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ルドカハの街 その5

 男の娘との邂逅。イマイズミは男の娘の能力を目の当たりにするが、間一髪、逃げることに成功する。だが、イマイズミは依然、絶体絶命の身であった。


 あの男の娘の能力について引っかかることある。身体を持っていかれる程の強風が吹き付けている事?いや、それに今耐えられている事だ。


 10歳の頃、学校で好きなテレビの真似をした。テレビのヒーローは愛用ロープでテレビの中、画面せましと駆け回っていた。

 俺は家に有ったトラ柄ロープを学校に持ってきて、教室の窓の落下防止柵にロープを結んで、外から教室入ろうとした。

 しかし、結果は残念。もう少しで成功するか、というところで柵が壊れてしまい、5mの高さからそのままアスファルトの地面に落ちた。幸い、当たり所が良かった事と保健室の先生の応急処置あって、大事には至らなかった。




 …何が言いたいか?つまりは、屋根の瓦の一片ごときが、たかが柱の一本が、俺の全体重を支えていることがまずおかしいというわけなのだ。


 走ろうとしただけで大きく跳んだ身体、身体が持ち上げられる程の風、体の全てを預けても丈夫な屋根や柱、これらすべての怪現象を説明できる理由は、ひとつ。


「【体が軽く】なったんだ。体重が軽くなったから、ちょっとの風で体が吹き飛ばされるし、全体重をかけても柱や屋根の瓦はびくともしない。でも、筋肉量は変わらないから、走りだそうとしたときに大きく体が浮いた。」


 自分の思考を言語化して、考えている事を明らかにする。焦っている自分の為に、そして、目の前にいる男の娘の気をそらし時間稼ぎする為に。


「お前、すごいね。勘が、いい。」


 命を賭けて逃亡の策を使ったが、撒くこと敵わなかった。実際に追ってきたところを見れなかったどうしたんだ。


「“狭く浅く不確定(ちゅうぶらりん)”は、さ、自分の、重さは、自由に、変えられる。だから、お前の、後ろを、付いていった。簡単だから、ね。」


 後を追ってきた…ね。必死にやってもこれか。勃象(スタンド)能力を見て分かったが、何も持たない者は男の娘に目を付けられた時点で死を覚悟しなければならない。

 何もわからない。正体が分かったとして、まともにやりあおうとすれば反撃すらできない。


「俺を殺すのか?ここまでの道中で同じように男の娘に殺されかけた。なぜこんなことを?」


「“目的”は、それぞれ。おれは、レベルアップ目当て。創造主(メタ)候補の、命を奪うたびに、自身の、勃象の能力を、高める、ことができる。」


「お前の、息の、根、を止めて、俺は、強くなりたい。…心配、するな。これで6人目だから、痛み無く、やってやる、よ。」


 男の娘は懐から刃物を取り出すと、一歩一歩と近づいてくる。あいつは俺を殺す気だ。何か、思いつけ。逃げる方法とか、反撃の方法とか。


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