説明回はいる。絶対だ。あとはどれだけ自然にするかだが、たぶん不自然。
僕は家に帰りベッドの中で小説を読んでいた。正確にはベッドの中で本を見ていた。今日あったことを頭の中で整理をしていたら藤堂先輩のことが頭に思い浮かんでそこから思考が前に進まないのだ。
「藤堂先輩かっこよかったな~。」
凛々しい姿だけが頭の中でずっと残る。そんな現象が続いているのだ。
ふと思考が生徒会長のほうに行った。
「そういや僕生徒会長に宣言したんだった。」
僕はランクを上げることを宣言したことを思い出した。
「そういやランク間恋愛禁止ってどんな奴だっけ。」
赤いシールのついた生徒手帳を開き調べた。すると手帳の後ろのほうにある校則の条文一覧の最後尾に書いてあった。
「なになに~。ランクに2つ以上開きのある恋愛を学校は認めずね~。」
僕はベッドの中であおむけになる。
「つまりは僕が藤堂先輩に告白するためには最低Bランクにならないといけないのか。」
Bランク。考えたこともなかった。ランクなんてDで事足りる。それより高くなると補助金が少なくなり生活するのに大変な仕事をしないといけなくなるのだ。テレビなんかでもランクCになってしまい生活が少し苦しくなったという特番が組まれるくらいだ。
下手にランクを上げるとと仕事がしんどくなる。そんな世界だ。
当然選挙権などのメリットもあるが正直あまり興味のない僕にはメリットたり得ない。つまりここでランクを上げるということは彼女に告白ができる。それだけなのだ。
今までの自分のことを考えるとそんな雀の涙のようなメリットのためにそこそこ楽な人生を殴り捨てて、成功するビジョンが見えない告白をするなんてありえない話だ。しかし火照った僕の体をそんな正論で覚ますことはできなかった。
まずは調べるか。
僕はDランクに上がる方法を調べた。
「んで調べた結果、勉強をとにかくやらないといけないと気が付いたと。」
辰巳は教科書の向こう側から話しかけてきた。
僕は勉強机に教科書を並べ目の前の書いている内容を何とか理解しようと頭で咀嚼していた。昨日から始めたばっかりなので普通にわからない。しかしとにかく一歩でも進まないとランク昇格試験に間に合わないことが分かったのだ。
「まあだって、5月頭だもんな。昇格試験。」
早い、早すぎる。
「そういえば藤堂先輩って3年生だから5月、9月、1月にある昇格試験にストレートに合格しないと告白できないのか。」
そうなのだ。昇格試験は年に3回ある。そして藤堂先輩は3年生。つまりストレートで合格しないと告白はできないしさせてもらえないのだ。
あの後、そのことに気が付きベッドから跳ね起きた。そして久しぶりのオールをかますことになった。正直すでに連続活動時間が30時間くらいになっており頭がふらふらし始めた。
「昇格試験って結構難しいんだよなぁ。EからDに上がるだけでも少なくともかなりの勉強が必要だからなぁ。」
そうなのだ。難しいのだ。少なくともあと1か月で何とかできる量ではない。
「Dってなんだっけ。科目。」
「数学、国語、時事、政治基礎、法律基礎の5科目だよ。」
見てわかる通りそもそも学校ではやらないことが多いのだ。
政治基礎や法律基礎、時事問題などはそもそも学校では教えない。そもそもこのランクとは選挙権や政治への参加を制限するものであって学校のカリキュラムの外にあるものだ。そのため上げようと思うと別途その科目を自分で学ばないといけない。それ用の塾などはあるが両親にはまだ話してないし、話すと多分反対されるのだぎりぎりまで黙っておこうと思っている。つまりはほぼ我流でその科目を学ばなければならない。
数学も国語も正直合格ラインに届いているかといわれると不安が残るのだが、そんなこと言っても仕方がない。正直かなりのピンチである。
「大変そうだな。何か手伝えることがあったら呼んでくれよ!お前の頼みなら大体のことは聞いてやるからよ!」
彼はとてもいいやつだ。間違いない。僕はまた教材に目を落とした。
帰ってきたことをほめてほしい。
エタってすみませんでした。