背を守る陸
-Rikuto side-
祠へ向かう途中で閤央と別れ、俺は身を潜める場所を探す。
(村の様子も気にしつつ、閤央の背中を守れそうな場所はっと…。)
あたりを見渡しながら、草むらを掻き分け進んでいくとちょうどよさげな木をみつけた。
(あの木の上なら良さそうか。)
適した場所をみつけ、身を潜める。
ひと息つき閤央の方へ視線を向けると、ちょうど閤央が狼の姿を解き、本来の聖獣の姿へと戻っている所だった。
(何度みても貫禄があるな。)
閤央は、四神が導神族の始祖に力を貸すため、それぞれの聖獣の姿や能力を集めた存在だと聞いたことがある。
その姿は、筋肉隆々な身体と大きな羽で、圧倒的な存在感を放っていた。
(村で過ごしているときは、空と張り合って戯れているただの狼にしか見えないんだがな。)
一匹と一人の村でのやりとりを思いだし、ふっと笑みが溢れる。
とてもじゃないが同じ生物だと思えない。
そんな事を考えていると、閤央が頭を垂れ、祈る体制をとっていた。
(おっと、そろそろ始まるか。気を引き締めないとな。)
すると、閤央の方から時雨が祝詞をあげる声が響いてきた。
(驚きだな、本当にこんな事ができるとは。)
出発前に時雨から閤央の話を聞いた時は、半信半疑だったが、こうして目の当たりにすると、驚きを隠しきれない。
聖獣の力というのはなんとも不思議だ。
祝詞が終わり、閤央が体制を戻したが、辺りは静寂に包まれたままだった。
そんな状態でも動じない閤央を不思議に思ってみていると、草むらから、カサカサと葉の擦れる音が聞こえてきた。
時雨の声に村人が気づいて様子を見にきたのかもしれない。
いつでも動ける様に体制を整える。
しかし、出てきたのは、カワウソのようだが亀の甲羅を背負っている変わった姿の生物だった。
(見たこともない生物だ。もしかしてあれも聖獣なのか?)
閤央が警戒をしていない所をみると、聖獣の可能性が高い。
しかし、油断してはならない。
いつでも動けるように警戒しつつ、引き続き様子を伺う。
風が吹き、葉がゆれる音がする。
そこには静寂しかない。
だが、二匹は何やら話をしている様に見えた。
何か特別な手段で会話をしているのかもしれない。
しばらく待っていると、閤央との用が済んだのか、呆れた顔をした生物は踵を返し帰っていく。
それを見送った閤央は、狼の姿に戻ると、周りを見渡してからひと吠えした。
きっと戻る合図だろう。
俺は警戒を解き、閤央と合流する為にその場を後にした。




