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第6話

   

 それは、何度目かの遺品整理の最中(さいちゅう)だった。


 娘が生きてきた(あかし)を簡単には処分できず、なるべく手つかずのまま、祥子の部屋は保存していたのだが……。

 それが幸いしたらしい。娘の本棚にあった漫画本をペラペラとめくっているうちに、ふと気づいたのだ。

 彼女の漫画の好みが極端に偏っている、ということに。


 祥子が読んでいたのは、女性が主人公の恋愛漫画でね。若い女性が自分より年下の少年相手に恋をする、というタイプの話ばかりだった。

 中には成人女性と小学生男子というカップリングもあり、そんな二人が幸せに結ばれるなんて、私には非現実的にしか思えなかった。しかし所詮(しょせん)は漫画だから、その辺りにリアリティーは求められていないのだろうね。

 ほとんどの作品はハッピーエンドだったが、まあフィクションである以上、ハッピーエンドの方が読者受けも良いのだろう。その点は私にも理解できたし、まだ未完の作品も「最終的にはハッピーエンドになるのだろうな」と感じさせる作風のものが多かったよ。

 そんな中で一冊だけ「これはどうなるのだろう?」と興味深い作品があった。高校生男子に恋する女子大生が主人公で、しかし彼女の気持ちは相手に受け入れてもらえない。片想いに苦しむ女性心理が延々と描かれていたのだが……。

 その漫画の欄外に、祥子が鉛筆で書き込みしていたのだ。

「私と同じ!」と。

   

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