中学生と高校生
最近の中学生は進みすぎてると思う。発展速度が半端なく早い。
石器時代から平安時代まで跳んじゃうぐらい早いと思う。
今俺の前にいる中学生の二人も、発展速度が早いと思う。
だってもうチューしてたんですよ? これってどうなの?
俺としては問い詰めたい気持ちもあるのだが、哀れなチキンなハートの持ち主である俺には、そんな質問をするのは10万光年早かった。あ、これはじかんじゃない! きょりだ!
そんなことを考えている俺と、普段からあまり話さない弟と、状況を把握してない木村と、俯いたまま黙り込んでいる可憐ちゃんの4人が揃うと、必然的に無言になってしまうもので、なんとも言えない空気が弟の部屋の中に充満していた。
居づらい。だからと言って『あ、俺部屋出ていきますね』なんてことは言えるような空気ではない。
誰かこの空気をぶち破ってくれ!
そう思い、木村をチラッと見た。
すると木村に俺のテレパシーが通じたのか、弟に向かって話しかけ始めた。
「弟くんと可憐ちゃんってどういう関係なの?」
あちゃー。
特攻兵のこいつに頼んだのが間違いだったー。まぁ実際に頼んだわけではないけどね。
いくらぶち壊して欲しいと願ったとはいえ、これは無い。どのくらいないかって言われると、『足なんて飾りですよ! えらい人にはそれが分からんのですよ!』って言われたときに『えっ、足があるからかっこいいんじゃん』って真顔で言っちゃうシャアぐらい無いと思う。そんなシャアは嫌だ。そして『ジオングよりもゲルググ派なんだけど』とか言っちゃうんだろうな。ないわー。
俺は、弟の反応にちょっとドキドキとした。
「僕と可憐ちゃん?」
「うん」
「僕と可憐ちゃんは・・・」
横で俯いている可憐ちゃんをチラッと見る弟。
その視線に、赤くなった顔で答える可憐ちゃん。
これだけでなんとなくわかる。そーゆーことなんでしょうね。
「ただの友達だよ?」
「嘘だっ!!」
思わず俺が叫んでしまった。
だってそのくらいびっくりしたんだもの。
「どうして?」
「いや、どうしてって・・・」
俺は木村をチラッと見た。
その木村は首を傾げる。
そりゃ木村はキスシーンを見てないんだもん。わかるわけがないさ。
「お、お前ら、さっきその、キ、キッスしてた、じゃん」
なんで問い詰めてるはずの俺がこんなに恥ずかしい思いをしなければならないんだよ。理不尽だと思います。
「「キス?」」
弟と可憐ちゃんの声が重なった。
「えっ?」
「キスってなんのことですか?」
「えっ?」
「僕と可憐ちゃんはそんな関係じゃないよ?」
「えっ? ・・・えっ?」
あれ? 俺、間違えてた?
でも確かにキスしてたように見えたんだけど・・・もしかして木村とひと悶着あったから、そういうふうに見えちゃっただけ的な?
「いやいや! でもさっき確かにキスしてたじゃんか!」
「・・・してたっけ?」
「わ、私はされてません!」
おやおや?
俺の勘違いですか?
「さっき可憐ちゃんがお前と並んで座ってて、それで顔がこうやって・・・」
・・・こうやって思い返してみると、可憐ちゃんの後頭部が見えていて、弟の顔が可憐ちゃんの頭で隠れていただけであって、キスしている口元を見たわけではない。
・・・つまり漫画とかである『いや、目にまつげが入っちゃってー』的なアレですか?
「もしかしてさっき僕が可憐ちゃんの熱計ってたやつ?」
「熱?」
「ほら。おデコとおデコを合わせて計ってたじゃん」
「あーあの時ですか。アレは私の顔が赤いから、幸人くんが熱あるんじゃないかって」
・・・熱ぐらい手で計りなさいよ。触ればわかるでしょ?
