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ぼっちデイズ  作者: シュウ
四章
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初めてのカラオケ

初カラオケがスタートした。

最初はテンションアゲアゲな吉川さんが無難にちょっと前に流行った曲を歌った。

普通にうまかった。なんてゆーか無難。とりあえずリズムに合わせてからだを揺らしている吉川さんは可愛かった。

次に伊織ちゃん。リア充の極みともいえようこの人が歌う曲は、俺の知らない歌。きっと最近の曲なんだろうけど、よくわからん。

これまたうまかった。吉川さんと違って、かっこよかった。姉御って感じ。

続いて渡辺。

こいつのことだから高校サッカーのテーマ曲でも歌うのかと思ったら、エグザイルだった。やっぱりリア充なんだと思った。

歌声は・・・全員が下をむいちゃう感じだった。こりゃやべー。

歌い終わった渡辺が口を開いた。


「カラオケって、楽しむことが重要だと思うんだ・・・」


重すぎるわ!

続きまして木村。

もしかしてアニソンぶっぱとかしちゃうのかなぁとか思ってたけど、そんなことはなく、犬夜叉のED歌ってた。

あんましうまくなかった。直前に伊織ちゃんの聞いちゃったからかもしれないけど、比べると木村の方が劣っていた。

そして俺の番。

何を歌おうかと思って考えながら、履歴とか見てたんだけど、ピンとくるものが無かった。履歴ってあれどうにかなんねぇのかな? どう考えても前に来たグループがどんな関係なのかまるわかりじゃん。履歴を見るところ、俺らの前に来たグループはボカロばっかり歌ってるところから見ると、そういう仲間なんだろう。

そう考えると、この5人って共通性ないよな。

とりあえず無難にバンプ入れといた。

若干音程を外しながらも歌い切った。歌ってる最中に全員の視線がすごい気になったけど、全員が画面見てたり次の曲を選んでたりで、そこまで真剣に聴いてるようには見えなかった。

カラオケってこういうもんなの? 俺的にはこのぐらいでいいんだけど、俺の知ってるカラオケって、タンバリンとか持ってシャンシャンしながら立ってデュエットしちゃったりしてるイメージがあったんだけど、めっちゃ静かなんだけど、これで合ってるの?

順番は吉川さんへと戻り、そのままグルグルと周りに回って、初めてのカラオケの2時間はサクサクと過ぎていった。

まぁ5人で来ると、だいたい一人5曲ぐらいしか歌えなかったけど、伊織ちゃんが木村とか吉川さんとかとデュエットしたり、俺と渡辺がデュエットしたり(渡辺からの強制)とそれなりに楽しんだ。


「いやー楽しかったー!」


店を出た吉川さんが大きく伸びをした。

一番テンションの高かった吉川さんが楽しめてなかったらどうしようかと思った。


「渡辺の美声には笑ったわ」

「ちょ、今ここでそれを言う?」


伊織ちゃんが渡辺に今日の感想を言った。もう暴言にしか聞こえないけど、この人が言うと冗談と暴言の境目がわからなくなってくる。その暴言に対して、ヘラヘラと笑いながら答えていた渡辺。その笑顔は『勘弁してくださいよ~』の笑顔なのか、『暴言キタコレ』な笑顔のどっちなんですか?


「楽しかった?」


横に立っていた木村が俺に向かって言った。

どうだろうか? うーん・・・


「初めてにしては楽しめたと思う」

「あんた初めてだったの!?」

「まぁ・・・」

「・・・初めてであんだけ歌えるってどうなのよ」

「知らんがな。比べたことねぇもん」

「私だってもっと本気出せばうまいんだからね」

「自分が80%の力で戦っていたら、相手は60%の力で戦ってましたー的なことになるぞ?」

「意味わかんないし。今回はアニソン無しの縛りだったからで、アニソンが入った私は強いわよ」

「いや、そんな宣言されても・・・」

「じゃあ今度二人で行こうよ」

「伊織ちゃんと行けばいいじゃねぇか」

「伊織は・・・って、伊織のことは名前で呼んでるの?」


急にショボーンとして、顔に影を見せる木村。

またこのパターンか・・・こいつ意外と嫉妬深いよな。


「いや、その、だって伊織ちゃんは名前しか知らないし、それに本人のことは呼んだことないし」

「織田伊織よ」

「じゃあ今度から織田って呼ぶから。それでいいか?」


なんで俺がこんなにお守りするみたいな感じになってんだよ。


「じゃあ私のことも名前で呼んで?」

「・・・無理です」

「うー・・・」

「うっ・・・」


またこの顔だ・・・

目をウルウルさせながら上目遣いで見てくる、俺が苦手なこの顔だ。


「うっ・・・さ、紗枝・・・ちゃん」

「ちゃんはいらないかなー」

「さ・・・紗枝」

「ぬふふー」


木村の気持ち悪い笑い声に顔を上げると、満面の気持ち悪い笑みで俺のことを見ていた木村と目があった。

チキショー!! アレは演技だったのか!! やられた!!


「絶対名前でなんて呼んでやらないんだからねっ!!」

「あっ! せっかくなんからそのまま名前で呼んでよ!」

「嫌だね! これからもずっと木村だ! 最終的にはキム兄って呼んでやる!」

「全然違う人じゃない!」


そんなこんなで俺の人生初カラオケは無難に終わった。







「あいつら何してんだ?」

「バカップルってやつよ」

「仲良さそうでよかったー」


この俺に聞こえていないとでも思っているのか。そこの3人。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


バカップルが・・・


次回もお楽しみに!

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