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ロストアース戦記  作者: 秋島ミツ
異世界
6/15

6.生命の危機から

少しづつ足していきます

「どどどど、どうしよう!!」


あたふたと慌てる様は神と呼べる代物とは呼べずただの幼女と化していた。


「まてまてケイオスアイツの腹には俺の神体も刺さったまんまだったし、暫くの間なら何とか記憶の流出も防げるだろうし見つけ出すことも出来るだろう、まずは落ち着けよ」


「だってだって…」


うつむき涙声のままカオスに視線を向けた時


ぴんぽーん♪



「はぁーい」


幼女さながら何処かへとケイオスは駆けていった。


「調子狂うぜ…」


「かおすーかおすー異世界審問委員会から速達便が届いてるよ!!」


「ちょっと読んでみろよ」


「わかったよ、えーとなになに、サブ多次元創排出溝管理状態良好?

とのこと、現アース星域第二排出溝工事完了、

創魂空間拡張工事完了のお知らせ…??」


「えー、逆流していた原因は解決済み、更にメインの魂を送る機関部も新しくして、アイツの世界の魂の総量も拡張完了か、一件落着ってわけだ!」


「「HAHAHAHAHA!!」」


顔を見合わせ笑う二人の声は何時までも何時までも響き渡るのであった。



一方その頃、主人公は空中遊泳中であった。


「あぁああああああいいいぃぃぃっつっつうらぁーーー」


刺さったままの剣はどこへやら消えて風により不細工な顔をはためかせ


アイキャントフライ異世界とかなんとか叫びながら衝撃音を醸し出しそのまま


パァンと地面に落下することになる。



味わったことのない衝撃と痛みの波が全身に広がっていく感覚により熱いものが腹から込み上げる。


熱いというか背中が熱い、腹が熱い、足が熱い、腕が熱い、頭が熱い。


口から勝手に吐しゃ物が湧き出る。そして身体が一向に動かない。


今どういう状態なのだろうか、すでに死んでいる、なのか絶体絶命だ。


身体が危険信号を発することもなく、メーターが一気に振り切れてしまったようだ。


≪アクセスコードが足りません、アクセスコードが足りません、自動的にセーフモードを起動します≫


≪…身体に重大な損傷を確認、心拍数下降、脊椎損傷、内臓破裂、全身における粉砕骨折および打撲、裂傷の修復作業に入ります≫


何処からともなく声が反響する、ふと目を開くと青々とした空が広がっている、子供のころよく見た風景のようにも見えるが、自分にとって見知った空間であるとは言い難い状況なのは直感でわかった。


いったい何処から声が聞こえているのだろうか、女の声、ショッピングモールなどで聞こえる迷子のアナウンスのように無機質な声ではあるが、何故か心地よさを感じ目を閉じてしまう。


少しして声が聞こえる。何だもう少し寝かせてくれよ…。先ほどとは打って変わって慌てているような、心配そうな、そんなニュアンスが合う声だった。


目を開けると目の前に女がいた。修道士のような服を着たショートボブの女、小さな顔をしていて目鼻立ちは整っているものの愛嬌のある顔をしており目はやや緑がかった色をしていた。一言でいえば超可愛い。女は驚いたような顔をして何か言葉を発する、しかしながら聞き取ることが出来ない。


やっぱ異世界って外人なのね?

いきなり何の訓練もなく外国人と話すことなんてできるわけもなかった。


「すみませんI'm Japanese」


「ザーパン?bjkhkldjksbj?」


「Japaneseだよ」


≪対象言語ヒットしました。アクスム語、翻訳を開始します≫


「ザパンから来たの?言葉わかりますか?酷い怪我ですけどここに居ては死んでしまうかもしれません、だから勝手に私の村まで運ばせてもらいますね」


「なんだ?頭から声が聞こえる…」


「声が聞こえる?貴方は一人?誰かと一緒だったの?意識が混濁してるのね、危ないわ、早くローレンツさんのところへ運ばなきゃ」


先ほどまで不明瞭だった女の言葉がクリアに聞こえるようになり、何故なのかわからないが女と意思の疎通が取れてしまっているようだ。


女は俺を肩から抱え込む、あ、すんげ何かいい匂いする、ふわりと甘い香りがした。身体が鉛のように重く足が前に動き出さない。重力に完全に負けてしまっているようで女ごと倒れてしまう、あかんちょっとО・Pが当たってるよ、いけね一寸アレがあれしちゃいそう。


