒に体術などの訓練を頼めないだろうか?相談してみよう
「私に教えを乞うのですか・・・!?」と驚いた様子だったがすぐに冷静になり「いいでしょう!ただし厳しいですよ?」とニッコリ笑っていた・・・怖い。
「お願いします!」とティナが恐縮しながら頭を下げた。俺も慌てて倣った。
「任せてください!、うふふ楽しめそうです。」小鈴は胸を張って応えてくれた。三本の尻尾がフリフリ揺れていた。
小鈴は「まずはこれをしますと」俺たちの足元に魔法陣が現れ、手首に模様が現れた。「従属を受け入れますか?と表示される」
「これは従属の契約魔法です、これから私が課すメニューを淡々とこなしてもらいます、もちろん従属魔法で強制的に行います。」
と、かなり怖いことを言ってきた。俺たちは小鈴に従属を受け入れると申しでると、
にっこり微笑んで「じゃあ、ガンガン行きますよー」と笑顔で答えた。
『従属契約』・・・と表示され「従属完了されました」とメッセージが表示された。
これで何が変わるんだろう・・・?
「はい!それでは、『走り込み』から始めましょうか♪」小鈴は楽しげに宣言した。
「走り込みですか??」ティナが不安そうな顔になる。
「そうです!まずは体力作りから始めましょう。山道まで休みなしで走ります!」小鈴はやる気に満ち溢れていた。
「ここから山道まで結構あるよね・・・?」と俺はおそるおそる聞いてみる。
「そうですね、半日ほどでしょうか。さぁ、時間は有限です!行きましょう!」
俺たちは小鈴に促されるまま走り始めた。最初は普通のペースで走っていたが、次第に速度が上がっていき、息が上がってきた。
「も、もう無理・・・」と俺が弱音を吐き始めたころ、小鈴は俺たちに命令を下した
「ハイ、休まない無理してでも走る、無理なら回復魔法で自力で治す、体が悲鳴上げてても魔法を使う訓練にもなります」と
従属しているおかげで、強制的に回復魔法も使ってしまう。倒れても意思に反して起き上がるという・・・
ティナはすでに汗びっしょりだった。俺も膝に手を当てて荒い呼吸を繰り返していた。
「二人とも情けないですね〜。まだまだこれからですよ?」小鈴は涼しい顔で笑っている。
小鈴はいつのまにか手に持った巻物をパラパラとめくりながら俺たちの走り方をチェックしているようだ。
「ハイ、そこで左、続いて右、踏み込み甘い!」小鈴は容赦なく檄を飛ばしてくる。
俺たちの走法など何を基準に言っているかわからないが、おそらく小鈴が思い描いている走法があるのだろう。
「ハイ、もう少しスピードあげてください、二人とも遅いです、MP消費してでも走る!」
小鈴曰く、体を動かすのに魔力を使って動かすと反射神経があがるんだとか、ただ無意識して使えるようになるには時間がかかると。
身体強化と違うのだろうか?鑑定では細かいことがわからないのが難点だ。
小鈴の指示で俺たちは必死に走った。足がもつれそうになるが、歯を食いしばって耐える。ティナも必死に食らいついている。
「あと少しですよ!頑張って!」小鈴の声援が背中を押してくれる。
ようやく山道入口が見えてきた。ここまで来たという達成感で俺は思わず座り込みそうになったが、小鈴の睨みに気が付き我慢した
小鈴はアイテムボックスからバックを取り出し、近くにある石などを詰めていく、「次はこの重りを背負って、山道を登ります♪」と笑顔で言うが目が笑っていない・・・
「さすがにそれは・・・」ティナが抗議しようとするが、小鈴の一睨みで大人しくなる。
俺もティナも重りを背負わされ、山道を登ることになった。石の重さは想像以上に重く、一歩踏み出すのも辛い。
「よし!行きますよ!」小鈴は先頭を切って進み始める。
「待ってください、重すぎて・・・」ティナが泣き言を言う。
「情けないですね。私も背負っていますよ?」小鈴は平然とした顔で言う。
確かに小鈴も同じ量の石を背負っているはずなのに、全く苦しそうな素振りを見せない。
「ハイ、早くしないと夜になってしまいますよ?頑張れ、頑張れ、できるできる」と俺たちを急かす。
俺たちは必死に山道を登り始めた。一歩進むごとに汗が噴き出て、足がガクガク震える。
俺は途中で何度もしゃがみ込みそうになったが、小鈴に叱咤されて立ち上がった。ティナはさすがは猫族ではある、身体強化もあるおかげで結構こなせてる
「どうしました?もう限界ですか?このままだとFランクのままですよ?」と小鈴が煽ってくる。
「ま、まだ・・・大丈夫です」と俺は虚勢を張る。
「そうですか?ではこの速度を保ってくださいね♪」小鈴はさらなる要求をしてきた、どのみち従属の契約のおかげで無理にでも体が動いてしまう。
体が悲鳴を上げても動き、倒れても強制的に自分で回復魔法を使わされ、精神がまいってしまっても、動き続けてしまう。
結局俺たちは何時間もかけて山頂まで辿り着いた。日の暮れる中、小鈴は満足そうに「今日はここまでとしましょう」と終了を告げる。
「明日からもっと過酷な修行が始まりますから、しっかり休んでくださいね?」小鈴は去り際に意味深な言葉を残す。
その言葉を聞いて俺とティナは震え上がった。明日からの地獄の訓練を想像して、二人で抱き合って泣いた。
「ハイ、また明日ですね、これを飲んでくださいMP回復効果もありますと」と小鈴はアイテムボックスから回復ポーションを取り出し手渡してくる。
小鈴はまだ訓練を行うようだ、小鈴と俺たちの違いに愕然とする。
俺とティナは放心状態で見送った。今日の訓練は終わったが、明日からのことは考えたくない。
「ねえ・・・本当に私たち大丈夫かな・・・?」ティナが不安げに尋ねてくる。
「わからん・・・ただ一つ言えるのは・・・」俺は暗い顔で続ける。「俺たちは小鈴の玩具にされてしまったようだ・・・」
その夜、俺たちは宿で泥のように眠った。体中の痛みで眠りは浅く、何度も悪夢にうなされた。
叱責され、怒鳴られ、鞭を打たれ、恍惚の顔をし高笑いを上げる小鈴の姿みた夢だった・・・。
朝、目が覚めると全身筋肉痛だった。体を起こすのも一苦労だ。
隣を見ると、ティナも同じような状態だった。顔色が悪く、目の下には隈ができている。
「おはよう・・・体、大丈夫?」とティナが弱々しく声をかけてくる。
「ああ・・・なんとか・・・」と答えるのが精一杯だった。
「ハイ、お二人とも起きてください!朝ですよ!訓練を始めます!」小鈴の元気な声が響いた。
俺とティナは恐怖で飛び起きた。小鈴は相変わらずの笑顔で立っていた。
「今日はさらに過酷なトレーニングをお約束します!」小鈴は嬉々として宣言する。
「今日は、荷物を背負って山道を降り、町にもどります。本日は昨日よりペースアップしていきましょう、体の痛みにもなれる訓練ですよ」と小鈴は笑顔で答えた。三本の尻尾が激しく振られている。
俺とティナは絶望的な表情を浮かべた。昨日よりも過酷な訓練が待っている・・・。
俺たちの冒険者生活は、小鈴による過酷な訓練によって一変したのだった。
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