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理不尽

理不尽(2)自治会長

作者: 舞夢

「貴方が今年の自治会長です」

残業の日々は今までも、これからも果てしなく続くと言うのに、突然玄関にそんなふざけたことを書いた紙が貼られているのを発見。それも帰宅した夜中の1時。

俺は自慢でもないが、自治会の行事には仕事の忙しさを理由に、一度も参加したことが無かった。

その「腹いせか」と思うけれど、とてもできる状況でもないので、2,3日無視していた。

しかし、異変が起こった。

朝早く、出勤しようと玄関ドアを開けたら、何とゴミの山だ。

暑い日なので、生ごみの匂いも強烈。

周囲を見回しても、誰もいない。

仕方がないので、俺一人でゴミの山を全て集積場に運ぶことになった。

そんなことが、1か月も続き、さすがに俺も切れた。

「貴方が今年の自治会長です」の張り紙を保管してあったので、隣の部屋の玄関に貼って、様子を見ることにした。

・・・結果は俺の時と同じだった。

隣の部屋の玄関前にはゴミの山。

隣人(挨拶をしたこともないが)文句を言いながら、全て集積場に運んでいた。

俺は、ホッとしたものの、トラブルが再び起きるのが嫌だった。

すぐに会社に出入りする不動産会社の若い奴に頼み、転居を決行した。

その転居から、数週間後だった。

不動産会社の若い奴が「耳寄り情報」と教えてくれた。

「貴方様が以前住まれていたアパートで住民間の大トラブルが起きましてね」

「・・・はい、自治会長を誰がやるかで・・・」

「殴り合いの喧嘩から始まって、放火、投石、怪我人が多数」

「全員が逮捕、もう、誰も住む人はいません

不動産会社の若い奴は含み笑い。

「上手に逃げましたねえ・・・素晴らしいタイミングで」

俺も、本当にうれしかった。


さて、今住んでいる自治会は安心だ。

「自治会長を務めることが天命」と信じ切っている人が、とにかく張り切っているから。

しかし、こうも考えている。

「天命自治会長」が死んだら、引っ越すしかないと。






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