選択の代償(3/3)
影が放った圧倒的な力が空間を震わせる。
『運命を拒絶する者よ、その愚かさを思い知れ!』
僕たちは必死に攻撃を避けながら、戦い続けた。
だが影の力は圧倒的で、次第に追い詰められていく。
「くそっ、このままじゃ……!」
朔が封印札を放つが、影に簡単に破られる。
真澄も力を尽くして拒絶するが、完全には防ぎ切れない。
その時、影が勝ち誇ったように言った。
『運命を否定した結果がこれだ。お前たちにはもう道はない』
僕は拳を固め、叫んだ。
「それでも、誰かが犠牲になるなんて認めない!」
朔も真澄も、僕の隣で強く頷いた。
「俺たちは運命を受け入れるために来たんじゃない。変えるために来たんだ!」
その瞬間、僕ら三人の体から眩い光が溢れ出した。
僕の『喰う力』、朔の『封じる力』、真澄の『拒絶する力』が一つに融合し、巨大な力となって影を押し返す。
影が驚愕する。
『そんな……運命を超えるというのか……!』
僕は強く宣言した。
「運命に代償なんてない!俺たちは全員で生きて戻るんだ!」
その言葉と共に光が影を飲み込み、異界そのものが激しく揺れ始めた。
影は消え去り、崩壊を始める空間の奥から、さらなる闇が渦巻いていた。
そこに天城の気配が確かにあった。
僕は覚悟を決め、前を見据えた。
「ここからが本当の戦いだ。天城を取り戻して、運命そのものを終わらせる!」
朔と真澄も力強く頷く。
崩壊する異界の奥、最終決戦への道を僕たちは迷わず進み始めた。
もう二度と誰かを犠牲にしないために。
すべてを自分たちの手で終わらせるために。
第10話「選択の代償」をお読みいただき、ありがとうございました。
湊たちは「誰かが犠牲になる運命」を拒絶し、運命そのものに立ち向かう決意を固めました。
次回、第11話「最果ての闇」。
引き続き、お楽しみください。




