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ロストアース戦記  作者: 秋島ミツ
異世界
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5.羽ばたけ鳥バード

それは一瞬の出来事だった。


黒い剣により肉体を貫かれた黒瀬は、地面に膝をつき苦悶の表情と脂汗を滲み出していた。


「なん…だコレ」


自身の身体から生えた黒く反射する刀身に目を向け事態を把握出来ずにいた。


『少し我慢してろ、今剣を抜いたら死んじまうぞ?』


剣の柄に手をやる黒瀬にカオスは注意して話し出す。


『今からお前の生体データを主として登録し、俺の中のデータをお前自身に反映させる作業に移る、っと認証登録は済んだみたいだな』


そうカオスが話した途端目の前に長髪の男が現れた。


「窮屈だったぜー!いちいち剣を媒介にして憑依するのも疲れるな。よぉこれが本来の俺の姿ってわけだ」


いきなり現れてこれは本来の姿です。剣は仮の姿だと言われても腹に刺さった剣は消えることはない、夢ではなく現実のようだ。


「何一仕事終えたみたいにくつろいでんだよ。お前は!こっちは激痛で大変なんだぜ?」


腹部を押さえながらカオスを名乗る青年につかみかかる。


「あっと、慌てんなよ。もう痛くねぇだろ?なんせ剣は主に傷を負わせることは出来んからな、仮に新しい傷がついても自己修復機能で次々に自動で治っちまうんだからよ」


「ホントだ…痛く、ない?」


身体に刺さったままの剣は微動だにしない、内臓を傷つけることもない様子だ。


「だったら先に説明しろ!剣で刺されるなんて体験したことないんだから痛みでショック死したかもしれないだろ!!」


「人間てのは中々しぶとい生き物で手足をもがれてもしばらくは生きてるもんだが…悪かったよ、せっかくの契約者に死なれちゃ困るからな」


物騒な言葉に顔をしかめつつも怒りが湧いてきていた。


人間の自分は利用価値があるから生かされているだけなのかもしれないということが脳裏に浮かび、湧き上がる感情を抑えようと努力する。


「それでいつまで俺はこうしてればいいんだ?」


「いつまでって?」


「だから!こんなもんが、いつまでも刺さったままじゃ何かと怖いんだよ!」


押さえていた感情の波が大きくなっていく。


「ああ、ダウンロードが完了すれば剣は勝手に抜けるだろう」


「ダウンロード?」


「ああ、その剣には俺や前の契約者が体験した知識が蓄積されてるからな、使用者の登録が済んだところで記憶を契約者となったものに注ぎ込む、

今のお前が敵勢力と対峙しても治癒力と魔力量以外は丸裸に近い、戦ってもケチョンケチョンにされて回復が間に合う隙も無く肉の塊にされちまうだろうな」


なんでこいつは配慮のないことをズバズバと人に言えるのだろうか。俺がすごく落ち込みやすい奴だったらこんな奴らに協力しようなんて思わないだろうな


「だが、お前は俺たちに協力することになる」


考えていた内容にカオスが話し返してきたことに驚いてしまうが、どうせコイツも神の類の生き物なのだろうと想像できてしまう。


「お前が考えている通りそんなようなもんだ、というか人間の割に結構冷静だな」


「自分でも驚くくらい冷静さを取り戻してるよ!恩恵がなけりゃ発狂狂人コースだよ!!」


そう答えながら声の大きさはやけっぱちだった。


神を名乗っていた幼女に視線を向ける


「それもあるかもしれないけどダウンロードの影響もあるんじゃない?ねぇカオス?」


「ん?ああ、まぁ賢者や剣術の達人の記憶なんかもあるからな、多少の影響はあるんじゃね?」


自己の正確に少なくとも影響を与える事実に戸惑いを感じていたが、少しの間で不思議と収まってしまっていた。


あれ?ホントに収まってるよ、おい不思議。



「「んじゃまぁ落ち着いたというわけで!」」


「ん??」


投げかけた視線に疑問を抱いていると話が勝手に進んでいたようで…。


女神が口を開いた。


「それでは物質界へ、いってらっしゃ~い!」


「へ?」


その瞬間何かのドッキリのように下に真っ暗な空間が開きそのまま


「誰が落ちるかぁい!!」


と地面にしがみ付きよじ登ろうとしていた。


「洒落になってねぇぞクソ女神!!」


目の前で立つカオスは腕を伸ばし俺はそれに答え手を掴む。



「いやぁすまんすまんうちの女神がびっくりさせちまったなぁ。だから言っただろう、落とすんなら落とすって言わなくちゃよぉ」




へ?何をおっしゃって??


その瞬間手が離される。



「とっとと落ちてくんねぇと話が始まんねぇから、後からいくからよぉ、ばいびー」


そう言いながらひらひらと手を振っていた。



「どわっ!おま、おまおまえらぁぁぁあああ!!!!」


そしてそのまま黒い空間に落下してしまった。



暗い穴のがあった場所は閉じてもう真っ白な空間に染まっていた


「さぁて、そんじゃ俺も追っかけますかね?」


「ねぇカオス…」


「んだぁ?」


「座標固定し忘れちゃった…てへ♪」


「てこたぁ、アイツどこに居るか分かんねってこと??」


「えへ♪」




場面は変わり今回の餌食である主人公はというと…。


「うわあぁぁぁあぁあ!!」


かなりの時間落下しているようだったが一向に地面が見えないのでとりあえず叫ぶことにしていた。


「うわあぁぁぁあぁあ!!」


「おわあぁぁぁあぁあ!!」


「ほわあぁぁぁあぁあ!!」


「…って何処まで続くんじゃ!!」


恐ろしいことにこれは無限廻廊のようなものなのではないかとさえ思えるほど長かった。


体感時間にして約一時間ほどして一つの光の筋が見えた。


なるほどこの光を渡った先に救世主としての未来が!!!


と思ったら完全に景色!!緑!!草原!!空中パラグライダー!!死への未来行き超特急発進中!!!!



その時二人の男の声が重なった


「「アホかぁ!!!!!」」

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