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終わりの夜のショートショート

作者: 豪陽

ある作品の感想欄に「プルーストのような観念が連鎖していくような文体」などと偉そうな事を書いた。

「意識の流れ」と形容されるプルーストやジョイスやヴァージニア・ウルフのような文体は魅力的である。

眠れぬ夜にぴったりとしている。

私に文体などあるか疑問だが文章らしきものを書こうとすると不愛想な短い文の連なりになってしまう。

眠れぬ黒々とした夜の取りとめもない想念を気まぐれで書いてみた。

ショートショート1:男の生涯


男は自分の伝記小説をAIに作成させた。

男は読んだ、涙した。

そして自分の頭をピストルで撃ち抜いたのである。




ショートショート2:保険計算機


「こんなに保険料が高くなるはずはないだろう」

「失礼、計算をやり直しても同じ結果ですね。最新のAIによって全てを計算に入れているのですが」

客はさらに更に怒ってカンカンになった。

しかし同じ現象は世界中で起きていた。

AIの未来予測はことごとく異常な値を示していたのである。

そして結局はAIが正しかった。

翌週から全面核戦争が始まった。




ショートショート3:週末の日の飛行機


小学生の時だったか。

母親に連れられて占い師に見てもらった事がある。

占い師のばあさんは言った。

「この子は凄い指導者になります。

週末の日の飛行機に乗るくらいの。」

良くわからなかったが何だか楽しそうだと思った。


私は今、「週末の日」ならぬ「終末の日の飛行機」、国家空中指揮所に乗って核戦争の指揮を取ろうとしている。




ショートショート4:最後の希望


私は核シェルターの奥で最後に一つ残った缶詰を開けようとしていた。

水もエネルギーも尽き放射線レベルも上昇しつつある。

最後の食事であろう。

開けた缶詰の中はコンクリートの塊であった。

納入業者はズルをしたか。

頭の良い奴だ。

今さら呪おうとしても既にそいつも死んでいることだろう。




ショートショート5:人類の後継者


書くべきことはない。おしまい。



[終わり]

核兵器をバタフライナイフのようにちらつかせるものがいる。

結局は人間なんてその程度のものかもしれない。

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