表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/38

第5話 「変質者から‥王との謁見」

*この作品には…過度な飲酒描写と喫煙描写が含まれていますので、

苦手な方は ブラウザバックして下さい(震え声)作品中の行為や行動について

よい子の成年は絶対真似しないでください(注意喚起感)

なお、お酒とたばこは20歳になってから…容量・用法を守って

正しく摂取してください(未成年への注意喚起感)

空は抜けるような青、遠くには山の稜線。

その向こうに――金色に輝く塔がそびえていた。

「……あれが王都、グランパスか」

ロイドは草原の丘の上に立ち、遠くに見える城塞都市を見下ろしていた。

道中の砂埃をまとった旅人の服はくたびれているが、姿勢は堂々としている……はずだった。

しかしその背後で、宙をふよふよと漂う妖精が喚き散らす。

「シャッチョサン、王都進出おめでとうアル! 勇者業もいよいよメジャー展開アル!」

「やかましい!こちとら名前が“変質者”で広まってるのに祝えるかよ……!」

ロイドは懐から新聞の切れ端を取り出す。

見出しには、こう書かれていた。

『変質者勇者、各地で魔物を一掃!? その正体は光るスカート!』

「……どうしてこうなった」

「でもでも!“変質者”ってインパクトあるアル!検索されやすいアル!」

「俺の名誉が秒単位で地に落ちてるぞ!!」


王都の城門に近づくと、巨大な石のアーチと鋼鉄の門が見えてきた。

門番たちが警戒するように立ち並ぶが、城門の内側からは活気ある声が響いてくる。

「新しい劇団が来たってよ!光るスカートの演目だって!」

「いや、それ変質者勇者の話だろ?」

「まじで!?本物見れるの!?ってか本当に勇者なの!?」

ロイドは帽子を目深にかぶり直し、顔を隠すようにして門をくぐった。

石畳の道には露店が並び、スパイスの香りと鉄板の音が混ざる。

焼き串、果物、怪しい壺――そして、露店のひとつに、妙なグッズが並んでいた。

「いらっしゃい!勇者ロイドの光るスカートストラップ、今だけ5割増し!」

「俺のグッズが非公式で売られてる!?!?」


王城へ向かう道中、城の使者がロイドに声をかける。

「ロイド殿ですね?変態勇者――もとい、“例の方”として、陛下より謁見のご命令です」

「言い直す前の方がインパクト強すぎたぞ!?」

リー・アルが嬉しそうに飛び跳ねる。

「シャッチョサン、営業チャンス到来アル!王様相手にブレスレット売り込むアルよ!うまくいけば今年の私の”ボーナス”三倍アル!」

「お前の人生、営業と課金で構成されてるな!?」

壮麗な玉座の間

金と青のタペストリーが高い天井から垂れ下がり、左右には貴族たちが居並ぶ。

玉座には、白ヒゲの老人――オルバス王が、杖をスプーンのように持って空をすくっていた。

「……これは……コンソメの気配……いや、違う……風だな……」

「陛下、それは空気でございます」

「む? では食えぬな。で、こやつは?」

「陛下、こちらが“変質者”ロイドでございます」

「変質者!?」

王がガバッと身を乗り出す。

「それは見ねばなるまい!変質者とはどのような変質ぶりなのか!?」

「違う!せめて“変身者”にして!!」

オルパス王はロイドの”変身”に興味津々であった。

しかし、ロイドはピクリと眉をひそめ、口を一文字に結んだ。

「……正直言って、ここで変身するのは無理だ。恥ずかしすぎる……」

「えっ!?今さら何言ってるアル!?」

「だって王様の前で”あの姿”に変身するって、お前……人生詰むぞ!?」

「シャッチョサン、これは大事な営業チャンスアルよ!変身しなきゃ王様の心もつかめないアル!」

「心どころか”変質者”ってイメージしかもたれねぇよ!」

するとリー・アルの目がぎらりと光った。

「やむを得ないアルね…やる気を出させてあげるネ!」

「……えっ、待て、まさか――」

リー・アルが手をかざすと、ロイドの腕に巻かれた変身ブレスレットが青白い光がピカッと光り――

ビリビリビリビリビリッ!!!

