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神は勝手なのだと知っている  作者: 神狼 龍王《みたらしだんご》
第1章 夢見た者の成れの果て
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第0話

「ねぇ。なにしてんの?」


少女が男に問い掛ける。しかし、男は聞こえていないのか、反応がない。


「ねぇってば」


しつこく尋ねる少女にやっと男は気がついた。


「なんだ?」


この場に第三者がいれば、男と少女が高貴な身分だと思うだろう。少女は美しい紅の髪に、金眼。その顔立ちはあどけなさを残しつつも気品に満ちていた。衣服も一目で高価とわかる代物で、しかしシンプルな青を基調としたワンピースだった。男は銀髪に銀眼、渋い印象を受ける痩身、しかし、高価そうな黒のスーツらしき服の下は無駄のない筋肉が見受けられる。


男は少女の問いに迷惑そうだ。

「なにしてんの〜〜」

少女は御構いなしに問いを繰り返す。

男は迷惑そうなまま答える。


「ハァ…アリティア王国に頼まれたアレだよ」


「あぁアレか〜しかし、あなたも物好きだねー。自分の種族が迫害されてんのに〜〜」


「関係ないな」


男は本当に関係がないというように言葉を吐く。

少女はコロコロと笑う。


「まぁ」


男が付け足すように言葉を告げる。


「これが達成されりゃ、俺たちゃ救われる」


「バーカ、まっガンバなさい」


少女は男を慈しむように言葉を告げる。まるで母であるかのように。

男は話は終わったというように作業に戻る。


「フフフ…」


少女は楽しそうにしながらその場を去る。


この会話の後、アリティア王国はある戦争に負けていた。その中心には少女がいた。しかし、それを知る者はいない。


悪魔に呑まれたものたちが共通の敵となり、亜人たちが迫害されなくなっていた。それがその戦争の唯一の報酬だった。

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