4月だ
今年もこの季節がやってきた。
4月下旬。
それは新しい年度が始まってから3週間が過ぎた頃であり、先月まで学生だった人間が社会人デビューを飾ったことで先人たちが苦労と失敗の肩代わりに追われる恐怖の季節であり、私にとっては1番の稼ぎどきである。
お客様は神様で
少子高齢化で
一人っ子で
パワハラという言葉が流行した時代で
欲しい情報はなんでもインターネットで検索できて
課題ややるべきことは全て用意されて
便利な道具を原理や生み出す苦労も知らずに使いこなし
お金があれば考える必要もない
なんでも教えてもらって生きてきた
そんな若者たちの花々しい社会人生活は、どこの企業でも混迷を極める。
当然、優秀な若者であっても、働き慣れた職場に異物が混入してくる、それだけでも通常業務が通常ではなくなるのだ。
誰しも初めから仕事ができるわけもなく、教育はどこでも必須である。
そんな新人教育のために努力しても、教え方が悪い、厳しくしたつもりもないのにパワハラだと新人の方から上司に指摘が入るのだ。
なんの権利があるのかは知らないが、主張した者勝ちのアメリカの文化を取り入れた結果だろう。しかし、上司もモンスター新人には強く出れず、楽な方である教育方法に適当に口を出すのだ。生きづらい世の中になったものである。
私は、そんな悩める中間管理職の気苦労を代わりに請け負うことを仕事としている。
最初から新人教育を請け負うと、使えない、教育できていないではないかと企業に文句を言われるのが積の山である。
新人の使えなさを実感し、教育に疲れた頃が稼ぎどきである。
さて、前置きが長くなったが、私の前に5人の若者が立っている。
1ヶ月で1人につき給料1ヶ月分が受講料である。ボッタクリのように聞こえるかもしれないが、企業が匙を投げた、なんともならなかった人たちが相手なのだ。企業からしても、その程度の出費で新人のミスによる損失が減るのならありがたいわけだ。教育に割かれるはずだった時間に通常業務ができるのも大きい。
つまり今、給料と受講料とで2ヶ月分を企業に生活保護してもらっている人が目の前に5人いるということだ。彼らの成長に私の生活がかかっている。
まずは今回のお客様である企業の情報とその子供たちの情報を整理してみよう。