コチノクボと思う壺 その4
この部屋に連れてこられたと思われる人間は全部で6名。行動は様々。
「なぁ!耳腐ってんのか?あぁん!?」
扉を守る者に突っかかる男が1人。
「うあ…ああああ…」
未だに状況が呑み込めず、立ち上がれない女が1人。
「…」
簡単には出られないことを悟り、壁や床、部屋の構造を調べ始めている女が1人。
「まともに話しできそうなのが、あんた等しかいないから聞くけどさ。創造主候補だろ、お二人とも。」
他の者と接触を試みる男が1人。
「そうだ。というより、ここいる全員おそらく創造主候補だ。あの形のバッグを持っている。」「間違いない。さしずめ、ここら辺にいた奴らを捕まえてきたってところね。」
その場を動かず、見に徹するイマイズミとトランプ。
「俺と見立てが一致してよかった。俺の名前はラオだ。」
「イマイズミだ。」
「トランプ…エオス・トランプよ。」
ちょうど自己紹介の後だった。大きな音と振動が響く。部屋の扉が開くようだ。
「妙だな…」
ラオの感じた違和感。同じものをトランプやイマイズミも感じていた。
扉の奥から1人、現れる。紺色のローブをまとい、その体躯を見ることができない。男性にしては背が低く、女性にしては背が高い。
部屋の中に入ってくると、そのまま上座の祭壇までまっすぐに歩いていく。
「てめぇ、シカト決めんじゃねぇよ。」
扉の前で突っかかっていた男はローブ人間の肩を掴もうと
バキッッ!!
した瞬間、頭が90度回転していた。扉の前の衛兵が、両手でもって、あごと頭のつむじを時計回りに移動させて、彼の息の根を止めた。
音を立てて壊れた男の身体は、全身で一度大きく蠕動すると、生気を感じないほどに力が抜けた。
緊張が走る。誰かが唾液を胃に落とす音が聞こえた。
これは見せしめだ。これから起こることに順応できなければ誰でもこうなる。
かつかつかつ…と歩く音が響く。
ローブの人物は祭壇に上がりぶつぶつと何かを唱えてから正面を向いた。




