精霊膜の訓練
部屋に着くとベッドに倒れ込んだ。
「疲れたぁ……森は当分こりごりだ、気が疲れる」
「本当ですね」ティナが苦笑する。
「でも楽しかったですよ」小鈴が言う。
三本の尾が満足げに揺れている。
「そうだな」
「明日はゆっくり休みましょう」
「うん」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
俺たちは眠りについた。
次の日はギルドの訓練所にティナと小鈴と訓練をしていた
ティナは剣の基本を教えてもらっているところだったが、なかなか筋いいらしい。少しコツをつかみ始めていた。
「うーん短剣と違って……やっぱ上手くいかないなぁ……」
ティナが諦めたように言う。
「まぁ最初はそんなものですよ」と小鈴が慰める。
三本の尾が優しく揺れていた。
「ユートはなにをする?」とティナが聞いてくる。
「まずは魔力の流れを循環する訓練かな、それと精霊膜を使った訓練をするつもり」
と、精霊膜を発動する
「精霊膜を使いながら、回復魔法を使ってて気づいたんだ、回復魔法の効果が精霊膜にもでてるみたいでさ」
「精霊膜に回復魔法の効果?」ティナが首を傾げる。
「そう。精霊膜を通して体全体に回復魔法の効果が広がってるような感じがするんだ」
「なるほど……」小鈴が考え込む。三本の尾がピクリと動いた。
「となると、他の魔法の効果も乗る感じでしょうか」
「たぶんそうかもしれない、うまくいけば火魔法でパンチとかできるかもしれないし、魔法での防御もできるかもしれない。」と、俺は説明した。
「それは凄いですね」と小鈴。
「ちょっと試してみようか」
そう言って俺は精霊膜と火魔法を発動してみた。
「おぉ……!」ティナが驚く。体全体が薄く赤く光っていた。
俺は拳に精霊膜を集めてみる。剣術がダメな俺でもパンチならさすがに失敗はしない。
格闘技はゲームでしか知らないけど……
「フッ……」軽く息を吐き、ジャブを繰り出してみた。シュッという風切り音とともに炎魔法が生まれた。
「凄い威力です!」小鈴が目を丸くする。
「ほんとにパンチが炎属性になったみたいですね!」ティナも興奮気味だ。
次に両足に精霊膜を集め跳躍してみる。蹴りも炎属性攻撃になったようだ
「おおー!」ティナと小鈴が拍手する。
「なるほど……これは使い方によっては面白いかも」俺は満足げに頷いた。
「じゃあ次は防御魔法ですね」小鈴が提案する。
三本の尾が期待に揺れていた。
「そうだな、やってみるか」
俺は精霊膜に風魔法を纏わせるイメージで訓練を行う
「フッ……!」全身に緑色の光が走る。まるで風を纏っているようだ。
俺は手刀を切るような動作で防御姿勢を取る。目の前に薄い膜のようなものが形成された。
「これでよし……と」
俺は小さく笑った。
ティナが小石を拾って投げてくる。
パシッ!小石が膜に当たって弾かれる。
「凄い!本当に防いだ!」ティナが喜ぶ。
「まぁ小石だし……」俺は照れ臭そうに頭を掻いた。
「でも凄いですね!」小鈴が目を輝かせる。三本の尾が激しく揺れていた。
「そうか?まぁ確かに面白そうだな……」俺は自分の掌を見つめる。
「他にも色々試してみよう!」ティナが提案する
。
「例えば?」
俺が聞き返す。
「雷魔法とか!相手を痺れさせるのとかどうでしょう?」小鈴が目を輝かせた。
「おー!いいね!」ティナも賛成する。
「よし、やってみるか」
俺は雷魔法を精霊膜に込めるイメージで試してみた。ビリビリッ!という音と共に全身から紫色の電気が迸る。
「おぉぉぉぉぉ……!」ティナと小鈴が驚きの声を上げる。三本の尾は恐怖のあまり逆立っていた。
「……って、やり過ぎたかな?」
俺は慌てて魔法を解除する。バリバリッと音を立てて電気が消えた。
「……ちょ、ちょっと怖かったです……」小鈴が震える声で言う。三本の尾は完全に垂れ下がっていた。
「ご、ごめん……」俺は頭を下げた。
「でも凄かったよ!もっとやってみて!」ティナは好奇心旺盛なようでまだ目を輝かせていた。
「うーん、次は何にする?」俺が尋ねる。
「水魔法とかいいかも!火の次は水でしょ?」小鈴が提案する。
「お、それいいね!氷とかどう?カッコイイかも!」ティナが乗り気になる。
「よし、やるぞ!」
俺は水魔法を精霊膜に込めるイメージで訓練を行う。全身が青白い光に包まれる。
「おお!これもカッコイイ!」ティナが歓声を上げる。三本の尾が再び嬉しそうに揺れた。
俺は手刀を切るような動作で水魔法を纏わせる。刀身のように水が形作られる。
「す、凄い!これなら剣術できなくても十分戦えるよ!」ティナが目を輝かせる
。
「そうか?まぁ確かに……」俺は自分の掌を見つめる。
「もっと色々試してみましょう!」小鈴が提案する。三本の尾は完全に元気を取り戻していた。
「そうだな、じゃあ次は……」
俺は訓練を続けた。ティナは剣を腰に巻き、基本の型を繰り返しているようだった。
小鈴は自身の魔法陣でサポートしているようだ。
ティナが小鈴に声をかける。「どう?私の動きは?」
「うーん……もう少しこうした方が……」小鈴は三本の尾を揺らしながら的確に指導する。
「なるほど!こうかな?」
ティナはすぐに修正して動きを改善していく。
「ふふっ、どんどん良くなってるよ!」小鈴は満足そうに微笑む。
「やったー!ありがとう!」
ティナは嬉しそうに笑った、俺は魔法の基礎訓練を続けた




