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ぼっちデイズ  作者: シュウ
四章
81/128

待ち時間

俺は、木村と歩く帰り道で、渡辺にした話を木村にもした。

すると木村も渡辺と同じようなことを言った。


「あー私もたまにそういう時あるから、気にしない方がいいよ」

「お前、渡辺とおんなじこと言うなし」

「だって仕方ないじゃん。人間なら誰でも通る道だって」

「そういうもんなの?」

「そういうもんよ」


そういうもんらしいです。


「私もあんたに会うまでは、隠れオタしてたわけだけど」

「いや、今も隠れっぱなしでしょ」

「うっさいな。現在進行系で隠れたオタしてるわけだけど、あんたとオタトークが出来て楽しいもん」

「俺はお前となんか世代の壁を感じるけどな」

「あんたの知識が新しすぎるのよ」


それでも俺もけっこう知識があるほうだと思ってたのに、モノホンのオタクの木村と会ってからは、自分が今まで振舞ってきた『俺ってばかなりオタクの知識あるぜ!』的なものに恥ずかしさを感じるよおうになった。

上には上がいたわけだ。


「まさかあんたと渡辺がそこまで仲良くなってたとはねぇ。思いもしなかったわ」

「・・・仲良くねぇし」

「プププー。この人まだこんなこと言ってるしー」


渡辺と仲良くなったつもりはない。

渡辺が仲良くしてくるだけだ。

どうせ渡辺にとって俺は、数ある友達の中の一人でしかないんだ。つまり俺にとっては、まだ友達の域にも達していないレベル。


「渡辺だって、たかが友達にそんなことまでしないって。いい加減に気づいてあげなよ。渡辺泣いちゃうよ?」

「あいつなら喜ぶべ」

「なんで?」

「あ、いや、こっちの話」


あぶねぇ。こいつはまだ渡辺がMなの知らないんだもんな。うっかり言うところだった。


「渡辺だってあんたと仲良くなりたいからそーゆーことしてんのよ」

「あんなリア充は友達として認めん」

「オタクならいいの?」

「・・・そーゆー問題じゃないでしょ」

「はぁ・・・これ以上言っても無駄ね。意識改革しなさいな」


どうして上からなんだよ。

俺と木村は、駅に着いて電車に乗り、そして降りた。

電車内では、木村がオタクだとバレると困るので、極力そーゆー類の話は避けることが多かった。そして必然的に無言になる。これは仕方なかった。

また歩き出すと、木村の会話は弾む。どうやら足と口が連動しているらしい。


「弟くんに会うの久しぶりだなー」

「前に来たのいつだっけ?」

「えーと・・・あんたが熱出してた日、かな?」

「あー・・・」


思い出したくもない黒歴史を作ってしまった日か。

あの時の俺はどうかしてたんだ。木村の手を掴んで縋って(すがって)まで引き止めるなんてこと、これから先絶対にしないと思う。いや、したくない。恥ずかしくて穴ほって埋めてほしくなる。


「弟くん、いるかな?」

「いるんじゃね?」

「ちょっとメールしてみてよ」

「はぁ? もう家つくじゃん。するなら自分でメールしろ」

「いやー、ちょっと弟くんにメールするのが気まずくて・・・」


頭をポリポリとかきながらエヘヘと笑う木村。


「気まずいって・・・なんかしたのかよ」


こいつ俺の知らないところで何してんだよ。もしかしてナニか? いやいや。それは無いな。・・・無いよね?


