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前夜 その6 

「長々と話したけど、創造主(メタ)選抜大会の説明は以上だ。」

 タブレットは暗転。ベッドの下に再び置かれた。

 魂魄(たまたま)…。変なものを集めさせるものだ。創造主になりたいとは思ったが、こんなことをやるのか…。いっそ、やめてやろうか?

 今泉は考えを巡らす。やめるかどうか…ではなく、その世界でどうするか。

 男の娘というのは超能力を持つ。まともにやりあうのは避け、譲り受けるのが賢明か?

「さぁ、これが例の鞄に、規則書(ルールブック)だ。」

「…受け取ります。」どこから出したか分からないが、プルアの手に持っているものを受け取る。

 革製のリュックサックと広辞苑なんかより分厚い本だ。触ってみたところ、リュックはかなり丈夫な革で作られている。多少ぞんざいに扱っても、壊れないだろう。ここまで良質なものは初めてだ。驚いた。だがそれよりも驚くべきは、

「規則書。軽いでしょ。全8108頁、だけども手に一切の重量を感じない。」

 得意げな笑みで俺を見つめる。確かにそうだ。

「何の素材で出来ているんですか?」

「ふむ、じゃあ、規則書を読んでみるといいよ。」得意げな笑みは消えない。

 規則書を渡したから質問には答えないというのか。では…調べてみ…‼‼‼‼

「本が勝手に、っッッ?!」

 ひとりでに本が開いて、紙がどんどんめくられていく。昔見たファンタジー映画のシーンを彷彿とさせる。顔の付いた本に知りたいことを聞くと、自分の身体を開き、記述がある部分を主人公に見せるのだ。

「驚いただろう。素晴らしい機能の付いた本だ。頭の中で考えている知りたいことが書いてある頁までめくってくれるのだ。」

 驚いた、あっという間に『道具説明』のページにたどり着いた。

「規則書の欄は…ここか。」

 《『規則書(ルールブック)

 創造主選抜大会のルールや候補者の皆さまに必要と思われる情報が記載された本でございます。神木から作られ、重量は無く、簡単に持ち運びいただけます。お手元から離れた場合、「セット」と声を掛けていただけば、本は持ち主の元に向かって移動し、またお手元に戻ります。》

 その近くには鞄に関する説明もある。

 《『未完の大器(異次元バッグ)

 リュックサック型のバッグでございます。容量に上限がなく、お気に召すままに物品の収納が可能でございます。また、どれだけ詰めてもバッグの形状は変わりません。なお、入れたものの重さはそのままバッグの重さに加えられますので、入れすぎにはご注意ください。》

「とても便利ですね。」パラパラと頁をめくり、ざっと読んでみる。異世界の料理、植物なども載っている。


「そろそろ時間だ。しばらくしたら、麻酔が回った時みたいに眠くなる。そこから目覚める時は」

「選抜大会は始まっている。」

「そう、正解。」

 新しく聞くこと、見る物が多く、頭は混乱している。しかし、ここで立ち止まってもどうしようもない。なってやるさ…創造主に。

「あぁ、それともう一つを渡し忘れたね。トランプ。じゃあ、対面と行こう。」

 すっかり忘れていたが、それも貰えるならもらいたい。

 どんなものが来るのか。少し期待したが、予想は裏切られる。

「探したわ…って、あんた、…誰?」

 カーテンから姿を現したのは女だ。金髪の。


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