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神仔様

もうしばらく揺れが続くと、突然に馬車は止まった。何かを超える感覚があるとまた進みだす。恐らく舗装された道を進んでいる。先ほどまでが大シケの日の漁船程度の揺れとするなら、今は赤ん坊を乗せたゆりかごだ。



「おいッッ!着いたぞッッ!目隠しは外れるようになったから降りろッッ!」

はいはい。と気の抜けた返事で何十分かぶりに外の陽を拝む。少し目が眩むが、窮屈な装備が取れた事の喜びが勝る。

「カサネ…あんた、顔が白いわ。」

トランプはカサネの顔に驚く。カサネはしゃっくりにも似た返事で答える。限界に使いカサネを見かねてトランプは肩を貸してやって、カサネを馬車の外に出してやった。

馬車の外に出るとそこには天井があった。

どこかしらの室内。馬車と反対方向の廊下から光が差し込んでいる。恐らくあちら側から入ってきたのだろう。小綺麗で簡素な内装や規則正しく並んだ柱は、教会とか神社とか、宗教施設の仰々しさを思わせる。

「オラッッ!着いてこいッッ!」

カスカス声の男についていく。案内のままについていく。

一本道の廊下は進んでいくごとにその装飾が華美になっていく。馬車旅の疲れからか、荘厳な雰囲気からか、誰も話そうとする者はいなかった。

廊下の終わり、大きな扉。案内の男は扉の前でピタッと足を止める。すると、これまでより大きい声で扉の向こうに届ける。

「神仔様ッッ!例の者どもをお連れしましたァッッッ!!」

その声にこたえるように扉はガガガと開いていく。逆光でその姿を見ることは敵わないのだが、こちらを招く声と口調に誰がいるかが分かった。

「昨晩はあ、よく眠れましたかあ。」

昨日ローブで姿を隠していた女だ。今日はそのおおらかそうな顔と細く見開いた眼、少し赤みの強い桃色の髪を見せている。

誰も返答をする様子はない。ただただ不満のある目線が注がれるだけであった。

しかし、神仔様はお構いなしに話し続ける。

「今日皆さんをお呼びしたのはあ、昨日の事に引き続きい、人を選抜したいからですう。」


「では、未来からの通信を皆様にお伝えしますう。」

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