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守り人

-Sorato side-

抑え込まれていた時雨の力が暴走した。

風が吹き荒れ、建物が次々と薙ぎ倒されていく。

里の者も何が起こったのか右往左往していた。

少しでも被害を少なくするため、我々仕斗(しと)の役目は、この暴走した力の威力を軽減させることだ。


(到底抑えきれる力ではありませんが、村人たちの命だけは助けなければなりません。いくら時雨様を無礼に扱った者たちでも、その命が奪われることは、時雨様の望むところではないでしょうから。)


私は、冷静に指示を出す。


(りく)(かい)、里の者の命を守ることを優先しなさい。命さえあれば後のことはどうとでもなりますから。」


「えぇ~、時雨を厄介者扱いしたこの人たちを助けるの?」


私の指示に不満そうな声をあげる海。


「仕方ないだろ。時雨の意識が戻ったときに、自分の力で村人たちの命を奪ったとなったら、それこそ時雨は立ち直れないだろう。被害を最小限に抑えることに集中しろ、海‼︎」


一番不満を漏らすかと思っていた陸の対応に、私は彼の成長を感じた。


「陸、あなたも…。」


成長しましたね、という声を遮るように響く声があった。


『我はこの地を見守る者なり。愚かなる者たちよ、神を見失った汝らに導神族(どうしんぞく)の名は重すぎる。汝らが再び神の声を聞き、神々を敬う心を取り戻すまで、導神族と名乗ることは許さぬ。我が与えるのは、南北の祠を護る役目のみ。これは我からの温情だ。神々を畏れ敬い、人を導く心を取り戻すのだ。それを成しえた汝らに、我の慈しみの心を再び与えよう。大切な我が子を傷つけたこと、決して忘れはしない。』


威厳のある声が響き、突然姿を現した聖獣が一声鳴くと、村人たちは姿を消した。


(なっ!村人の姿が消えた!?何が起こったというのですか。)


困惑する私たちに応えるように、再び声が聞こえてきた。


『代々我が愛し子に仕える仕斗よ。その娘を護り、再びこの郷を復興させよ。我は再び閤央(ごうおう)を遣わす。導神族の復興に尽力せよ。我は今後もこの土地を見守ろう。」


声とともに風はやみ、その場に残ったのは、瓦礫の山と、意識を失った時雨と仕斗、そして聖獣閤央だけだった。


(とりあえず、現実の把握から始めましょう。)


今この場に残っているのは、我々と時雨様、そして閤央だけだ。

村人はどこに消えてしまったのか。それをまず確認しなければならない。


「まずは、村人の行方を追いましょう。声の主が、南北の祠を守れと言っていたので、陸は南の祠を、海は北の祠の様子を見に行ってきてください。村人が無事かどうかの確認だけで大丈夫です。私は、時雨様が雨風をしのげるように、簡易の小屋を作っていますから。閤央、その間、時雨様のことを頼みましたよ。」


「ぐるぅ~」


まるで「任せろ!」と言わんばかりに、閤央が吠えた。


「面倒だが、生存確認ぐらいはしておかないとな。時雨を邪険に扱った奴らに手を貸す気はまったくないからな!」


先ほどの態度とは打って変わって、陸はいつもの調子に戻っていた。


「生存確認が必要なのかって感じだけど、まぁ、小屋を建てることを思えば、様子を見に行く方が楽かもね♪」


と、周囲の惨状を見渡しながら海が肩をすくめる。

海は相変わらずの怠け者だ。


「では、よろしくお願いします。」


頷くと二人は、それぞれの場所へ散っていった。


(さて、私も小屋づくりを始めなければ…)


そう思いつつ、周りを見渡すが、瓦礫の山が広がっている。

まずは、使える材料を選別しながら片付けをしなければならない。

骨の折れる作業になりそうだ。

閤央の手を借りたいところだが…。

閤央は、時雨様を守るように身体を丸め、ぐっすり眠る彼女の布団になっていた。

まずは寝床確保が優先のようだ。

やるべきことは山程ある。

あれこれ考えるのを一旦やめた私は、黙々とただやるべきことをこなしていった。


仕斗しと:導神族の長に代々仕える者。陸斗りくと海斗かいと空斗そらとの三人


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