表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼっちデイズ  作者: シュウ
一章
9/128

オタトークとレビュー

また君に名前を聞けなかった。

ゴールデンボンバーかよ。

いや、女々しいかもしれないけど、あの去り際とは違って、教室ではムスーっとしていてなんとも可愛いげがなかった。友達減るぞ? あの上目遣いで迫ってきた君はいずこへ。

そんな恐怖も手伝って名前を聞くことは出来なかった。

まぁ名前なんか知らなくても、教室で話すことなんてないし、誰かに紹介することもない。こういうときはぼっちで良かったって思える。

・・・だから友達いないのか。

そんなことよりもメールだ。

送ろうと決心したものの、なんて送ればいいのやら。


『本日はお日柄もよく・・・』


社交辞令かよ。


『おはやっほー! メールしてみたよー!』


りんごちゃんかよ。

もう適当でいいか。


『件名:隣の席の人です。 本文:メールしてみました。お願いですから返事ください。』


これでいいや。悩むのめんどい。送信っと。


「ふぅ・・・」


ため息をついた途端、ケータイがブルブルと震え出した。

常日頃から人生マナーモードの俺は、ケータイも常にマナーモードになっており、着信音なんかしばらく聞いたことが無かった。多分着信音3とかだ。

とにかくケータイを開いて着信の相手を確かめる。

もちろんあいつだ。


『件名:敬語とかキモイ 本文:もっと早くメールしてよね。今日も来ないかと思った』


ナニコノメール?

本当にあいつが送ってるのか?

超別人みたいなんですけど。もう完全にあの超怖い隣の席の人じゃないんですけど。

しかも噂のデコメール。でも文章以外は絵文字も顔文字も入ってない。意外すぎる。

メールってそんなに人格変わるもんなのか? 確かに俺のメールの文章も丁寧語の集合体だけどさ。

と、とりあえず返信しないと・・・

ここからはメールのやりとり。

俺が頑張って送って、あいつが瞬時に繰り返してくる。

件名は以降『Re:』だったので省略。


『そんなに心配しなくてもメールぐらい送るっての』

『そんなことよりも早速オタトークしよう!』

『オタトークって結局なに話せばいいんだ?』

『じゃあとりあえず私の話聞いて!』


ここでなんて答えようか迷っていると、あいつからメールが送られてきた。

しかも長文。


『私ね、あのキーホルダーのマンガが超好きなの! アニメも全部見たしDVDも買ったし再放送も全部見てるしゲームも買ったし! 特になのちゃんが好きなの! どう考えてもあんな妹いたら超萌えるじゃん? (以下略) それにあの話が一番面白いと思うの! 命を燃やせー!って言っちゃうじゃん?』


じゃん?って言われても困るじゃん? カンクロウかよ。

うわー。これってなんて返信返せばいいんだ・・・

俺の『適当に返事しておくスキル』を駆使しても返しづらい。

ってゆーかどれに返せばいいんだ・・・

俺がそうこうしているうちにまたメールが送られてきた。これ自動送信機能とかあるの?


『ちょっと返信はまだ? 会話にならないじゃん』


えぇー・・・

マシンガンの弾を全部受け止めろと申しておりますね。

もう素直に送ろう。


『なんかお前キモイ』


よし。俺は別にメールをしたいわけじゃないんだからこんな返信を送っても問題ないだろう。

むしろこのままメールのやり取りが終わってくれたほうがいくらかマシだ。

おっと返信がきた。


『あんたに言われたくないし。オタトークってこんな感じじゃないの?』


こいつは何を履き違えているのだ。

オタトークって言うのは同じ趣味を共有している友達同士がするオタク特有の会話のことだろ。なのに互いの趣味どころか、互いの情報を何も知らない俺たちがしてるのはオタトークとは言わない。きっと。

俺も友達居ないからオタトークしたことないけど、俺たちがしてるのはオタトークとは言わないと思う。ただのレビューだ。最後に☆3つとか言うんだ。

俺はそんな感じのことを送った。

すると返事がきた。


『じゃあ私とじゃオタトークは無理ってこと?』

『いや、そーゆーのはちょっとレベルが高すぎるだろ。もうちょっと仲良くなってからというか・・・』

『じゃあ私と仲良くしてよ』

『えー・・・』

『嫌なの?』

『正直に言うとお前と仲良く出来る気がしない』

『なによそれ』

『お前と仲良くするってことは、あのお前の友達に接近するってことだろ? 俺そーゆーの無理だもん』


急に返信が途切れた。

やっと諦めてくれたのか?

そう思っていたが、またメールが届いた。黒ヤギさん、食べちゃってー。


『ちょっと電話番号教えなさいよ』


えっ?

文章じゃ物足りないからって口で罵るってことですか?

俺の業界ではそれはご褒美じゃないから勘弁していただきたいなぁ。


『嫌です』

『じゃあメールで送るからちょっと待ってて』


そう言って俺は寝ようと布団の中に潜り込んだ。

このまま寝落ちに見せかけてスルーしよう。

そして明日の朝に『いっけなーい! 昨日寝落ちしちゃったー! ごめんなちゃい☆』って謝れば完璧だ。ついでにてへぺろも加えるとこうかはばつぐんだ。

よし。この作戦で行こう。

少ししてメールが送られてきたので、一応中身だけは確認することにした。

メールの内容はあいつの電話番号だった。

送るってそういう意味かよ。

そして最後にこう書かれている。


『電話しないと明日蹴る』


俺も痛いのは嫌です。

こいつなんかよりももっとおしとやかな人と仲良くなりたかったなぁ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


さりげなく短編を投下しました。

良ければ見てやってください。


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