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ぼっちデイズ  作者: シュウ
一章
7/128

疑惑のアドレス

さてどうしたものか。

トップクラスのスピードで自宅に帰ってきた俺は、部屋に入るなり隣の席の人から渡されたアドレスについて考えていた。

普通にこのままこのアドレスに送るとしよう。

俺の予想が正しければ、


「見てみて! ホントにメール来たー!」

「マジかよっ!」

「俺も来る方に賭けておけばよかったぁ」

「へへへー。じゃあこれは勝ち組のものーってことで」

「くそー」


などと賭けの対象になっているに違いない。

でもあの鬼気迫る感じ・・・って大げさに言ってみたけど、単にオタクとバレたくないあの感じはちょっと気になる。

とはいえ話ってなんだ?


「ずっと前から好きでした!」


これは無いな。リンちゃんなうかよ。相手がリンならどれだけいいことか。俺はメグが一番。

ちなみに答えはNOだ。リア充とは付き合えないんでね。


「キモイから話しかけんなよ」


いや、あいつは暴言なら直接言いそうなタイプだもんな。

それに初対面で『キモイ』って言われてるし。

じゃあなんだ?

どれだけ考えても賭けの対象か怪しいサイトに繋がってるとしか考えられない。


「うむ・・・」

「ねぇお兄ちゃん」


いつのまにか部屋に侵入してきた弟が俺に話しかけてきた。

あいかわらずの特殊能力者だな。スタンド使いか? 時止めるタイプのスタンドだろ。

時々こういうことがあるので気にしない。


「お前、ノックって知ってる?」

「今日、お母さんとお父さんの帰りが遅くなるから二人でなんか食べてだって」

「はぁ?」

「お金は置いてあるからって」

「じゃあ出前か。なんか食べたいのあるか?」

「僕ハンバーグ食べたい」

「外食・・・だと・・・」


まぁ外食のほうが出前よりも安くつく場合が多い。

残ったお金はそれぞれのお小遣いにしてもいいというのが我が家のルールなので、外食もありかもしれない。

ちなみに弟のいう『ハンバーグ』とは、ハンバーグ・ステーキレストラン『ビクトリア』という名のファミレスである。全メニューにスープバーがついている。

あそこのコーンスープうまいんだよなぁ。何がうまいかって言われると答えられないんだけど、びっくりドンキーで飲むコーンスープよりもビクトリアのコーンスープのほうが俺は好きだ。

感覚としてはロッテのシェーキとマックのシェーキぐらい違うと思う。俺はロッテ派。

あ、でもびっくりドンキーのメリーゴーランドも好きよ。

ビクトリアまではちょっと歩くけど問題ないか。


「じゃあビクトリアにすっか」

「やったー。じゃあ行こっか」

「いや、行こっかってまだ4時半だろ。早すぎて食べれんわ」

「えー」

「いいから再放送のアニメでも見てなさい」

「むー」


納得してはいなかったが、階段を降りていく弟。

今から夜飯ってどんだけ育ち盛りなんだよ。高見盛(たかみさかり)かよ。相撲取りになっちゃうぞ。

さてと。本題に戻ろう。

このアドレスどうすっかなぁ。

もうよくわかんなくなってきた。

送るべきか送らざるべきか。

そもそもなんで俺にアドレスを教えたのか。

メールならリア充の友達とでもすればいいじゃん。

俺なんか顔文字どころか絵文字も使わないし、デコメできる=かなりのケータイの使い手っていう認識だからね。

もうデコメでキラキラしたメールなんかが送られてきた日には、返信にどれだけ時間がかかることやら。

文章の考察から始まり、絵文字と顔文字の選択、誤字の確認、送り先の確認、そしてダブルチェック。

こんだけしてもデコメで速攻で返されるとたまったもんじゃない。

デコメってなんだよ。もうメールの概念が消し飛んでるんだよ。それだけ手紙に飾るのは正月のあけおめメールだけにしろよな。

あけおめメールと言えば、正月の日付がかわる直前に寝ちゃって、朝起きたときに誰からもメールが来てないと、『あー俺ってやっぱり友達いねーな』って実感するよね。わかるわかる。


「お兄ちゃん」


また侵入を許していた。

母上、この部屋はもうダメだ。引っ越そう。


「だからノックをしろとあれほど」

「アニメの再放送無かった」

「今ってやってないの?」

「韓国ドラマやってた」

「韓流ぱねぇな」

「だからもう行こ」

「だから早いって。どさんこワイドでも見てきなさい」

「むー」


また不服ながら下に降りていく弟。

どんだけ腹減ってんだ。

『どさんこワイド』は北海道の誰でも知っている夕方の情報番組だ。

ちなみにどさんこワイドの後ろに数字が入っているのだが、あれは北海道の市町村の数らしい。まぁ道民なら誰でも知ってるか。ゴメンね。

北海道にはセイコーマートがあるように、北海道の番組欄にどさんこワイドは欠かせない。

そして一番の見どころは星澤先生の『奥様ここでもう一品』だ。

あの分量の適当さといい、材料の扱い方は『Moco'sキッチン』に匹敵するほどだ。


『えー塩を少々。こんなもんですかね。次に酒。まぁこのくらいでしょう』


こんな感じだ。


「お兄ちゃん」


三度目の襲来。

今度に限ってはもう感覚が短すぎて、アドレスのことなんて考えてなかった。

どさんこワイドのことだけ考えて終わっちゃったじゃん。


「今度はなんだ」

「どさんこワイド終わった。行こ」


時計を見るともう5時過ぎ。

夕食には少し早いけど、これ以上弟が侵入してくるんじゃまともに考え事もできやしない。


「わかった。じゃあ行くか」

「うん」


雰囲気だけをパァっと輝かせて軽快に階段を降りていく弟。

どんだけ楽しみだったんだよ。

一階に降りて、リビングに置いてあるお金を自分の財布に入れていざ出発。

アドレスの事は帰ってきてから考えよう。

今はとりあえずステーキのことだけを考えよう。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


僕はロッテリア派です。


次回もお楽しみに!

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