空の溢れる想い
-Sorato side-
『時雨が目を覚ました。』
それを聞いた瞬間、安堵と嬉しさで思わず駆け出してしまった。
(早くお側にいかなければ‼︎)
戸が開け放たれている小屋を目指して走る。
「時雨様ー‼︎」
小屋へ入った私を見て、彼女は驚いた顔を見せた。
が、そんなこと今はどうでもいい。
嬉しさの方が強くて、そのまま、身体を起こしていた時雨様に抱きついた。
「ご無事で何よりです。」
時雨様が腕の中で身体を震わせている。
彼女がどれだけ寂しい思い、いや、怖い思いをしたことか。
(これからは私があなたを守ります。)
誓いを込めて、抱きしめる腕に力を込める。
「痛い‼︎痛い‼︎」
「えっ⁉︎」
予想外の言葉が聞こえ、抱きしめていた腕を慌てて離し彼女へ視線を落とす。
すると、なぜか彼女は涙目になっていた。
「へっ⁉︎あぁ、どうしましょう。時雨様が泣いている。私が泣かせてしまったぁー。」
いつの間にか小屋に入ってきた陸が、慌てふためく私の首根っこを掴み、時雨様から引き離した。
「空、落ち着け。なんでいつも冷静なお前が時雨のことになると、そんなに考えなしなんだ。時雨は力を使ったのだから、身体中痛いに決まってるだろう。」
(はっ‼︎私としたことが…。)
陸に指摘され、自分の愚かな行動に青ざめる。
「もっ、申し訳ございません。時雨様。何も考えず突然抱きしめてしまい、失態でした。お許しください。」
正座をし頭を下げていると、陸のため息が上から降ってきた。
「はぁー。悪いな、時雨。騒がしくして。体調はどうだ?」
私の行動に困り果てた陸が頭を掻いていた。
陸の足元から時雨様の様子をそろりと伺う。
「身体が痛いです。それだけで、後は大丈夫だと思いますが…。あのぉ…あなた達は誰なのですか?」
時雨様に誰かと問われ、私は絶望を感じた。
(私たちのことを覚えていない‼︎)
ショックのあまり、目の前が真っ暗になる。
それと同時に、頭に強い衝撃が走り、私の意識は飛んでいった。




