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【後編】お祭り騒ぎとボルトアクション


 この日は城下町のお祭りの日であった。

祭囃子が町中に響き渡り、出店には色とりどりの商品が並ぶ風景。

その幻想的な風景は秀吉にとって、心休まるひと時である…

「落ち着きますな、信長様。日々戦場に向かうそれがしも祭となると自然に笑顔がこぼれてしまいます…」


 幾人もの命を奪った者でさえ、沢山の人々の笑顔に囲まれ祭囃子に包まれると癒されてしまう…。

祭とはそういうものなのである。


(信長様…ありがとうございます。)


こうして秀吉は信長の優しさにまた一つ、惹かれていくのであった。

「…って、あれ?信長様?」

気付くと、つい先程まで隣にいたはずの信長がいなくなっているではないか。

慌てて秀吉は振り返った。


「うまそうじゃのう…」

するとそこには、甘い匂いを放つわたあめ屋の前でよだれをたらす信長がいた…


(信長様…。)


こうして秀吉は信長の子供っぽさにまた一つ、呆れていくのである。



 やれやれと秀吉はため息を吐き出すと信長に近付いていった。

「信長様。わた菓子ならそれがしが買ってさしあげますよ。」

「いや、この日のために貯金をしといたからの。私が払う。おやじ、二つくれ。大きいのをたのむぞ!」

そう言って信長は懐から小判を取り出した。

それを見た驚いた秀吉は、信長に小さな声で問い掛ける。

(信長様…いつの間に貯金を?)

(いや、軍の予算を少しばかり削っての。その浮いた分じゃ。)

とても良い笑顔だった…


(なるほど…最近足軽の武器が足りなかったのはその為か……あぁ、素手で戦った勇敢な足軽達よ。お前達の死は決して無駄にはしないぞ…)


(んっ?何か言ったか?)

(いえ、何も…。)


このとき秀吉にとって大切なのは信長様の笑顔>>越えられない壁>>足軽の命であった。



秀吉が澄み渡った空に想いをはせていると信長に声を掛けられた。

「猿っ。猿にぴったりのやつがあったぞ!」

信長が指差す先では子供達が射的に興じていた。

「射的ですか。たしかにそれがしなら鉄砲の扱いには慣れておりますが…」

「うむ。猿の鉄砲の腕前は中々だからな!」

「それでは、信長様の欲しい物があればそれがしが取って見せましょう」


秀吉の言葉に信長がぱぁと顔を輝かせる。

「おぉ!…じゃあ、あけちー人形を頼むぞ」


あけちー人形。

それは人気武将明智光秀を模したぬいぐるみであった。

「あけちー人形ですか…」

「うむ、なかなか可愛いじゃろ。本物のあけちーも可愛いやつじゃがな〜」


……

「…親父。弾をよこせ」

秀吉の表情を見た店の主人は弾を渡した後、恐怖に震えながら脱兎の如く逃げ出したのであった。


【…光秀の分際で…信長様に…可愛いなどと…】

「さ、猿っ?目が…目が死んでおるぞ?」


バスッ!!

「て、的確に人形の眉間を撃ち抜いた!?」

人形が宙を舞う


バシュ!ドシュ!!

「なっ!?追撃じゃと!」

人形が宙で踊る


…ガシャ!バスッ!ガシャ!ビシュ!ガシャ…

「はっ、速い!?」

その日の秀吉のボルトアクションはどの戦場のそれよりも速く、神の域に達していた。


 その後、イカ焼きを頬張りながら様々な出店を廻った二人はたくさんのお土産を抱え、城へ帰ることになった。


日が暮れはじめ、長くなった影を引き連れ二人が歩く

「猿。今日は楽しかったなっ!」

「はい、信長様。」

「所々ボロボロになったこのあけちー人形も、私の大切な宝物じゃ!」


夕日に包まれ、茜色に染まった艶やかな黒髪を秀吉が撫でる。

「信長様…」

「な、なな何じゃ!?しゃる(猿)!?」


「それがしはこの世を太平に導くのは信長様だと思っております。」

夕日の様に真っ赤になっていた信長が落ち着きを取り戻し、静かに秀吉を見据える。

「…猿。私もこの世をまとめ、太平の世を築きたい。ただその為には幾つもの困難がある。」

「存じております。」

信長の言葉に秀吉は力強く頷く。

その信念に答える様に

「…じゃからの。その時まで私を支えてくれるか?」


秀吉は小さく笑い夕日を眺める。

「おや、もう日がこんなに沈んでしまいましたか。信長様、急ぎましょう。早くせねば家臣達に叱られてしまいます。」

そう言って振り返ると秀吉は信長を優しく抱き上げた

「ひゃあっ!?」

信長は急に抱き抱えられ、じたばたとあわてふためく


「それがしはいつまでも貴方様を支え続けますよ。これからも、この様に…」

「猿…。おぬしが居たからここまで来れた。これからも傍に居て欲しいぞ…」

抱き抱えられた少女が小さな手を秀吉の首に廻す。

「よしっ。急ぐぞ猿!日が沈まぬうちに城に着かなければ切腹じゃぞ!」

「はい。信長様!」

ころころと笑う少女を抱え、城へと駆け出し始める。



「…猿。ありがとうな」

信長の唇が秀吉の頬に添えられた…


先に謝っておきます。

ほぼ短編小説の長さです、スイマセン。


ただ最後まで読んで頂きましてありがとうございます。


『前・後編に分ける意味ないやん!』とか思う方もいらっしゃると思いますが。

ぶっちゃけ…その~、そっちの方が読者増えるかな~(ロ゜)とか思っただけです。

ホンマすいません。お詫びといっては何ですが…全身にケフィア浴びて来ます。

それはもう、どろっどろ!に浴びて来ます。

浴び過ぎて逆にエロスが無くなるぐらい浴びて来ます。

なので許してください。


今後も着の身着のまま執筆を続けていきます。


酷評でも何でも受け付けます!!【我々の業界ではご褒美】だから…

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