第7話
これで君にも理解できただろう?
私が「娘の恋人」と思っていたのは間違いであり、実際には祥子の片想いに過ぎなかったのだ。
なるほど、まだ片想いならば周囲にも秘密なのは当然だ。それでも私には、彼の存在を話してくれるつもりだったのだろうね。
そして漫画の「私と同じ!」から推察すれば、その相手は高校生。祥子はチューターのアルバイトで高校生と知り合う機会もあったから、その中の一人に違いない。
こうした新情報を携えて、再び興信所に依頼した結果。
ようやく見つけ出してくれたのだよ。
問題の人物を。
あれから三年が経過しているから、もう油断していたのかな?
大学の友人相手に、愚痴をこぼしていたそうだね。
「高校時代は大変だったよ。予備校の高校生クラスを担当してた女性チューターが個人的に付きまとってきて、本当に鬱陶しくて……」と。
酷い言い方ではないかね?
祥子は真面目にチューターの仕事をして、いや仕事の範疇を超えてまで親身になったというのに。その過程で、自然に恋心が芽生えたのだろうに……。
それなのに「鬱陶しい」と思われていたとは!
おや、顔をしかめたね。
そうか、ならば……。
酷い言い方だったと反省する気持ちはなく、今でも祥子のことを「本当に鬱陶しかった」と思っているのだね、君は?