「ぎゃあああああああああああああ!!!!!!!」

ロイドが床でゴロゴロ転げ回る。

「シャッチョサンのやる気スイッチ~♪キミのはどこにアル♪」

ビリビリが収まり、髪が逆立ったロイドは顔を引きつらせながら立ち上がる。

「……ぜってぇ恨むからな……」

「シャッチョサンやっとやる気になったアルね!ワタシうれしいアル!王様お待たせしましたアル!これより…”変態勇者ロイド”の真の姿を見せるアル!」

「おぉ…これも”演出”であったか…待ちかねたぞ!」

オルパス王はさらにロイドの”変身”に興味示す。

ロイドは一歩前に進み、腰の酒瓶に手をかけた。

ラベルには手書きで「しさくよう(豪華版)」と書かれている。

「……くそっ、やるしかねぇな……」

瓶の蓋をカポッと開け、そのまま――

ゴクゴクゴクゴクゴク!!!!!

まさに男らしいラッパ飲み!

一気に喉へと流し込まれるのは、梅酒ベースの謎の魔法酒。

ごくりと喉を鳴らし、顔を真っ赤にしたロイドは、気合いのこもった声で叫ぶ!

「アル・チュープリズム!パワーメイクアーーーーーップ!!!!」

轟音とともに床に広がる巨大な魔法陣!

天井から降り注ぐスポットライト! 舞い散る星屑! 流れ出す謎のBGM!

王城の重厚な空間に似つかわしくない、異様に派手な魔法ショーが爆誕!!

そして――

光が静かに収まっていくと、そこには――

新たな衣装に包まれたロイドの姿があった。

スカートは透明でさらに短くなりもう局部を露出している姿に近い、

脚にはピンク色のラメ入り網タイツ。

ハイヒールにはキラキラのラインストーンがぎっしり詰まっている。

そして背中には、用途不明の謎の大きなリボン型飾りがふわふわと揺れていた。

そしてリボンに大きく「勇」「者」「☆」の光文字が踊る!

ロイド「なんだこれぇぇぇえええええええ!!?」

「シャッチョサン!試作衣装“銀河の妖精ver.5.0”アルよ!」

「そんなもん実装すんなァァァアア!!!」

「おぉ……」

「な、なんだこの美しき姿は……!」

オルバス王は、ロイドの透明なスカートのきらめきに完全に魂を抜かれた顔で立ち上がる。

「……わしは今……人生で初めて“心がきらめく音”を聞いた気がする……」

「陛下、ただの効果音です」

「だまれ!この者こそ!スカートの魔法によって国を救う真の勇者よ!」

両手を高らかに掲げて、王は叫んだ!

「そなたに名を授けよう!『星空のスカート魔法使い』じゃ!!」

「だからその名前やめろって言ってんだろぉぉぉおおお!!」

王が一歩前に出て、ロイドの肩に手を置いた。

「星空のスカート魔法使いよ……どうか、魔王を討伐してくれぬか。我が国の存亡がかかっておるのだ」

玉座の間が静まりかえる。

ロイドはしばらく黙っていたが――

「……いや、それは……無理だ。俺、ただの酒飲みでこんな姿だぞ!?プレッシャーがすごいし、目立ちすぎるし、変身めっちゃ恥ずかしいし……!」

王「……む?」

リー・アルが即座に前に飛び出して、手をビシィッと挙げた!

「王様、安心してほしいアル!このロイド、やる気満々アル!ぜひともお任せくださいアルよ!」

「おいィィィ!?お前勝手に決めんなよォォォ!!」

「シャッチョサン、またやる気スイッチ押して欲しいあるアルか♪」

リー・アルはニコニコしながらロイドのブレスレットに手をかざそうとしていた

「…もうヤダ…こんな生活」

ロイドは半分自暴自棄になりつつ王から金貨袋をロイドもらう。

「この軍資金を持って、魔王を討伐してくれ……頼んだぞ、星空の……勇者よ……」

「合点しょうちのすけアル!」

「…」

こうして、王から正式に魔王討伐の依頼を受けたロイド。『星空のスカート魔法使い』としての名声はさらに広まり、波乱万丈な冒険の新たな幕が開けた――!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
中年勇者のロイドが王様のシルバーハートをがっちり掴んだ描写が面白かったです!王様、ロイドがち勢になりそう…。 変身の時の掛け声がまさに『あのセリフ』感が強くて、怒られそう…って思いました。 全体的にコ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