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ぼっちデイズ  作者: シュウ
三章
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ミッション・木村を守れ!

閉祭式が終わり、後夜祭までの間の片付けの時間。

すでに大方を撤去されてしまい、ちょっと前までオバケ屋敷だった教室で俺はとりあえずドム子の様子を見ることにした。

だてにぼっちやってない。人間観察は趣味になるほどに観察してきたんだ。様子見するだけで分析しないなんて、人間観察を趣味にしている人間の風上にも置けない。

もちろん情報収集から始まり、それを元に分析、解析、そこから導き出される結果を元に行動を予測、そしてさらにドム子の予想外の行動の計算までして初めて、諜報部員としての役割が確立されるんだ。桃井がそんなようなこと言ってた。

というわけで、ドム子を観察開始。

さっきからケータイをカチカチといじってるところを見ると、友達でも呼んでるのか?

ってことは、複数で木村に報復ってところか?

そうなるとめんどくさいな。

でもまだ何するかわかったわけじゃないしな。これはあくまで一つの仮定。

メールの内容とか見れればわかりやすいのになぁ。

ちょっと見てきてもバレないか? バレたらバレたで考えよう。善は急げだ。

そう考えると、すぐに行動を起こし、ドム子の背後にさりげなーく回り込むと、ケータイをさりげなーくのぞき込んだ。意外とバレないもんだな。ケータイに集中しすぎるとこうなるのか。俺も気をつけよう。

打ち込んでる途中みたいだったけど、『キャンプファイアー』って単語と『校舎裏』って単語が見えた。

それだけ確認すると、さっきまでいた元・銀次郎の席まで戻ってきた。

となると、木村をキャンプファイアーの時に呼び出して、校舎裏でなんやかんやするってことか?

うわー。こいつワルズギルよりもアクドスギルよりも悪すぎるだろ。陰湿ー最低ー。

ってこんなことしてる場合じゃねぇじゃん。

もうあと30分でキャンプファイヤー始まるし。

どうする俺?

ここで選択肢のカードなんてないぞ?

選択肢は自分で作らないと・・・

えーとえーと・・・わからん!

そう迷っていると、他の生徒達が教室を出て、グラウンドで準備が始まっているキャンプファイヤーを見るために行動を開始した。

その行動を開始している生徒の中に、木村の姿を発見した。木村は談笑をしながら他の友達と一緒に教室を出ていくところだった。

俺は焦った。焦りすぎて、気がついたらからだが勝手に動いて、木村を引き止めていることに気付かなかった。


「何?」


木村から発せられた声で我に帰った。

俺は木村の腕を掴んで、グラウンドへと歩いていく生徒たちが作っている廊下の流れの中で立ち止まっていた。

何してんの俺?


「何? どうしたの?」


不思議そうな顔をする木村。

何か言わないと。でもドム子のことを言うわけにはいかない。

こんな後夜祭直前の空気をぶっ壊すわけにはいかないし、それにここは廊下のど真ん中だ。ただでさえ歩いている生徒たちから見られてるのに、そんなこと言える訳がない。


「あ、やっ、ちょっと、来いっ」

「えっ、なによ」


そう言って、誰も居なくなっていた自分のクラスに木村を引きずり込んだ。

俺は元々後夜祭が終わるまではここにいるつもりだったんだ。俺は行かなくてもいいんだけど、木村は友達とかいるわけだし・・・


「どうしたのよ」

「いや、えーっと・・・」


ドム子のことを言わないで木村を行かせないようにする言葉なんて限られてるだろ!

でもそんなの恥ずかしくて言えねぇ!

でも木村をドム子から守るためには、キャンプファイヤーに行かせないのが一番だ。

となると、言う言葉は決まってるよなぁ・・・


「お、俺と、ここでキャンプファイヤー見ないか?」

「・・・えっ?」


うわぁ帰りてぇマジでこの世から消え去りたい死にたい消えたい居なくなりたい!!

そんな俺の動揺に対して、きょとんとした顔の木村。

そりゃ驚きますよね。俺も驚いてるもん。


「あ、いや、これにはちょっとした訳があってだな」

「・・・うん。わかった。いいよ」


少し赤くなって答える木村。

うん。これはきっと外から教室を照らしている夕日のせいだ。そして俺の顔が熱いのも夕日のせいだ。夕日が全部悪いんだ。

木村は何も言わずに窓枠に両肘をついてぼんやりと外を見た。

俺はもう取り返しがつかないので、とりあえず横に立って、同じように外を見た。

下の方では、グラウンドでキャンプファイヤーを囲んでいる生徒達がゴミのように見える。あそこにラピュタからの攻撃が降ってきたらどうなるんだろ。

そんなくだらないことを考えていると、グラウンドに集まっている生徒の中に、ドム子を見つけた。遠くからでもわかるモビルスーツを連想させるあの巨体は、この距離からでも目立っていた。

キョロキョロと辺りを見回している様子を見ると、木村を見つけられないでいるのだろう。

いると思った? 残念。こっちでした! バーカバーカ! ⑨。

きっと勝ち誇ったような顔をしていたんだろう。その顔を木村が違う意味で受け取ってしまったようで、木村が俺との距離を詰めてきた。

ドキドキする俺。

こんなとき俺にライフカードがあればもう少し冷静に考えられることが出来るのだろうが、そんな都合のいいものがあるわけもなく、ただドキドキしながら視線を外に向けていることしかできなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


ハロウィン企画として短編を「山田」名義で投稿しました。

詳細は活動報告をば。


ぼっちくんは何をイチャイチャしてるんだい?


次回もお楽しみに!

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