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その男の娘は…?

「来ましたねえ。」

 神仔様はイマイズミとトランプを見ている。恐らく、しばらく、二人を待っていたのだろう。待ち合わせに人が現れた時の安堵感が声色に乗っていた。

 レギンは二人の顔を見るや、背後の扉か、門かを軽く握った左手の親指で指した。

「休息は充分に取ったな、イマイズミ、トランプ。早速だが、我々でこの門を抜け聖泥の古城(モックンダンジョン)へ向かうぞ。」


「ちょっと待った。我々って、私とイマイズミとあんたの3人の事よね。」


 トランプはレギンに突っかかる。口にこそしなかったが、イマイズミも同じことを思っていた。

 昨日、捕まる前に見た男の娘だ。そして、俺たちをこの面倒な事件に巻き込んだ奴だ。コチノクボ側の人間で誰かの指示で動いていたのだろうが、感情的に受け入れることはできない。

「なはは。残念ながらワイも入れて、4人の我々やで。」

 その男の娘はからかう様な笑い方を見せる。

「顔見知りならあ、キョウニンの紹介はいりませんねえ。」

 男の娘はキョウニンというらしい。イマイズミとトランプはその名前を知る。

 キョウニンは顎に手を当てて笑みを浮かべる。

「なあなあ、敵意剥き出しやんか。眉間にシワ寄せてたらブスになるで。」

「その軽口も嫌いだぜ。」

 今度はトランプの心をイマイズミが代わりに言葉にした。


「自己紹介は終わったな。出発するぞ。」

 レギンは3人の雰囲気の悪さを感じてか、会話に割って入った。キョウニンはレギンを指さしてふっと笑って見せた。

「この門はあ、聖泥の古城(モックンダンジョン)に続いていますう。さあ、日没ですよお。御行きなさい。」

 神仔様は4人に語りかける。もう送り出すような言い草だ。

「行かないぜ、俺は。そいつが来るのを聞いてないぜ。」

「それはできないぞ、イマイズミ。貴様はついてくる義務がある。」

「知らない。俺は、アぁ”…」

 腹グー。レギンの固く締められた拳がイマイズミの腹部に発射される。意識が途絶えたか、イマイズミは声にならぬ断末魔を残し静かになった。


「トランプ。お前は不満があるか?」

「い…異論はないわ。」

 目の前の暴力を目の当たりにしたトランプが感じた悔しさは、くすくすと嘲るような笑顔を見せたキョウニンに対する感情であった。

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