境界を越えて(1/3)
僕たちは運命を超え、ついに全てを終わらせる時がきた。
これは、僕ら自身が選んだ未来への、最後の一歩だ。
僕らの前に現れた黒幕は、人の形をしていたが、輪郭がぼやけ、まるで影そのものだった。
「お前は一体、誰なんだ?」
僕が問うと、影は冷たい声で答えた。
『私は世界の均衡を守る者。
お前たちが持つ異能とその因果は、本来存在してはいけない力だった。』
朔が鋭く睨みつける。
「だから、俺たちを天城を使って操ったというのか?」
影は頷く。
『そうだ。異界の力をお前たちに集中させ、それを天城晃という器に吸収させることで、世界のバランスを維持していたのだ』
天城が静かな怒りを込めて呟いた。
「俺は、お前の都合でずっと苦しんでいたのか」
影は冷笑した。
『それが世界のための犠牲だ。お前一人の苦しみなど、些細なことだ』
僕はその言葉に激しい怒りを覚えた。
「ふざけるな……そんな勝手な理由で、人を傷つけていいわけがない!」
僕ら四人は自然と並び立ち、影を睨んだ。
影は静かに笑う。
『ならば、お前たちが運命を超えられるかどうか、見せてもらおうか』
影がその場で巨大化し、圧倒的な力を放ち始めた。
僕は迷いなく叫んだ。
「行こう!これが本当の最終決戦だ!」
僕らは影に向かって駆け出した。
――運命も、因果も、すべてを超えるために。




