陸の気苦労
-Rikuto side-
「空、そうじゃないだろう!こうだ!こう‼︎」
「こっ、こうですか?」
空が変なところへ木を打ち付けようとしている。
俺達は、新しい家を作る為に、建築作業をしていた。
何度言っても理解をしない空に呆れ、思わず大きなため息が出る。
と、同時に南の祠から帰ってきた時の光景を思い出す。
空が「出来ました‼︎」と胸を張り、俺たちに見せたのは、雨も風もしのげない隙間だらけの小屋だった。
海は「すご~い♪」と適当に褒めていたが、俺は唖然として言葉が出なかったのを覚えている。
結局、俺が全て作り直したのだ。
(時雨が寝るための布団はしっかり整えてあったのには、別の驚きを感じたな。うん、あれは意外だった。)
つい最近のことなのに、まるで遠い昔の出来事のように感じる。
ふと小屋の方に目を向けると、海が出てくるところだった。
「カーイー、なんかあったかー?」
海が急いでいた様子だったので声をかける。
「あっ、リクぅー。時雨が目を覚ましたよぉー。」
海は手を振りながら大声で話す。
それを聞いて、やっと目を覚ましたかと安堵に息を吐いた瞬間、視界の片隅に凄まじい勢いで走っていく影が映った。
「そっ、そら⁇あれは空なのか!?」
あいつがあんなに俊敏な動きができたなんて、唖然としてしまう。
長い付き合いだが、空の新たな側面を見た気がする。
長年、仕斗として長に仕えてきたが、今世代は波乱が起こりそうな予感がしていた。
「はぁ…」
俺は、言い切れぬ思いを抱きながら、何度目かのため息をついた。