「ちょっとケンカってほどでもないんだけどさ・・・まぁいいじゃん。忘れて忘れて」


そうごまかされると気になるのが人間というやつだ。

でも気になってはいるが、俺は深く追求されるのは苦手なので、あえて追求はしなかった。人にやられて嫌なことは他人にもするな、ってばっちゃんが言ってた。

そうこう話しているうちに、我が家に到着。

ドアノブに手をかけると、鍵がかかっていたので、まだ弟は帰ってきてない様子。


「あれ? おかしいな・・・」

「どうかしたの?」

「あいつ、いつもなら帰ってきてるはずなんだけど、まだ帰ってきてないんだよなー」

「遊びに行ってるんじゃないの?」


そう言いつつもほっと胸をなでおろす木村。

家の中へと入り、俺の部屋へと向かう。

そして俺はベットの上、木村は本棚の横へとそれぞれ座る。ここが木村が来た時の定位置になっている。


「ふぅ・・・」


やっと今日一日が終わるとちょっと疲れた気がした。渡辺としたサッカーが効いてきたのだろうか? だとすると、明日は筋肉痛だと思う。


「お、弟くんまだかな?」

「さぁ? 帰ってくるとしたら、もう少しで帰ってくるんじゃね?」

「そ、そうだよねー。ハハ」


ん?

木村の様子がおかしい。

なんか落ち着かない様子だ。

いつもなら黙々とマンガでも読んでるはずなのに、部屋の中をキョロキョロと見回しては顔を手で扇いだりしている。


「どうした? 暑いのか?」

「いやいや! 全然暑くないよ!」

「・・・じゃあどうしたんだよ」

「えっ! えっと・・・」


なにこいつ。

急に顔を真っ赤にする木村。やっぱり暑いんじゃん。我慢することねぇのに。

そう思ったので、窓を開けた。

いくら秋とはいえども、それなりに寒い。しかも日が落ちてきた夕方ともなると、ますます寒い。

これでもまだ暑いとか言うようなら、外に放り出してやろうか。


ストン。


「っ!?」


窓を開けて振り向くと、俺がさっきまで座っていたところの横に木村が座っていた。

ちょ、おま、一瞬の出来事過ぎてビックリしたわ。


「何してんの?」


俺が問うと、木村はポフポフと俺が座っていたところを叩いた。

隣に座れと言うことですか。

俺は指示されるがままに横に座った。

すると木村が俺の肩に寄りかかってきた。

俺はビックリしたけど、顔には出さないようにした。きっと心臓を持ったカーボーイが飛び出ているはず。そのぐらいは驚いた。


「・・・好き」


!?

木村が小さく言った。

俺に聞こえるか聞こえないかの声の大きさで言った。

しかし俺の耳にはバッチリ聞こえてしまった。

驚いた俺が木村の顔を見た直後、木村も俺の顔を見た。

そして見つめ合った。

目を閉じる木村。

そして木村の顔がだんだんと近づいてくる。

えっ、これってやっぱりそういう流れなの?

ちょ、まだ心の準備が・・・


「いてっ!」

「きゃっ!」


木村を支えるために後ろに出していた腕がカクンとなってしまい、俺はバランスを崩してベッドに仰向けになった。

その拍子で、木村も俺の上に倒れ込んできた。

うわー・・・この雰囲気ぶち壊すとかマジでないわー。

とか考えていたのだが、木村は止まることを知らず、そのまま俺に覆いかぶさり、押し倒したかのような体勢で、顔を近づけてきた。

俺は身動きできずに、木村の顔が近づいてくるのを受け入れる覚悟を決めた。

呼吸を止めて1秒、木村が真剣な顔をしたから、そこからは何も言えなくなった。星屑ロンリネス。

木村が目を閉じたので、俺も目を閉じた。

そして気配だけでわかる距離まで木村の顔が近づいてきた。

そして俺の唇と木村の唇が触れようとした。



その時。



「お兄さーん!! 遊びにきましたー!!!」


とても元気な声が俺の部屋の中にこだまし、俺と木村はパッと目を開いた。


「・・・ぅ、キャーーーーΣ(゜∀゜ノ)ノキャー!!! 何してるんですか!!! 不潔! 変態! エッチーーー!!!」


部屋の入口を見ると、そこに居たのはちっちゃいブチャラティでした。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

感想とか書いていただけると嬉しいピョン。


あなたもわたしもポッキー♪

ということで、昨日はポッキーの日でした。

バイト先でトッポを食べました。

あなたはきのこ派ですか? たけのこ派ですか?

私はキノコ派です。タケノコ、オマエ、ヤマニウメル。


次回もお楽しみに!

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