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ぼっちデイズ  作者: シュウ
三章
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サボり癖

結局、学校祭一日目の終了を告げる校内放送が流れるまで、教室には戻らずに体育館で過ごしてしまった。

途中で飲み物を買いに出た以外は、体育館にいた気がする。

そのくらい体育館での有志の発表が面白すぎた。

本格的なパントマイムかと思えばネタ切れで下ネタに走り出すマジシャンとか、闇のゲームとか言ってステージでデュエルしちゃうバカ二人とか、スゲー微妙な感じの連中が繰り出すAKB劇場とか変なのが沢山あった。

時々真面目なバンドとかも出てくるんだけど、周りの雰囲気が『えっ? この人たち真面目じゃね?』みたいな感じになってきて、急遽予定変更をしてまでネタに走るのもいた。その中でも最初から真面目にやっちゃうバンドとかもいるんだけど、あれはダメだ。世の中笑いが足りんのだよ。真面目は売れんぞ?

あんまり関係ないんだけど、最近の動画サイトってワンパターンすぎてダメだと思う。ええ声で歌ったところで誰かの二番煎じになっちゃうし、かと言ってふざけて歌ったとしても『本人はウケると思ってたシリーズ』とかっていうタグ付いちゃったりで大変だよな。

もうダメだ。笑いが足りん。

その点、この体育館での発表を生放送でもすれば面白いと思うんだ。少なくても来場者は1人以上は集まるし、4億円の赤字を出さなくても楽しめる。

そして校内放送が聞こえて教室へと戻ると案の定、渡辺に怒られました。


「どこ行ってたんだよ」

「ひ、昼飯食べてた」


渡辺くん。怖いです。


「お前の持ち場はここだろ?」

「だって誰も見てねぇし。何が最後の砦だよ。門番スルーされてんじゃん」

「いいんだよ。気づいた人だけ怖がるんだから」

「気づいた人っつっても、まだ2人しか気づいてないっての」


俺のこときっと見えてないんだと思う。

きっと俺は自律型のスタンドなんだと思う。うん。そうだといいな。なんかかっこいい。


「それがいいんだろ。お前なんかどうせ中の方に入ってもサービスしないんだから、そのくらいがちょうどいいだろ」

「お前・・・俺のことバカにしてるだろ」

「じゃあなんだ? オバケの演技出来るってことか?」

「うっ・・・」


反論できないのが悔しいですけど!


「ほれみろ。だからそこで大人しく座ってろ」

「くっ・・・」


これっていじめだよね? 俺、渡辺ごときにいじめられてんの?

もう絶対明日も抜け出してやる。そしてあの体育館でのシュールな笑いを見に行くんだ!!







次の日。


俺は心の中での宣言通り、渡辺の目を掻い潜って抜け出してやった。

それでも最初の1時間ぐらいは席についてたわけだけど、今日俺に気づいたのは0人だった。もういらねぇじゃん。

というわけで昨日に引き続き100円焼きそばを買って、今日はたこ焼きも買ってみた。もちろん100円。

別にお祭り気分を味わいたいわけじゃないけど、クレープとか買うのってなんか恥ずかしいじゃん。だからたこ焼き。

そして体育館の昨日と同じ席に座って、ステージの発表を見る。

・・・・・・今日はつまらんなぁ。

昨日の『笑いを取れ!』みたいな空気じゃないから、普通すぎて無難すぎる発表ばっかり。

普通にカラオケだし、普通に劇だし、普通にバンドだし。

こんなことならラノベ読んでれば良かった。

焼きそばもたこ焼きも食べ終わったことだし、戻ればいいのだが、また渡辺に見つかったらめんどくさい。


「あんた、こんなところで何やってんのよ」


背もたれにもたれて伸びをしていると、横から誰かに声をかけられた。

木村だった。

誰か友達と来てたみたいで、他の2人は止まった木村に気付かなかったみたいで、先にステージの方へと行ってしまった。置いてかれてんぞー。


「オバケ役は?」

「・・・サボリ中」

「サボリ? あんたも大胆ねー」

「別にいいだろ」

「怒らないでよ。あんたがサボるなんて珍しいなぁって思ったのよ」

「俺にだってこういう時はあるのー」


なんか渡辺に反抗したくなるんだよな。あいつが悪い。


「ふーん。じゃあ暇なんだ」

「まぁ」


『まぁな』と言いかけてから後悔した。

ここで木村に誘われでもしたら、色々と連れ回される気がする。

そう思った俺は、途中で言葉を止めたのだが、察しのいい木村は俺の言葉の先を読み取って、先回りをしてきやがった。こんな時に察しが良くても嬉しくないわ。


「じゃあ私と回らない?」

「回らない! 絶対に回らない!」


即答。圧倒的即答。

ここまで即登だと、さすがの木村も何も言えないだろう。北島康介並みに何も言えないだろう。


「じゃあ行こっか」

「なんでそうなるの!?」


思わずツッコミを入れてしまった。

忘れてた。こいつの耳は都合のいいようにしか聞き取らないことを忘れてた。


「ちょっと待ってて。伊織達に言ってくるから」

「・・・うん。2時間ぐらいかけて行っておいで」


そんな俺のささやかすぎる抵抗も虚しく、木村は速攻で戻ってきた。


「よし。準備OKー」

「俺は準備良くないんだけど。ってゆーかステージ発表見に来たたんじゃねぇのかよ」

「伊織が行ってみたいって言ってたから来ただけだし。私はついてきただけ」

「じゃあ一緒にいてやれよ」

「・・・ふんっ!」

「いたっ」


蹴られました。なんか久しぶりに蹴られた気がする。もう味わいたくない感触の一つだったのに。


「いい加減に観念しろ」

「・・・はい」


もう渡辺から逃げたと思えば木村に捕まる始末。

もうどうにでもなーれ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


一難去ってまた一難。


次回もお楽しみに!

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