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掃き掃除って修業の一環になるのか?



 中庭に集まった僕たちは絶望に打ちひしがれていた。


そこ庭一面に広がるピンク色の花弁と緑色の葉が混在している。ある意味できれいな光景が広がっていた。この学校はもともとマンモス校と呼ばれるほどには大きい学校で、当然その庭は相応に広い。校舎に阻まれているため一面自然の絨毯とはいかないが、なかったら相応に広がっていたと考えられる。


「これ本当にやるんですか。」


「そうだ。全てやれとは言わんが、まあ全力を尽くせ。」


 ここまで見ると最悪みたいな状況だ。


 しかし、僕は今テンションマックスである!


 そうである。彼女は今、ジャージ姿でポニーテールをしている。


 この作業が始まると聞いたときは正直「きつそうだなぁ、だるいなー。」と思っていた。しかし、少し遅れて来た先輩を見るとその気持ちが一気に吹き飛んだ。


 それまでの凛々しい制服の姿の彼女はとても綺麗だったが、ポニーテールに変わったせいか少し幼さが出てかわいい系になってる。しかしどこか残る凛々しさは健在でその二つが合わさった結果、言葉では表現できないような興奮に見舞われた。


「どうしたおまえ。私をじっと見て。」


 あからさまに見るつもりはなかったが、無意識に見ていたらしい。

 僕は慌てて目をそらした。


「さっさと始めろ、さもなくば今日は家に帰さんぞ。」


 彼女の発言にエロい意味はない。


とにもかくにも始めないと、どんどん東堂先輩の印象が悪くなりそうだ。先輩に用具入れの場所を聞き小走で取りに行った。



ざあ、ざあ、ざあ、



 そこには厳しい現実が待ち構えていた。地面に落ちた葉を掃いても前に進まないのである

いつもの僕ならどうにかこうにか手を抜き合格点ギリギリを目指すだろう。今日はオール明けだ。体力も厳しい。合理的な判断だ。


しかし、先輩が一緒になって掃除をしている。僕のせいでだ。


 絶対にさぼるわけにはいかない。何ならいい所を見せたい。掃き掃除程度で良い所ってなんだよと思うが、掃き掃除も全力で行い、きびきびと動く姿はもしかしたらアピールポイントになるのかもしれないと思い、全力で取り組むことにした。


うおおおおおおおお


 全力で地面に落ちた葉っぱをほうきで集めそれを丁寧に袋の中に詰めていく。その作業を何度行っただろうか。全身から嫌な汗が噴き出てきて、正直少し体調が悪くなってきた気がする。


 そんな時、東堂先輩が笑顔少し感心したような顔でやってきた。


「なんだ君、頑張ってるじゃないか。」


 褒められた。正直飛び跳ねたいくらいうれしい。


「はい、ありがとうございます!全力でやらせていただきます。」


 彼女は少し苦笑していた


「まあこれが明日からも続くのであれば、私からは何も言うまい。」


 彼女は少し満足げな顔をしていた。


「生徒会長から 減刑したという報告を聞いたときはなんでそんなことしたのかと憤慨したものだが、これなら3日であっても納得せざるを得ない。そのまま頑張りたまえ!」


 そう言って彼女はまた別の所を掃きだした。東堂先輩に褒められたことをものすごく嬉しく思い、僕はまたエンジンフルスロットルでまた掃き始めた。何がなんでも彼女に認めてもらいたいと思った僕は最後の力を振り絞るかのように掃除を行った。


 だんだん目がかすむ。本当に全快なのであれば容易ではないにしろ何とかなる作業量。しかしこの時の僕の頭には徹夜明けであるという事実を忘れていた。


 意識がもうろうとし始める。しかしここで倒れるわけにはいかない。


 なによりここで倒れたら先輩に迷惑を掛ける。あと、ダサい、滅茶苦茶ダサい。


キーンコーンカーンコーン


 僕はなんとか気力で乗り切った。


「よしっ。そろそろ終了だ!今日はよく頑張った。明日は私はいないが他の者が監視に来る。今日のように頑張れ!」


 「はい!!」


 その後、着替えるために校舎に入る東堂先輩を見送り、僕はすっと意識を失った。


ヤルキ ダイジ ゼッタイ。


アシタモ キット トウコウスル キット タブン ゼッタイ

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