エピローグ 勝手な娘
「そうか。屍喰鬼王がでたのか」
現在、ショーンたちはスタリアの冒険者協会へと戻りアルトリアに報告をしていた。
レイドを倒した後、ショーンの神聖魔法でレイドの死体を浄化。カーミラが気絶から回復するのを待って迷宮から脱出していた。カーミラはなぜか町の兵士の目を気にしていたが、協会ではそんなそぶりはなくしっかりとショーンとともに報告をこなしていた。レイルは落ち込んでいるのかと思いきや父をしっかり弔うことができたため晴れやかな顔であった。
「創造主である吸血鬼が気になるが、そこにはいなかったんだろう?」
「あぁ。屍喰鬼王が自ら言ってたしな」
「う〜ん。まぁそれはそれか。とりあえず報酬だねえ。カーミラ君にも出るからねえ。なにが良いかなあ〜〜」
「おいおい。まだ決めてなかったのかよ」
「だってさーまさか、屍喰鬼王だとはおもわないじゃん」
「ハァ早くしてくれよ」
「もちろん」
その後しばらくしてショーンたちの報酬が決まった。
スタリアにほど近い迷宮
ショーンたちが去ったあと、そこには件の吸血鬼と思わしきものがいた。
「嗚呼。失敗か。闇は育たなかったか。しかし、あの者は面白そうであったな。クックックッ……」
その笑い声がだんだん消えるとともに吸血鬼の姿も薄れていき最後にはいなくなっていた。
ショーンたちが去った冒険者協会 スタリア支部 支部長室ではカーミラがアルトリアと話していた。
「それで何故貴女様がこのようなところに?」
「ハハ、そんなのどうだって良いだろう」
さっきとは打って変わってアルトリアはカーミラに対して敬意を払っている。一方カーミラの様子は変わらない。
「まっ面白そうなの見つけたし。しばらく彼らとともにいるさ」
「まったく、お父上も大変でしょうね」
「ハッあんな親父困らせておけば良いのさ」
「淑女にあるまじき言葉遣いですよ」
「良いじゃん」
アルトリアは敬意を払っているとはいえ、そこには娘を思うかのような愛情があった。幼い頃から知っているカーミラのその性格で頭を抱えているであろう旧友に同情しながらも、カーミラの好きにさせる気でアルトリアはいるようだ。それをわかっているのかカーミラも口を尖らせるのは表面上だけで内心では自分の良き理解者であるアルトリアとの会話そのものを単純に楽しんでいた。
「さーてとじゃ。失礼させてもらうよ」
「ええ。しかし、ご自分がアリティア王国 第三王女であることをくれぐれもお忘れなく」
「わっかてるよ〜〜」
カーミラはテキトーに返事を返しつつその場を後にした。
大した意外性のないカーミラの正体…
カーミラ「なんだとー!意外性がないだと!」
いや怒んなくても
カーミラ「があー!」