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ぼっちデイズ  作者: シュウ
一章
8/128

忘れてました

「ちょっと来て」


教室に到着するなり、俺は入口に立っていた隣の席の人に強烈なローキックを喰らい、動けなくなったところを引っ張られて、足を引きずりながらひと目につかない階段の脇へと連行された。

昨日までオタクで根暗でぼっちだった俺が何を言っているんだと思うかもしれないが本当なんだ。まるで『階段を登っていたら降りていたんだ!』状態。

で、連れて行かれるなり開口一番がこれ。


「なんで昨日メールしてくれなかったの?」


俺たちって付き合ってたの?

これってフラれる直前の男子が言われるセリフじゃね?

俺は結局メールをしなかった。というよりも忘れていた。

ビクトリアから帰ってきて、ついいつもの癖で動画鑑賞とネトゲをしていたらすっかり夜も更けていて、メールするには失礼な時間になっていたのだ。


「いや、その・・・あれだろ? どうせネタとかにしてからかってるんだろ?」

「はぁ?」

「だ、だってそうじゃん。完全なるぼっちの俺と超リア充のお前がメールなんておかしいじゃん。どう考えてもネタにされるとしか思えないじゃん」


言ってやった。でも最後の方はちょっと声震えてたかもしんない。このバカ! 俺を見る視線が怖いんだよ! 目そらしちゃうよ!


「別にネタになんかしないよ」

「じゃ、じゃあなんで俺なんかとメールしたいんだよ」

「その・・・」


なんで・・・なんで恥ずかしそうにモジモジしてんの? ちょっとキモイんだけど。

どう考えても計算したモジモジだもん。あんな二次元の女の子がやるような『えっと・・・エヘヘ、恥ずかしいな・・・』っていう感じのモジモジじゃないもん。これは『えー言わせんなよー。でも聞いて欲しいなぁ』っていう一見矛盾に見えるが、実は聞かれたらものすごい勢いで話し出すという『かまってちゃん』の作戦なのだ。しかもこの女がやると普段から怖いイメージを叩きつけられているせいもあって、異様な雰囲気が漂う。


「あんたと話がしたかったの」


話? 『脅し』の間違いじゃなくて?


「ほら、私ってこんなんじゃん? だからそっち系の話出来る友達が居なくて」

「友達としたらいいじゃん」

「いやいや。絶対キモがられるって」


オタク=キモイ

これはリア充の中での共通認識だよな。オタクの世界にもいろいろあるんだぞ。

あの国会議員にだって、戦艦オタクでめっちゃ模型飾ってる人とかいるんだぞ。


「キモイって思われてるなら友達やめたらいいのに」

「嫌だよ。だって友達だもん」

「だもんって・・・」


自分のことをさらけ出せないで何が友達か。

俺なんかさらけ出せる人がいないからぼっちやってんだ。なんか文句あるかコノヤロー。


「だからちょっとオタトークしたいなぁって思って・・・」


なんだそういうことか。


「だが断る」

「なんで露伴なのよ」

「つっこむところそこかよ」


このつっこみの速さは完全にアウトだ。


「ごめん。つい。なんでダメなのよ」

「お前がそういう友達を選んだ上で、その友達と仲良くしたいって言うんなら、その友達と仲良くしてればいいだろ。別に俺は関係ない」

「なんでそんなこと言うのよ」

「俺は別に友達はいらん」

「友達になってくれって言ってるんじゃないのよ。時々オタトーク的なことをメールでしてくれればいいのよ」

「自分がオタクだってことを友達に言えばいいじゃん」

「そんなこと・・・言えるわけないじゃん」


そこまで凹むことなのか?

完全に俺が悪者みたいじゃん。

ってゆーか最初に俺を連れ去った時の勢いはどこに行ったんだ?


「ねぇ。ダメ?」


そんな上目遣いをされても俺は・・・ハッ! 別になんとも思ってないんだからねっ! 女の子の上目遣いってやべーなんて思ってないんだからね!

くそっ。調子狂う・・・

ここまで言っても諦めてくれないってことは、もうOKを出すまでは俺を逃がさないってことなのだろう。オソロシア。


「わかった。メールしてやるよ」

「ホント!?」

「だから暴力はやめてくれ。青たんできてんだ」

「うんわかった! じゃあ今日の夜メールしてね! じゃあねー!」


元気よく手を振って去っていく隣の席の人。

絶対暴力の件はわかってねぇな。

元気100倍って感じだもんな。来る前と顔が全然違ったもんな。顔取り替えてもらったのかなぁ?

メールか。

何年ぶりになるかな。家族以外の人とメールするのなんて。


「あ」


ここで大事なことに気がついた。

俺、あいつの名前知らねぇ・・・


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


暴力反対!


次回もお楽しみに!

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