第4話:「変態から…×××へ!オオカミとの死闘!」
*この作品には…過度な飲酒描写と喫煙描写が含まれていますので、
苦手な方は ブラウザバックして下さい(震え声)作品中の行為や行動について
よい子の成年は絶対真似しないでください(注意喚起感)
なお、お酒とたばこは20歳になってから…容量・用法を守って
正しく摂取してください(未成年への注意喚起感)
ロイドは王都グランパスへ向けた旅路の途中、町に立ち寄った。すでに自分の噂が広まっていることに 気づいた。
「……くそ、またかよ……」
ため息をつきながら、ロイドは財布を開ける。中には輝きを失った銅貨が数枚だけ。
「リー・アルの月額一万G……ぼったくりにも程があるだろ……」
その瞬間、どこからともなく宙を漂う小さな存在――リー・アルが現れ、契約書をパタパタと広げながらにやりと笑う。
「シャッチョサン、これは“プレミア勇者サポートパック”の特典アル!破格の価格アルよ!」
「俺の財布の破壊力はMAXだよ!!」
「お金で得られる安心とサポート!プライスレスアル!」
「いや、プライスついてんだよ!一万Gもな!」
そのやり取りの最中も、広場では人々がヒソヒソとささやいていた。
「……おい、あれがあの噂の変態じゃないか?」
「強いらしいけど……変態スカート姿で戦うんだってよ」
「子どもには見せられないな。」
ロイドは顔を真っ赤にして下を向き、足早に歩く。
「なぁ…リー・アル、なんで俺の噂は変態ばっかりなんだよ……!」
リー・アルは胸を張って(というか、胸はないが)答える。
「それはシャッチョサンの唯一無二の個性アル!変態だけど強い、ギャップ萌え勇者として、今町で大人気アルよ!」
「ギャップの溝が深すぎて落ちるわ!」
「ちなみに、今月の“変態勇者ランキング”で3位にランクインしたアルよ!」
「ランクインしてんのかよ!?誰が集計してんだそんなの!」
「ウチの会社のPR部アル!」
「企業努力の方向性がおかしいだろ!」
町人ジェイコブ
ロイドが頭を抱えながら歩いていると、怯えた様子の中年男が駆け寄ってきた。
「あなたが……あの変…勇者様ですか?」
ロイドは目を細めて睨む。
「……おいおい、また『変』って言おうとしたな?」
「言ってません!言ってませんから!」
男は慌てて頭を下げる。
「私はジェイコブと申します。この町を襲うグロームという巨大な狼モンスターをどうにかしてください!」
「グローム?また嫌な名前のやつだな……どれくらいでかいんだ?」
「家一軒分の大きさです!牙も鋭く、爪は町の壁を簡単に引き裂きます!」
ロイドはうんざりした表情で呟いた。
「最近、大型モンスターばっかりだな……俺の運の悪さが恨めしいぜ。」
そのとき、ロイドのブレスレットが光を放ち始めた。
「おいおい、また何だ!?」
リー・アルが得意げな顔で宙を舞う。
「シャッチョサンの功績を称えて、ウチの会社から新しい衣装をプレゼントするアル!」
「……いやな予感しかしねぇ!」
光が収まると、ロイドは新たな衣装に包まれていた。
スカートはさらに短くなり、ピンク色の網タイツ。ハイヒールにはキラキラのラインストーンがぎっしり。背中には謎のリボン型飾りがひらひらと揺れている。
ロイドは鏡を見て、絶句。
「……なぁリー・アル、これで戦えってのか?」
「もちろんアル!今が旬の勇者ファッションアルよ!」
「勇者じゃなくて、どこかのアイドルだろこれ!」
グロームとの遭遇
町の外れに到着すると、家ほどもある巨大な狼型モンスター――グロームが咆哮をあげて現れた。
「おいおい、ありゃ……でけぇな……。」
ロイドは顔を引きつらせる。
リー・アルが指を差して叫ぶ。
「シャッチョサン、早く酒を飲むアル!変身アルよ!」
ロイドは酒瓶を取り出す。
「……今日の酒は日本酒か。もはやヤケクソだ!」
一気に飲み干し、叫ぶ。
「アル・チュープリズムパワーメイクアップ!」
音楽とスポットライトが降り注ぎ、ロイドは再び変態衣装に変身。そして、スカートの中からゴソゴソと取り出したのは――巨大な扇だった。
「扇?……おい、本当に戦えんのかこれ!?」
リー・アルは満面の笑みでうなずく。
「日本酒の力は優雅さアル!その扇は風を操れるアルよ!」
「優雅さと俺、まったく縁がねぇよ……!」
激闘、そして必殺技
グロームが鋭い爪で襲いかかる。ロイドは扇を広げて防御するも、そのパワーに吹き飛ばされる。
「くっそ、全然効いてねぇ!」
「シャッチョサン、風の力を信じるアル!」
ロイドは扇を振ると、突風が巻き起こりグロームを後退させた。
「おお、やるじゃねぇか!」
だが、グロームは口から毒のような黒い霧を吐き出した。
「うわっ……!なんだこのガス!?息ができねぇ!」
「それがグロームの必殺技アル!早く決めるアルよ!」
ロイドは渾身の力で扇を振りかざす。
「風神ブレード・フィナーレ!!」
風が刃と化し、グロームを直撃。モンスターは絶叫とともに崩れ落ち、煙となって消えた。
町人たちの反応
スカート姿のまま、ロイドはフラフラと町の中心部へ戻ってきた。戦いを終えたばかりなのに、どこか敗北感に包まれている。
その姿を見た町人たちは、またしてもヒソヒソ話を始めた。
「やっぱり変態だ……。」
「いや、あれはもう変質者の域だろ……。」
「でも強いのは確かよね……変質者だけど……。」
「今回の衣装、ピンクの網タイツって……やばすぎない?」
ロイドは肩をガクンと落として呟いた。
「……俺、もう勇者やめていいか……?」
宙をふわふわと舞うリー・アルが、満面の笑みでロイドの顔を覗き込む。
「シャッチョサン、これが勇者の宿命アル!恥ずかしさに負けず、グランパスへ向かうアルよ!」
「全部お前のせいだろうが!!」
ロイドは叫びながら町の出口へと歩き出す。後ろから子どもの声が聞こえた。
「ママー、あのピンクの人、また来るのー?」
「来ないといいわね……。」
「やめてくれ……その“ピンクの人”って呼び方……」
リー・アルがにやりと笑いながら手を振る。
「さあシャッチョサン、王都グランパスでさらなる活躍が待ってるアルよ!今度の衣装は羽付きの予定アル!」
「ふざけんなぁぁぁ!!」
こうして、“変態”から“変質者”へと評価(?)を進化させてしまったロイド。
それでも旅は終わらない。名もなき町を後にして、二人は王都グランパスへ向かって歩き出す――。
次なる波乱は、もうすぐそこだ。