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時越想 〜時を越える想い〜  作者: はらぺこワンコ。
第四章 復興-南の村-
31/33

村人の対立 前編 

-Main story- 4-5

私達が陣営へ戻ると、陣幕の側でロープで縛られた一族と、それを厳しい視線で見張る空と海がいた。

傍には、越志さんや兵士達の姿もあり、彼らを一緒に見張ってくれていた。

空達は越志さんから私の伝言を聞いたのだろう。

彼らの体に巻かれたロープはきつく結ばれ、互いが逃げ出さない様にロープの端を繋げてあった。

私は状況把握の為に二人に尋ねる。


「海、空、こちらはひと段落つきました。こちらの状況はどんな感じですか?彼らが睨み合っていた事情はきけましたか?」


空は彼らの方に顔を向けたまま、目を閉じゆっくりと頭を横にふる。


「いえ、誰も何も話そうとしませんでした。」


空は怒りを押し殺した声で、そう報告をしてくれた。

拘束され自由を奪われた彼らの視線は鋭く、怒りを宿したその目で私を睨みつけてきた。

私はそれを受け止め、毅然とした態度で彼らを見渡した。


「私からも聞きます。あなた達の中で事の顛末を話す人はいますか?」


私は、皆に聞こえるように声を張って尋ねる。


「なんだよ、あんたそんな態度で。長のつもりか?」


声の方へ視線を向けると、フンっと不満げな態度をとる一人の男性がいた。

彼は続けざまに私へ怒りをぶつけてきた。


「こんな事態になったのはお前のせいだろう。誰もお前なんか長だなんて認めないんだ‼︎何も話はしないさ。」


北の村でも〝私のせい。”と言われていた。

その時の私はその通りだと感じていたのに、今は違う。

ここで彼らが生活をする事になったのは確かに私が原因かもしれない。

だからといって、鎮火作業をせず、私の問いにも沈黙を貫く村人達の態度はおかしいのではないか。


「こんな事態というのは、この場所が炎に焼かれた状態のことを言っているの?」


私が問えば、先ほどの男性が、“当たり前だろう。”っと答えた。


「私は、先程、熾閃煌の使い狼鷲からこの地を血で汚されたと聞きました。」


私がそう告げると、1人の村人がギョッとした顔を見せ、罰が悪そうに顔を逸らしていた。

構わず私は話を続ける。


「それが許せず、この様な行動を狼鷲はおこしたといっていました。狼鷲が暴れたのは私のせいですか?」


私が再び問えば、村人達は気まずそうに私から視線を逸らし黙りこむ。


「もう一度聞きます。睨み合っていた原因を説明してくれる者はいますか?」


私は念を押した。

できれば、村人達が自らの意思で話をして欲しかった。

しかし、ここまで粘っても誰も口を開こうとはしてくれなかった。

私は落胆し、ため息が漏れでてしまった。

もう、強行手段にでるしかない。

強制的に村人達に話をさせる為に、私は懐から呪札を取り出し念ずる。


(正直に全てを話しなさい)


村人達に呪札が飛んでいく。

彼らの顔には、何をされるかわからない恐怖の表情が滲んでいた。


「さぁ話をしてください。」


私が問うと、今までの沈黙が嘘の様に彼らが口々に話出す。


「時義様の一家が物資を独占してたんだ。」


っと私の親戚にあたる亡き叔父の一家が、原因の発端だと声を上げた者がいた。

別の声も上がり、


「自分達だけ贅沢な生活をして、俺たちには少ししか食料を分けてくれなかったんだよ!」


「何言ってるんだ。ちゃんと必要な分は渡しているだろ。」


っと反論の声も上がった。

どうやらこの対立は、叔父一家につくものと、そうでないものに分かれているようだ。


「それはお前たちが時義様の家族についてるからだろ。」


彼らの中でどんどん話が進んでいく。


「俺達のリーダーが、もっと均等に物資を分けてもらえるように交渉しにいったんだ。でも、話も聞いてくれなかった。それどころか、逆らうなといってリーダーを殺したんだ。」


とうとう本題に入り始めたようだ。

狼鷲から話を聞いたと告げた時に、顔を逸らしていた人物が大声を上げた。


「そっちが先に喧嘩を売ったんじゃないか!」


負けじと別の男も声を張り上げる。


「だからって殺すことはないだろう。」


「邪魔だったんだよ。何かあるたびに平等じゃないって反発してきた。お前達はその分動いているのか。時義様が亡くなってから我々をまとめてくれているのは奥様だろ!」


っとリーダーを殺めたと言われた彼は、自分がやった事は間違っていないと主張していた。


「まとめていたのは、時義様だ。時義様がいた時と今は状況が違うんだ。今までと同じよう振る舞っているなんておかしいだろ‼︎」


すでに、二人の言い争いは激化していた。


「奥様あっての時義様だ‼︎奥様が時義様を支えていたから我々はやってこれたのだ。ここでも奥様が取り仕切るのは当たり前だろう。」


各々の意見は平行線を辿り埒が明かないので、私は2人のやり取りを止めることにした。

私は皆に声が届くように声を張り上げる。


「そこまで‼︎」


私の言葉に反応した呪札が光ると、一瞬のうちにその場に静寂が訪れた。


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