「じゃあキスしてたわけじゃないの?」
「してません!」
可憐ちゃんが顔を真っ赤にして言った。
だってそう見えたんだもの。紛らわしいことするこいつらが悪いと思います。
解決したところを見計らってか、木村が俺の袖をクイクイっと引っ張った。
「なんだよ」
「あんたがちょっと付いてこいって行ったから弟くんの部屋来たんでしょ? 早く説明してよ」
「・・・マジで?」
「当たり前じゃん」
弟の前でそれを言いますか。
ほら、弟も食いついて来ちゃったじゃん。めっちゃこっち見てるもん。
んもぅ・・・
「あのな。さっき俺が出ていった理由を知りたいらしいんだけど、まずお前から木村に言いたいことがあるなら言っちまえ」
「ぼ、僕の気持ち?」
珍しくうろたえる弟。なんかこんな弟を見るのは新鮮だ。
そして木村と弟がそれぞれをじっと見つめ合う。
「私になんかあるの?」
「なんかっていうか・・・その・・・」
ほら。言っちまえよ。吐いちゃえば楽になるぞー?
弟は小さく深呼吸をすると、覚悟を決めたように言った。
「僕、紗枝ちゃんが好きなんだ」
言った。言いおった。
俺が言わせたんだけど、ハッキリと言いおった。
こいつ、なかなか度胸があるやつだ。俺なんかと違って。
言われた木村は、驚いたように目を丸くしていたが、すぐに柔らかい笑顔で弟に言った。
「ありがと。でも私はこいつのことが好きだから。ゴメンね」
そう言われた弟は、一瞬だけ泣きそうな顔をしたが、すぐにいつもの顔になった。
でも俺にはわかった。
やっぱり今すぐ泣きたい気分なのだろうかと思った。
弟には悪いが、これが現実だ。
人は恋して振られて大きくなっていくのだ。俺が言うようなセリフではないので、心の中にとどめておくが。
すると隣の木村が立ち上がった。
「じゃあ私そろそろ行くね。行こっ」
「えっ、ちょ」
「いいから」
無理矢理俺の腕を掴んで立たせて引っ張る木村。
なんとか立ち上がると、引っ張られるがままで部屋の外へと連れ出される。
そして俺の部屋へと二人で戻ってきた。
「あんたも気が利かない男ね」
「・・・サーセン」
「あそこは出ていかないとダメでしょうが」
あんな状態にしたお前が言うな。
「第一、あんたは弟くんの気持ちを知ってたわけ?」
「知ってた」
「じゃあなんで無理矢理言わせたのよ」
「だってお前が説明しろ説明しろってうるさかったからさ」
「そ、それは関係ないでしょ」
「・・・いいじゃん。俺だってお前を弟になんて取られたくないんだよ」
「・・・取られるわけ無いじゃん」
「世の中にはネトラレって言葉があってだな」
「そんなに私のこと信用してないわけ?」
挑戦的に言う木村。
「・・・一応信用はしてます」
「一応?」
「・・・あーもうっ!! わかってるって! 超信用してるっての! お前が俺のことどれだけ好きかはわかんないけど、俺はお前のこと結構好きだし、誰にも渡したくないと思ってます!」
ほぼ一息で勢い任せで言ってやった。
勢いでやった。とても後悔している。出来ることなら過去改変をするために電話レンジ(仮)を作りたいくらいだ。マッドサイエンティストに会いに行くために、アキバでも行ってくるかな。
その言葉を聞いた木村はクスクスと笑った。
「・・・なんだよ。変なこと言ったか?」
「ううん。うれしーなーって思ったの」
ホントに嬉しそうに言う木村。
俺は、そこまで露骨に嬉しさを表現できないので、フンと鼻で笑ったら木村に蹴られた。
なんか俺も恋人っぽくなってきたなぁと実感してしまった。
いいのやら悪いのやら。
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イチャイチャしやがって・・・
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