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ぼっちデイズ  作者: シュウ
四章
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恋のボディーブロー

木村から受けたボディーブローのダメージを回復させることに成功した俺は、木村と共に待ち合わせ場所に到着した。

驚くべきことに、俺を待っていたのは木村だけではなかったのだ。

てっきり木村と二人っきりのカラオケになるもんだと思ってたのに。

そこに居たのは、渡辺、吉川さん、伊織ちゃんの3人だった。これでドム子とかいたらどうしようかと思ったけど、居なくて良かった。マジで良かった。

そして3人とも同じように笑いを堪えているのか、腹を抱えていた。

え? 俺、なんか変なところある?

そう思って、ズボンのチャックを確認したけどキチンと閉まっているし、鼻くそが飛び出てるのを確認したけど清潔な鼻だったし、寝癖も確認できなかった。

一人で挙動不審に慌てていたら、渡辺が口を開いた。


「お前は幸せ者だよ」

「は?」

「そうだよ。こんなに愛されてる彼氏も珍しいってもんよ」

「ちょっと! 余計なこと言わないで!」


渡辺と伊織ちゃんが口々に言うのを、木村が大声で止めた。

なんだ? 何が起こっているんだ?

そしてなぜ木村はこんなに顔が真っ赤なんだ?

わけわかめ。


「いいから早く行こっ!」

「はいはい」

「えっ、今から合流すんの?」

「当たり前じゃん。ここまで来て何言ってんの」

「いや、俺、行きたくないんだけど」

「はぁ?」


また木村の逆鱗に触れてしまったようだ。

だって行きたくないんだもん。後から合流したって空気読めないし、結局ジュース飲んでるだけじゃん。それなら合流しないで解散したほうがいいって。

赤かった顔に怒りが宿り始めた。眉間にシワ寄ってますよー。


「じゃあこうしよう!」


木村の機嫌を損ねる前に吉川さんが提案をした。


「5人でカラオケしましょう!」

「これって一応学校祭の打ち上げでしょ?」

「でもこいつが行きたくないって言ってんなら行かなくてもいいんじゃね?」

「私は別にいいよ。紗枝の彼氏君がどんな人なのか知りたいだけだし」


わー。伊織さんってば超大人。俺のことを見定めに来るとかマジで大人。


「伊織がいいって言うならいいけど・・・」

「じゃあ決まりだな」

「早速レッツゴー!」


元気いっぱいの吉川さんに続くようにカラオケ屋の自動ドアをくぐる4人。

俺は4人の後に続いて入店した。

そして思った。

俺だけ会話に入ってないのに決まってしまった。

結構ここでもランクってゆーかカーストがあるみたいだな。

一番上に伊織ちゃんがいて、その下に渡辺と木村、その遥か下に俺。吉川さんはなんか別枠って感じ。

サクサクと吉川さんが受付を済ませて部屋へと案内される俺たち。

その部屋へと続く通路で渡辺が近づいてきた。


「お前らいつから付き合ってたんだよ」

「あー・・・」


こいつの存在忘れてたわ。ってゆーか、俺と渡辺って恋のライバル的な感じだったんだっけ? 素直に言ってもいいものなのか?


「えっと・・・学校祭の後夜祭の時から、かな」

「マジかよ。めっちゃ最近じゃん。それであれだけ愛されてるとかマジで羨ましいわ」

「さっきも言ってたけどそれ何だよ」


意外と渡辺も気にしてないのか?


「実はな、待ち合わせ時間になってもお前が来なくて、どうしたんだろって俺と吉川が話してたんだよ。そしたら木村が急に心配し出して、お前が電話にも出ないもんだから、事故にでもあったんじゃないかって思ったらしくてさ。そんでやっと連絡がついて、お前が来る直前まで、あいつマジで泣きそうな顔してたんだからな。で、あの照れ隠しのボディーブローってわけ。俺も吉川も織田(おだ)も思わず吹き出したわ」


ケラケラと思い出し笑いしながら話す渡辺。

完全にツンデレじゃねぇか。照れ隠しのボディーブローとかまじでやめて欲しい。

でもまぁ心配かけてたのは悪かったかもな。あとで謝っておこう。

あと伊織ちゃんの苗字は織田っていうのか。ありがとう渡辺。

部屋に店員さんが通してくれて、飲み物はセルフサービスなのを告げると去っていった。

というわけで、俺たちは飲み物を取りに向かった。

そしてその最中に再度渡辺に絡まれた。


「言い忘れてたけど、俺はまだ木村のこと諦めたわけじゃないからな」

「お、おう?」

「でもお前と木村が付き合ったって言うなら、仕方ないかなって思った。これは負け惜しみとかじゃなくて、感想な。もしかしたらお前のヘタレっぷりに、木村のほうが愛想尽かすかもしれないしな」


こいつ・・・NTR狙いか! 最低だな! ドMのクセに!


「それでもお前は友達だから、友達のことは素直に応援するぜ。幸せにしてやれよ」

「ぜ、善処します」


渡辺が爽やかで気持ち悪い。

応援されてるのはよくわからんが、とりあえずめんどくさいことにならなくて良かった。

コップにコーラを入れてるところで吉川さんにも絡まれた。


「おめでとっ」

「あ、うん」

「嬉しくないの? 彼女出来たんでしょ?」

「まだいまいちピンときてないってうゆーか・・・」


好きとか彼女とかよくわからん。


「ふーん。私も彼氏ほしーなー」

「渡辺空いてるぞ」

「渡辺くんはみんなから人気あるから。私にはもったいないかな。もっと落ち着いてて心安らぐ人がいいの。でもはしゃぐときははしゃぐー的な。私の理想ね」

「へー」


そんな人いるのか? まぁ理想は高く設定するのは基本だからな。


「彼氏とか青春の象徴って感じだよねー」

「・・・吉川さんって少女漫画とか好きでしょ?」

「なんでわかったの!?」


そりゃ見てりゃわかるっての。もうそんな気がしたもん。


「なんとなく」

「さすが。今日は楽しもうね!」

「・・・善処します」


そうだった。これからカラオケだった。

俺、初めてなんだよなぁ・・・このままドリンクバーでジュース飲んでたらダメかな?

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しい限りです。


ツンツンデレツンデレツンツン。


次回もお楽しみに!

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