1話
眩しい。あれ? 太陽ってこんな色だったけ……。
天井に設置されている丸い蛍光灯の光りがシズを照らす。
なにこれ? 見たことない。
白い色と、揺らぎのない光りを見て、シズは驚愕していた。
こんなの、見たことない。
腕を動かす。だが、思うようにいかない。少し動かすだけで、骨が鳴る。固まっている筋肉や筋を動かすと、それだけで痛みが走る。
何日寝ていたんだ……? ポーション使ってもらえなかったのか? ん? 肌触りが……いい。
これまで感じたことのない、滑らかな手触りだ。シズは手首を左右に動かす。それだけなら、ほとんど痛みや違和感はない。
布? シーツ? もしかして、いまベッドにいるのか?
「あ……」
声を出そうとすると、喉に痛みが走る。かすれた声しかでなかったが、それに気づいてくれた人がいた。
「……静夏?」
「え……」
え? しずか? 誰?
「静夏! 目を覚ましたのね」
ベッド横のソファーに座っていた女性が、シズを覗き込む。
誰だ? この国の人間……じゃない?
「ああ、よかった」
女性は涙を流す。両手で、シズの顔を包む。泣きながら笑顔を浮かべる彼女の手は、細かく震えている。
どうなってる? 人違い。誰か、ポーションを。頭が……静夏? 俺が静夏? 違う、俺はシズだ。
どうなっているんだ。
困惑するシズがいるのは、病院のベッドだ。白い壁に、木目調のサイドテーブルとクローゼット。見舞客用の二人がけソファーにテーブル。
日本の病院。その一室に、シズはいた。
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次は19時です。
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