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ぼっちデイズ  作者: シュウ
五章
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好きな人

『じゃあ僕のこの気持ちはどうすればいいの?』


そんなことを弟に言われるとは思わなかった。

ってゆーか完全に相談相手間違ってるよね。もう俺に相談した段階で全てが終わってるもん。

俺にはそんな質問に対する答えを導き出す力を持っていない。俺は金色の本を持つ人間でもなければ、ゼオンの本の持ち主でもない。

俺の足元にもレールが伸びていれば、こんな状況にならなかったのかもしれない。人生で一度は言ってみたい言葉ランキングの上位に『敷かれたレールの上を歩いてるだけさ』ってのあるよね。金持ちならではのセリフ。一般人の俺にはそんなセリフ言えねぇ。言えやしねぇよ。

だからと言って、弟の真摯な悩みに手助けをしないわけにもいかない。あんなよくわからない弟でも弟は弟なんだし。

でもどうしたもんかなぁ・・・

テスト前だというのに、全く頭に入ってこない授業。

ノートは最初の方をサラっと書いただけで、先生の話を書き加えたところまで発展させられていない。先生の言葉が文字になって見えるSiriたんみたいな機能は無いんですかね。

頭の中の整理が出来ないまま授業が終わってしまった。

これは前回同様、散々なテストになってしまいそうだ。早く解決しないとダメだ。

とは言ってもどうしたものか・・・


「さっきからため息ばっかりついてどうしたんだよ」

「・・・なんだ渡辺か」


隣から声をかけられて、姉さんが座っているはずである席を見ると、そこにいたのは渡辺だった。


「なんだとはなんだ」

「お前には関係ないから気にすんな」


こいつに相談したところで、何も解決しないだろうし、なによりドM野郎の恋愛アドバイスなんて聞いても仕方ないだろ。

どうせ『もっと突っ込んでいって自爆するぐらいの覚悟で行かなきゃダメだろ! そこまでして初めてご褒美がもらえるってもんだろ!』なんて言われてもどうしようもないだろ。


「関係ないと言われると気になるのが人間ってもんだろ☆」


めちゃくちゃドヤ顔で俺に向かってウインクしてくる渡辺。

正直キモイ。

お前、何に影響受けたらそんなセリフが言えるんだ?

これでキャーキャー言っちゃう女子がいるそうなのだが、頭沸いてるだろ。

なにやら渡辺の背後で、誰かが椅子から転げ落ちていた。あの腐女子ペアの片方が椅子から転げ落ちたように見えた。・・・たまたまだと思いたい。

椅子をちょっと引いて、渡辺から距離をとってから口を開いた。


「いやいや。離れなくてもいいだろ」

「だってキモイんだもん」

「嘘だっ! だって川崎とか山下とかはみんな『カッコイー! イケメーン! ダイテー!』って言ってたぞ!」

「そういうこと大声で言うな! そんなの冗談に決まってるだろ」

「・・・冗談か」


納得がいったようで、真顔になってウンウンと頷く渡辺。

第一、川崎とかに抱かれてどうするんだよ。BLか? BLなら満足ですかコノヤロー。

そんな状況になるんなら、あそこで倒れてる腐女子さんに声かけときますねー。


「冗談は置いといて。んで、どうしたんだよ」


あーこの顔は真面目モードですか。俺に『言わない』っていう選択権はどこの世界にもないんですね。わかってます。


「・・・弟から恋愛相談受けたんだよ」

「弟? 弟いんの?」

「あれ? 言ってなかったっけ?」

「・・・多分」

「まぁその弟がさ、俺に恋愛相談してきたから色々考えてるわけ」


こんなこと渡辺にいってもなんの解決にもならんだろ。

ほれ見ろ。考え込んでるじゃねぇか。どうせ木村に蹴られる妄想でもしてんだろ。


「弟っていくつ?」

「えっと・・・中1」

「そんな歳で恋愛で悩むって、どんだけだよ」

「まぁ俺より人間出来てるからな」

「でもお前に相談してる段階でダメだけどな」

「それは俺が一番知ってる」


アハハと笑う渡辺。って意外と真面目に答えてる渡辺にビックリ。変な渡辺ばっかり考えててごめんなさい。


「で、そんな弟はどんな子が好きなんだ?」


どんな子・・・

木村の名前を出すのはNGだろ。

こう考えると、木村モテモテじゃん。選り取りみどりってどんな気分なんだべか。

イケメン(渡辺)にショタ(弟)にオタク(俺)・・・って確実に俺だけ浮いてるよね。

恋愛シュミレーションでは攻略対象にすらなってない位置だ。攻略本にも載らないレベル。なんで俺が木村に選ばれたんだか・・・。

まぁ今はそれどころではない。


「えっと、明るくてそれなりに可愛くて、でも喜怒哀楽が激しい年上の人」


抽象的に木村のことを言うとこうなるのか。これプラス『オタク』だけど、弟も渡辺もこのことは知らないはずだから、言わなくても問題ないだろう。


「ふむふむ。いくつ上?」

「えっと・・・3つ?」

「3つって俺らと同い年じゃん」


そして俺の顔を見て何かを考え込む渡辺。

あっ・・・


「まさか木村だなんて言わないよな?」


これだけ交友関係が狭くて、ヒントもいくつも出してれば、そりゃバレますわな。

そんな渡辺の言葉に、俺は目を閉じて小さく頷いた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


紗枝ちゃんモテすぎワロタww


次回もお楽しみに!

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