森周辺の調査
東門を出ると、以前討伐したゴブリンが出てきた森が見えてきた。
「あの時より魔物の数が増えているそうですね」と小鈴。
「うん、ゴブリンたちもあんなに弱くはないと思っていたが、それでも・・・」
「まずは森の周辺から調べましょう」とティナが提案する。
一行は森の手前で二手に分かれることにした。
「私は南側を、ユート様とティナちゃんは北側をお願いします」と小鈴が言い残し、三つの尾を揺らして走り去った。
「行こうか」
俺とティナは北側の調査を始めた。森の周辺をを慎重に進む。
「静かだね」とティナが小声で言う。
「あまり警戒しなくていいのかな」
「いえ、むしろ逆だと思います」ティナが緊張した表情で答える。「静かすぎる……」
しばらく進むと、道端に何かが落ちていた。
「あれは……」
近づいてみると、折れた弓と散乱した矢。そして赤黒い染み。
「血痕ですね」ティナが小声で言う。
「でも誰の……」
その時、背後から枝が折れる音がした。反射的に振り返ると……
茂みから覗く赤い目。それも一つや二つじゃない。数え切れないほどの目に取り囲まれている!
「ゴブリン!?」
ゴブリンにしては大きい。平均して大人の人間と同じくらいの体格だ。
緑色の肌、鋭い爪、そして禍々しい牙。
【ステータス】
種族:ゴブリン
HP:100/100
レベル:20
特徴:
・知能が高い
・群れで行動するのが特徴
「どうする?」俺は焦りながら呟く。
「撤退しましょう!」ティナが即断する。
突如、小鈴の声が響いた。
「こちらです!」
彼女が遠くで手を振っている。どうやら南側からも同じゴブリンに遭遇したらしい。
「小鈴ちゃんが来たよ!」ティナが希望を見出す。
小鈴は魔法陣を展開していた。
「炎の結界!」
オレンジ色の炎が地面から噴き上がり、一瞬で半円状の障壁を作り出した。
「逃げ道を作りました!さあ、早く!」
俺たちは小鈴の作った炎の道を駆け抜けた。背後でゴブリンたちの怒号が聞こえる。
「追ってきてる!」ティナが振り返りながら叫ぶ。
「大丈夫です!」小鈴が答える。「この結界は一時的ですが、十分な時間稼ぎになります」
町に戻ると、門番たちが驚いた顔で迎えてくれた。
「どうしたんだ?そんなに慌てて」
「ゴブリンの大群に遭遇しました」と俺が説明する。
「森の近くで?報告しておこう」門番はすぐに連絡を取り始めた。
ギルドに戻ると、さっきの職員が待っていた。
「おかえりなさい。調査結果はどうでしたか?」
俺たちは顔を見合わせてから、調査内容を話した。
「ゴブリンの群れが森の周囲にいて、おそらくはそれが異変の原因の一つではいでしょうか?」
「しかも、襲われる可能性が高いです」と続けて俺が言った。
「その上で、私達では森の調査は危険すぎるので引き返してきました」
職員は表情を隠せない様子だ。
「やはり森の中は危険ですね、ゴブリンとはいえ、おそらく森の中もモンスターが増えているのでしょう、すこし森の中を討伐する必要がありそうですね」
「詳細をまとめて報告書にしてもらえますか?」
ギルド長の指示で俺たちは調査報告書を作成することになった。
「森の異変についてはギルド内で検討します。貴重な情報をありがとう」
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