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ぼっちデイズ  作者: シュウ
四章
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襲来襲撃反抗期?

着替え終わった俺は部屋を出て、1階のリビングの方から聞こえてくる女子2人の声を確認した。

なんであの2人がウチにいるんだ?

木村は・・・まぁわからんでもない。前、木村の家から勝手に帰ってきてしまった。その後メールで謝ったりなんやらしたけど、どうせ弟と遊ぶとかいう名目で、また家に侵入してきたのだろう。もう愉快犯として通報してもいいですかね? 罪は『不法侵入およびプライバシーの侵害』ってとこだ。

しかし吉川さんだ。この人は全くわけがわからないよ。僕と契約して魔法少女にでもなったつもりなの?あんな白い生き物がかがみんボイスで『きゅっぷい☆』とか言ってこられたら、俺なら逃げるね。だって怖いもん。

そんなことより吉川さんだ。行動といい言動といい思考といい、全く読めない。何考えて人の家に来てるんだ。

とにかく原因究明が優先だ。

階段を降りて、リビングのドアを開けると、そこではストーブに群がってキャッキャウフフと話している女子2人がいました。


「って寒っ!!」

「あ、今ストーブ点けたばっかりだから寒いよ」


弟がマイペース全開で答えてくれた。


「寒いわ! なんで点けてなかったんだよ!」

「そんなこと言っても・・・僕だって自分の部屋にいたんだもん」

「弟くんを責めるのは良くないと思いますー」

「あ、私も思いますー」


そこの女子は黙ってろ。


「じゃあ暖まるまで自分の部屋にいるから」


そう言って暖をとってから出直そうと引き返した。

そして俺の部屋には、4人の人間が集まりました。

あれ? 俺ってRPGの主人公かなんかだっけ? 気がついたら後ろに付いてきてたんですけど。


「・・・お前らは付いてこなくていいんだよ」

「だって寒いんだもん」

「だって紗枝ちゃんがついて行ったから」

「一人ぼっちは寂しいから」


木村、弟、吉川さんの順で言った。違うと思うけど、吉川さんはこっち側の人間ですか? 俺は杏子みたいに優しくないぞ。


「あのなぁ・・・」

「いいじゃん。細かいこと気にすんなよ」

「勝手に家に入ってきたお前が言うな」

「紗枝ちゃんは僕と遊びに来たんだよ」

「君は黙ってなさい」

「私は木村さんと遊びに来たんだよ?」

「いや、ウチで遊ばなくてもいいよね?」


こいつら、人がツッコミに回った瞬間に畳み掛けてきやがる。


「だって弟くんにメールしたら、最近会ってないから会いたいなって言われちゃって」

「お兄ちゃんばっかり紗枝ちゃんと遊んでズルイ」

「私は修行のために」


弟と木村は遠距離恋愛中なの?

ってか・・・


「修行?」


吉川さんの一番気になる理由に、思わず聞き返してしまった。


「うん。木村さんって結構な・・・その、リア充っていうの? それでしょ? だから一緒に遊んだら私もそれに近づけるかなって思って」


この人何言ってんの?


「もう昨日の夜にメール来たからビックリしちゃったよ。せっかくだから渡辺とか伊織とかも誘ってみんなでこようかと思ったんだけど、伊織は興味ないって言ってたし、渡辺は連絡先知らなかったし」

「それで私だけ来たってわけなのー」


顔を見合わせて『ねー』と言う2人。

今の説明の中に、俺のことが一回も出てきてないんだけど。相変わらずの決定権の無さ。NASAもビックリだよ。


「あ。あんたのアドレス、吉川さんに教えといたから」

「聞いちゃいましたー。エヘヘー」


個人情報の流出を確認しました。誰かこいつの犯罪係数調べてください。公安局刑事課一係でも呼べばいいんですか?


「あとでメール送るね」

「・・・はい」


アドレス変えようかなぁ・・・


「そういやお前ら何してたんだよ。そんなに盛り上がるようなものが弟の部屋にあったとは思えん」

「人生ゲーム」

「人生ゲーム?」

「知らないの?」

「いや、知ってるよ。一応俺の家にあるものだし、やったことあるって」


小さい頃に母さんに誕生日プレゼントに買ってもらったんだけど、買ってから家族で何回かやった以外は、弟の部屋に封印していたはずだ。だって一緒にやる友達がいないんですもの。悲しくなんかないんだからね。


「もう木村さんが暴走しちゃって大変だったんだよー」

「ちょっ! それは言わない約束でしょ!」

「紗枝ちゃん可愛かった」

「弟くんまで!」


顔を赤くして手をブンブンと振る木村を見て、弟と吉川さんがニヤニヤとニヤけた。

一体何をしたんだ?


「この話はもうやめ! さぁ! どっか行きましょう!!」


勢い良く立ち上がった木村がそう言った。


「は? もう暗いじゃん。大人しく帰れよ」

「何言ってんの! 遊び尽くすのが休日ってもんでしょうが!」

「いや、休むのが仕事じゃ」

「それがリア充の基本なんですね! 師匠! どこまでもお供します!」

「そうと決まれば早速行くわよ!」

「師匠ー!!」


そう叫んで、2人は部屋を飛び出していった。


「・・・・・・はぁ」


なんだあのテンション。疲れるわ。

じゃあ俺はここで待っててやるとするかな。あいつらにも帰るところがあったほうがいいだろう。うんそれがいい。


「何してんの! 早く行くよ!」

「まーだでーすかー!」


どうやら玄関の方から叫んでいるようで、俺がなかなか来ないのに苛立ちを覚えているような木村の声と、まるで友達の家に『○○君! あーそーぼー!』と外から呼んでいるような吉川さんの声が聞こえた。

このまま俺が行くまで待ってるつもりかよ。


「・・・・・・はぁ」


俺は小さくため息をついて立ち上がった。

そして座っていた弟も立ち上がった。


「お前は来んなよ?」

「どうして?」

「どうしてって・・・もう遅いじゃん。母さん心配すんぞ」

「大丈夫だよ」

「怒られるの俺なんだから家でじっとしてろ」

「・・・む」


今ちょっと怒ったろ。

俺と違って、お前は意外と顔に出るんだからな。


「わがまま言わないで、家にいれ。また今度一緒に遊びに連れてってやるから」

「・・・わかった」

「あ、帰るのいつになんのかわかんないから、母さんにご飯いらないって言っといて」

「・・・うん」


そう言って自分の部屋に戻っていく弟。

最近反抗的になってきた気がするな。思春期か?

弟が部屋に戻ったのを確認してから、俺は木村と吉川さんの待つ玄関へと向かった。

読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


人生ゲームの回は割愛しております。

希望者がいれば考えてやらんこともない!


次回もお楽しみに!

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