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時越想 〜時を越える想い〜  作者: はらぺこワンコ。
第三章 復興ー北の村ー
21/33

時雨の願い

-Main story- 3-6

『気をつけて戻ってきてね。』


閤央とのやりとりに集中する為に閉じていた目をあける。


「ゴウちゃん達戻ってくるって。」


悲しみを悟られないように笑顔を作り、海と空に伝える。


「そうですか、時雨様もお疲れ様です。」


空が労いの言葉をかけてくれた。


「私は祈りを捧げただけだよ。祠へまで行ってくれたのはゴウちゃんだし。」


そう、私はただ祈りを捧げただけ。

その願いは潤清様には届かなかった。

何が駄目だったのか、私には分からなかった。

それに、獺亀が潤清様の伝言で『彼らが自ら気づきを得るまで』と言っていた。

これはどういうことだろうか。

私にゲガを負わせたことに罪悪感を持てということだろうか。

それなら、石を投げつけさせるぐらいに彼らを追い詰めてしまった私に非がある。

それが原因で手を貸さないというのなら、誤解をときに、潤清様の所へ行かなければならない。

誤解が解ければきっと彼らに御加護を与えてきださるはずだ。

希望がみえ気持ちが少しだけ上向く。


(ん?)


ここまで思考してから、ふっと疑問がうまれた。

なぜ閤央はあっさりと話の内容を受け入れたのだろうか。

村でのやりとりは、閤央もみていて状況は理解していたはずだ。

獺亀にその時の状況を説明してくれてもよかったはずだ。


そんな事を考えていたら、私の眉間を空がトントンとつつき、心配して声をかけてくれた。


「何かあったのですか?」


知らないうちに眉間に皺をよせていたらしい。

また心配をかけてしまったことを反省し、私は閤央を通して見聞きしたことを話した。


潤清様が私の祈りに応じてくれなかったこと、潤清様の使いである獺亀が現れて、潤清様の伝言を伝えてくれたこと。

その話を閤央があっさりと納得し受け入れたことを話した。


再びの失態で二人を失望させるかと思ったが、空も海も真剣な眼差しで私の話を聞いてくれていた。


「ゴウちゃんも、誤解を解いてくれればよかったのに。」


思わず、ため息まじりの声で呟く。


『戻ったぞ。誤解を解くとは何の話だ。』


閤央と陸が戻ってきた。

私の呟きが聞こえたようで、どう言うことか説明しろと閤央が目で訴えてきた。


「ゴウちゃん、陸おかえりなさい。あのねゴウちゃんお願いがあるの。」


二度手間になってしまうが、再び祠へ行きたいと先程考えていたことを閤央に伝える。

閤央は私の話を聞いてはくれたが、その返答は私の望むものではなかった。


「ぐるぅー」『心配するな時雨。その必要はない。潤清はお前の願いをしっかりと受け入れている。問題はお前ではないのだよ時雨。』


そう閤央は告げるが、では、なぜ潤清様は私の願いをきけないといったのか?閤央の言葉に反論しようと、私は口を開く。


「でもね、ゴウちゃん、私が…‼︎」


私の思いを必死に伝えようとして、少し大きな声を出してしまった。

しかし、私の意見を伝える前に閤央が私の話を遮った。


『もう一度言うぞ、時雨。問題はお前ではない。お前のやるべきことは果たした。結果はともあれ、お前は逃げ出さず、村人達と向きあい、ちゃんと潤清に願いを捧げた。』


閤央は子どもを諭すように、私の目をしっかりとみる。


『潤清は、彼らが本質に気づけば手をかすと言っていた。あとは、彼らの問題だ。時雨、お前の問題ではない。』


その本質というのはどういうことなのか、私には理解できずにいた。


『今はまだ私の言っていることがわからないかもしれないな。だが、それをお前自身で気がつく事も大切なのだ。お前はなすべきことをしっかりとやった。その事実が大切なのだよ。』


閤央の話に納得できなくて、幼子のように不貞腐れる。

何か言い返したくても言葉が出てこない。

それに、閤央もこれ以上言う事も聞くこともしないという雰囲気を漂わせている。

黙り込んでいると閤央が私の足元に身を寄せ私を見上げてきた。


『安心しろ、時雨。お前が道を違えるときは、私がしっかり導こう。不安や悲しみがあるなら側に寄り添っている。何があっても、私はお前のそばにいる。』


まるで親が子の側にいるのは当たり前だっというような優しい口ぶりだった。

私は色々と湧き上がっていた複雑な感情を一旦、飲み込むことにした。

閤央は、それ以上、反論しない私の様子を確認してから、待っていた仕斗に向かって、ひと吠えする。


「ぐるぅー」『帰るぞ』


「ゴウちゃん、帰るって言ってる。」


閤央の言葉を通訳すれば仕斗は頷き、空が口を開く。


「そうですね、帰ってゆっくりしましょう。」


当初の予定とは変わってしまったが、南の祠へは明日行くことになり、私達は帰路につく事にした。

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