「ごめんね?私には少し貴方が重いみたい…、でも大丈夫、私魔力は少ないんだけど、少しの間くらいなら強化魔法を使うことが出来るから」


女はそう話すと腕を離し、俺を地面に寝ころばせて、手を組みながら少しの間何かをつぶやき始める。祈りのような姿勢だ。


いったい何をしゃべってるんだろう?お経にも似た感覚がするが、耳を澄ませても意味が理解できない。


≪翻訳機能に該当なし、状態をそのまま記録します≫


間もなくして女の身体を薄い光の膜のようなものが包み込んでいた。


「アクスウェルの導きに感謝します」


空間に向かって感謝の意を示す女はそのまま俺を抱え、そして走り出した。揺れと振動がそのまま伝わり何度か意識が飛んだ。


ダンプのような女だ。華奢な見た目に騙されてはいけない。女というのは隠し事が多いのだ。事実、お隣のお姉さんの下着なんかは、男を刺激する色を放っていて何度も妄想のはけ口にさせてもらったものだ。


何処でこんなものを使うつもりなのかと頭を悩ませたこともあったものだ。この女にしてもパッと見は女らしいが一枚皮をむけば筋骨隆々の筋肉ダルマに違いないと俺は感じていた。



成人の男一人を担いだまま陸上競技の短距離のように全力疾走できるものではないことは明白だからである。気が付くと俺はベッドに寝かされていた。


くそう、自分が嫌になる、俺は騙されたのか!!いや倒れ込んだ時に当たった柔らかさあれこそO・P

いや、少しおかしいぞブラしてないかっていうくらい柔らかかった…ということはこの世界は

NO!Bなんか!!NOぶらなんか!!!


ちょっと待て待て少し冷静になって今の環境を見渡してみようか。

何処だここ?

木造建てのログハウスのような造りをしているように見える、視線は天井を仰いでいるが、屋根の梁がそのまま裸でこちらをみている。


屋根裏が無いようだ、屋根の内側は虫に食われてしまっていて雨が降ったらどうするのか聞きたいほどに光が隙間からこぼれ出ていた。


一言でいうと欠陥住宅だ。手入れが行き届いていないのだろう、少しカビ臭い。


声を出そうにも喉はカラカラにかすれて息が通るだけで辺りの空気を震わせることはなく、ひゅっと音が漏れるくらいなものだった。


何度か試すがやはり声が出ない、先ほどは話すことが出来たのだが、あまりに長く眠り続けていたみたいに身体がだるい、いや重い、女に振られて引き籠っていたときに


外に行くのが面倒臭くて、三日ほどふて寝をしたことがあったがその時よりも遥かに身体が固まり切ってしまっているようだった。


起き上がろうと身を起こす仕草をしてみるが身体はうまく動かない。

他人の身体になったかのようだったが、横に体制を向けたり、辺りを見回すと、光の差す窓と小さな花瓶が殺風景な部屋を明るく照らしていた。


ここが神の言っていた物質界なのだろうか…。

もっとも、神と言っても敵方のようだったが、カオスは無事なのか?


≪コードchaos検索中…ヒットしません。半径一万キロ圏内に反応ありません≫


やはり、頭の中に声が聞こえてきていた、俺はおかしくなってしまったのだろうか。この声はなんだ?


≪マスター、貴方はおかしくなってなどおりません≫


疑問を浮かべたところ当然のように頭の中に響く声、修復作業がどうとか話していた声にそっくりだった。


≪イエスマスター、その通りです生命レベルが危険域に入りましたので自己修復機能を最大に引き上げ修復を開始致しました。現在身体レベルは順調に回復しております≫


〈お前はカオス達と何か関係あるのか?〉


返答があるかどうかわからないが頭の中で質問をしてみる。


≪私はchaosプログラムの代用品のようなものです。正規にchaosプログラムが起動できなかった場合や緊急時に契約者を守るための機能として初めから組み込まれたプログラムです。その私が出てきたということは、カオスとの同期が完了していないことを示します。使える機能も低下しますが、代わりに学習プログラムも用意されており、見聞きしたり体験した事柄などを忠実に再現、またはあなたの魔力を使用して行使することが可能です≫


どうやら契約自体は完了しているが肝心の旧契約者たちの記憶などは中途半端にダウンロードしているらしい。初めからうまい話などなかったのだ。しかしながら使える機能もあるようなので半端な同期であってもこちらにとってはまだまだ使える、そんな認識だった。


〈それにしてもここはどこなんだ?というかお前はなんなんだ?〉


《ここはマスターの考えるとおり物質界で正解です。そして今いるこの土地はアクスム、忘れられた神々の住まう土地です》


〈アクスム…ねえ、少しおかしくないか?信仰はまだまだされていて俺を助けた女はここの神に信心深い感じがしたけど…〉


《遥か昔に比べれば忘れられている人々の方がまだまだ多く存在するのですよ》


〈今は信仰してる人数が減って存在が希薄ってことか、それとお前のことをまだきいていないぞ〉


≪先ほど述べたように私は貴方を守るためのプログラムです≫


〈それはわかってる、何て呼べばいい?今の現状も把握できていない状態だし、いつまでこの状態が続くかわからないんだ、相棒の名前くらい聞いておきたいのさ〉


≪私は貴方を守護するプログラムマキナ、マキナと御呼びください、マスター≫

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