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ロストアース戦記  作者: 秋島ミツ
異世界
4/15

4.先人の知恵

カオスと名乗る黒い剣と神は言い争いをしていた。


『精神をすぐに乱すような未熟者を寄越されてもうれしくともなんともねぇな、ほんとに契約者なのかねぇ』


「その力はおいおい覚醒してくるはずだし、最初からなんでもできる人間なんていやしないよ。それに装備品による魔力上昇率もそこそこのものだよ?」


すごいと言っていた割にはどうにもケイオスの態度が気に食わないし、いきなり出てきて人のことを未熟者だというこいつにも少しイラついてきた。


「おい、いきなり出てきて礼儀がなってないんじゃねぇか?」


『なんだぁ?人間?』


カオスという剣がこちらに振り向いたとき、瞬時に自動小銃を構える。


今度は腕と同化しているなんてことはなかった。

何も聞いていない状況と聞いた後ではかなり違っていた様だ。

少しの情報を取り入れただけなのだが、やはりこの力を使う際には 知っているということが

大変なアドバンテージになるようであった。


『ほう、いくら神の作り出した幽世界といってもいきなりここまで具現化させる力を行使できるとはな。さっきみたいに反動が無けりゃいいけどよぉ』


「反動?」


『さっき錯乱してたじゃあねぇかよ?ケイオスた~んってな』


つい先ほどそこのちんちくりんに欲情していた場面を視られていたのか…。


「ふん、知らんな!誰が未熟者だって?力は上がってんだ、ハチの巣にしてやるぜ」


分かってはいたが、どうにも挑発に弱いようで強く言い返してしまった。


『やれやれ、いいか?このカオス様が直々に説明してやろう。お前のその力は自身の生命力や精神力に依存する力だ』


何かやれやれとか言ってるし、説明とかし始めてるし結局教えてくれんのね。


「精神力に??魔力だけじゃないのか?」


魔力が上がれば多少の訓練は必要ではあるだろうが自由自在に創生魔法が使えると考えていた俺にとって何とも甘くない事実が突き付けられた。

そうかー、あんまり簡単じゃねぇんだな、やめとこっかなぁ…。


『魔力が上がっただの何だのでその力は制御しきれるもんでもねぇ。まぁ魔力が上がれば威力も大きくなるがそれを扱う器にも成長が必要ってこった。

さっき錯乱してたのは自分の力以上のエネルギーを制御出来ずに魔力が底をついたのに原因がある。

人間は一様に外敵から身を守るための力ってものを体に纏ってるもんなんだが、迂闊にもお前は体中に纏っていた生命力をも消耗したわけだ。

当然ケイオスに近寄れば精神汚染を受けちまうってことだな。これくらいのことをうちの神さんはなんで説明してないかねぇ』


人の言葉を介す剣の言葉でケイオスの方へ視線を移すと言い訳が聞こえてくる。


「だってーカオスと契約すればすぐ分かることだと思ってたし急なもんだから焦っちゃってさぁ、あははは」


ケイオスは照れ隠しをするように頬を掻きながら弁解していた。


ここで俺は頭の中にあった、ある疑問について聞いてみることにした。


「なぁ、さっきから言ってる契約者のことなんだけどさぁ。それってなに??」


「だからカオスと契約すれば分かるって」


今までの言動振りではこいつは俺の想像よりもちゃんとした神に見えない、何だか信用できない。

こいつらにとって人間の命や価値観なんてのはどうせカスみたいなもんさ。


「そもそも何の契約だよ?命の危機に晒されるようなリスクはごめんだぞ?」


『なんだぁ?情けねぇ最近の人間ってのはホントに口だけのやつが多いんだなぁ』


「合理的だと言えよ、契約と名の付くものに関して最近の日本人はうるせーんだよ。だいたいどういう代物かわからん上にホイホイと言いくるめられるのも癪にさわる」


『仕方ねぇな、教えてやるよ。契約ってのはな、ソウルリンクシステムのことだ。その名が示す通り、俺と対象者の魂を同期(リンク)させるシステムのことさ。記憶も力も考えてることもな。』


「同期?機械みたいだな?」


『まぁそんなようなもんだな、お前たち人間と相性の良い魔道具を渡し異世界に送りだしてきたのは知ってるな?』


「それで良いんじゃないのか?」


『そうだ、長い間そうして向こうの物質界での動向を探らせたり、異質な力による侵略行為を管理者として排除させてきたが、人間の寿命なんてものは短けぇ』


「お前たちにとってはそうなのかもな」


『ここで都合の悪いことが起こる、管理者の育成だよ。こちらで鍛えて送りだしてもすぐに死んだり、

人間が現役で身体を動かせる期間も短い、向こうでの概念や常識なんかも一から覚えなきゃならねぇわけだから、

手間も食うし効率が悪いわけだ。代案で俺自身が人間形態で向こうに飛んだ時もあったが、肉体が脆過ぎて断念した。』


「そこで何で同期システムが出てくる?」


『カンの悪い奴だなぁ、魂を同期しておけば俺は相手が体験した経験や記憶を保存することが可能なんだよ。まぁ合体に近いかもな魔導生命体と炭素生命体の同化だ』 


「同化ねぇ?それじゃあ違う生命じゃねぇの?」


『まぁまて、言葉のあやだよ。本当に同化するわけじゃないから同期なんだよ、お前が死んでも俺は死なないし、俺が死んでもお前が死ぬことはない、あくまで俺はお前を強くしたり、オペレータのような役割で存在するわけだ。それにお前が死んだとしても俺と契約してりゃすぐに元の状態に戻してやるさ』


「なるほどね、カオスの中にある知識を取り込むことが出来る、物理的にも強くなれるし知識があるから魔法も使える、向こうの常識や情勢も分かったまま裏から暗躍することが出来るってわけね、うしし、ハーレムが俺を待ってるわけだ!」



『その顔をみると契約成立でいいか?』

「おうよ!」


そう返事した次の瞬間、黒い刃は俺の身体に突き刺さっていた。


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