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神は勝手なのだと知っている  作者: 神狼 龍王《みたらしだんご》
第2章 不屈は愚行か、君たちは知っているか
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第8話 私は希望を知っている

自分だけでやっていると、色々とおかしな点がちらほら。


しかし、相談相手が……

ドカーン!


ガシャン!ドシャ!


数多の魔法による爆裂音、様々な武器が振り回され、ぶつかり合う金属音。それはまさしく、戦争の音。


戦争のあった旧時代より後に生まれた日本人である九重友花は、その様を見て震えていた。


それは恐怖の震えか、否、それは武者震いである。


「神原君、すごいよ。平和ボケした完結世界とは異なる。この世界は本当の意味で生きている。逞しく、絶望の状況にありながら、希望を持って生きている」


その独白を聞く者はいない。彼女がいるのは、雄叫びあげる冒険者たちの真っ只中。その雄叫びが彼女の独白を相殺する。


「私たちの世界には、最早希望などなかった。あとは滅ぶだけだった。それを何をトチ狂ったのか!延々と延命処置を続けることでグダグダと生き延びやがって!お陰で私たちの世代から何人の人格破綻者が出たと思ってやがる!」


その言葉を理解できる者はいるだろうか。


それは、完成され完結し完璧となった、終わった世界に生きるからこそ出る言葉。それは不幸への文句ではなく、どこまでいっても幸福であるが故の文句。


「鬼薙 三日月。さあ、私もこの戦いの希望となろう。なぜなら、私は希望を知っているから、活性・lv.10!」


彼女は己の心象器を具現する。


それは薙刀であった。穂先は銀色に輝く、柄は黒の上に銀色の線がはしる。美しくも妖しいそれが彼女の心。


その能力を行使して彼女もまた、魔物の群勢へと飛びかかる。


「疾!」


最初の一撃が魔物へと到達する。女の細腕で放たれたそれは、しかし、一度に何十もの魔物を吹き飛ばした。


「はあ!」


二撃目、またしてもそれは何十もの魔物を吹き飛ばす。


それは力業のようでありながら、美しい舞いのような動きだった。ただ、足を半歩引くだけで、飛びかかる魔物の爪を牙を避ける。その動きのままに勢いを乗せ、回転して周囲を切り刻む。


前から来る魔物の頭を踏み抜いて飛び上がり、落下の勢いでもって着地点の魔物を切り払う。


魔物たちも警戒して距離を置く。自然と彼女の周りには魔物の円が出来上がる。


しかし、それは彼女と相対するとき悪手でしかない。


「活性!」


その言葉ともに薙刀が回転によって全方位に振るわれる。それは届くような距離ではなかった。そのはずだ。


しかし、現実に魔物たちは斬り払われた。

返り血が飛ぶ。しかし、それを浴びるはずの存在はすでにそこになく、まっすぐ山の怪物のもとに向かっていた。








レイルは、トーカを観察していた。もちろん、自分も戦闘に参加しているのだから横目で見やる程度。それでも、その圧倒的な戦いは目に映る。


「なに……あれ……」


レイルの中に渦巻くのは、ショーンとトーカが並んで立っている映像。それは自分が嫉妬していることの証明に他ならない。


「くっ……」


そんな醜い自分に嫌気がさす。気づけば、魔物に接近を許していた。脇腹を爪がかすめる。


「はあ!」


流水でもって、即座に反撃に転じる。その穂先はしっかりと魔物を貫き、その先にいる何体かの魔物までも絶命させる。


「強くならなきゃ……」


その言葉とともに、迷いを払拭し魔物の群勢の殲滅へと思考を切り替えた。












「ウィンドカッター」


その魔法は確実に獣型の魔物の首を刎ねた。


「うん……」


街から支給された魔力薬(マナポーション)でもって、失った魔力を回復させる。


そこでようやく一息つけた。自分が担当していた場所にはすでに交代の人員が立っていた。


サクラは前線に出ているショーンたちを心配していた。


「レイル、大丈夫かな」


いや、心配しているのはレイルだけのようだ。


山の怪物のほうへと目をやれば、トーカと名乗った女が走っているのが見えた。その進撃はとても早い。


「うん、レイルのライバル?」


別にそんなことはない。トーカにはショーンに対する恋愛感情は今のところないのだから。


「僕は……どうなんだろう?」


いつの間にか、見上げた空は雲で覆われていた。


サクラは自分の気持ちがはつきりとわからないことにモヤモヤして、また何も考えずに済む魔法の発射へと戻るのだった。








「ふぁーーあ……うん?」


アニヤはようやく目を覚ました。


周囲の様子を見て、納得してショーンのいるほうへとその小さな足を動かす。


「うーん、これは虚飾くんかな〜。また、面倒なことやってんね〜だから、傲慢には届かないんだよ」


何もない虚空を見つめて、アニヤは1つウィンクを決めた。


「彼らは希望だ。この世界にとって滅亡を防ぐための唯一の希望。だからこそ、ワタシら眷属は育てるために動かなければならない」


-何もかも失ったとしても


果たしてそれが何を意味するのか。すでに柱ではないアニヤは知らない。けれど、その言葉だけは知っている。希望だということは知っていた。

心情描写らしきものですね


サクラくんは未だ心がはっきりしていないようです。さて、どうなることやら、



トーカは破綻者です、はい

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