縮まる二人の距離 前編
-Main story- 5−6
お腹が空き目が覚める。
いつもと違う煌びやかな天井が、ここが宮中の部屋だという事を思い出させてくれた。
(あれっ、私お風呂に入ってたはずじゃ?なんで布団で寝てるの?しかも服までちゃんと着ているし‼︎)
起き上がり布団をめくり、自分の状況を確認する。
すると、私が起きた気配に気がついた仕斗が集まってきた。
「時雨起きたか。」
陸が私の額に手を当て熱を測る。
「時雨様おはようございます。体調はいかがですか?」
空がとても心配そうに私を眺めていた。
「時雨おはよー♪消化によい朝ごはん準備してもらえてるよ。昨夜は何も食べてないからお腹すいてるでしょ?」
海は私のお腹の心配をしてくれていた。
「おはよう、みんな。私お風呂に入ってたはずじゃなかった??」
なぜ布団で寝ていて、服まできているのか。
「うん、お風呂にはいりに行ってたね。」
海がいつのも様に無邪気な顔で笑いかけてくる。
「なかなか戻ってこないって空が様子を見にいったんだよ。そしたら、のぼせて床に倒れてたって。」
陸が昨晩の様子を教えてくれた。
「あぁ、じゃあ空がのぼせた私を運んでくれたの?ありがとう。」
陸の話を聞き、昨夜のことをぼんやりと思い出す。
あの心地よさと安心感は空の温もりだったんだ。
久々に感じたあたたかな感情を思い出し心が満たされていた。
「?。違いますよ。運んでくれたのは想輝様です。」
空が真顔で訂正をした。
「へっ?想輝さまが?」
(じぁ裸を見られた‼︎いやっ、私も見てしまったがあれは不可抗力だったし。そもそも空が運んでくれてても空に裸は見られる訳で。)
自分が倒れた状況を思い出し一人で顔を赤くしていると、空が詳しく状況を説明してくれた。
「運んでくれたのは想輝様ですが、浴場の中まで様子を見に行ってくださったのは近くにいた侍女さんです。服を着替えさせてくれたのも侍女さん達です。」
それを聞き、ホッと胸をなでおろす。
二人に裸を見られていたら、今後恥ずかしくて顔を見て話すことはできなかっただろう。
「のぼせるまで入っているなんて、自己管理ができてないぞ、時雨。」
陸にそう言われて、ぐぅの根もでない。
「ごめんなさい。次からは気をつけます。」
迷惑をかけた私は素直に謝ることしかできなかった。
「想輝様かっこよかたんだよー。サッとここまで時雨を運んできてさ。侍女さん達に、『あとは任せた。』って信頼して任せる所とか、恩着せがましい所もなくてさぁ。紳士的でスマートな対応に感激しちゃった‼︎僕達がお礼を告げる間もなく去って行っちゃうんだ。本当にかっこよかったぁ。」
海は目を輝かせ、昨夜の想輝様を絶賛していた。
「私が出る幕は全くありませんでした。役に立てず申し訳ありません。」
海とは反転、空はシュンとして悲しそうにしていた。
「…。着替えたら、想輝様に謝罪とお礼をしてきます。」
私は最後の最後でなんて失態をしてしまったんだろう。
男湯と女湯を間違え、挙句にお風呂でのぼせて倒れるとは。
恥ずかしすぎて、穴があったら入りたい。
とりあえず空いたお腹を満たす為、食事をいただく事にした。
部屋に運ばれていた食事は、お粥など消化に良さそうなものばかりが並べられていた。
これはきっと想輝様の計らいなんだろう。
想輝様が周りから慕われる理由が身に沁みてわかった。
(想輝様みたいに私もしっかりしなくちゃ。)
私は、これから導神族を盛り立てていかなくちゃいけない。
民を導く想輝様とは規模が違うが、長として人々を導く事は同じことだと、勝手に想輝様を同志だと思ってしまった。
まだまだ未熟な自分を叱責する。
想輝様を見習って皆に慕ってもらえる努力をしようと、私は改めて決意を固めたのだった。




